
ヤナセさんは今年100周年だそうです。
1ディーラーが大きな試練が何度もありながらここまで永続してるって凄いことだと思います。
そんな名門でお金持ち御用達のディーラーさんに僕と義兄き、らて~んバカ2人が、しかも電気自動車の試乗に行ったという場違いで、勘違いはなはだしい試乗記です(爆)
S=Swatch
M=Mercedes-Benz
ART=作品
1998年に発売を開始したご存知のsmartは昨年2014年よりわが《》のTwingo3と共同開発のシャシーへととうとうフルモデルチェンジしました。
しかし僕の興味は《》共同開発車にはなく、ベンツが莫大な赤字を垂れ流しながらも、世界一の自動車会社としての技術をフルに注ぎこんで改良を続けてきた軽量でオーバークオリティーな衝突安全性能を自らに課したセルシャシーにあります。
そもそも1990年代初頭の発案からこの車は将来的には電気自動車化をすることが前提でした。
電気自動車化できる小型車をもたないベンツが将来の電気自動車社会を見据えての投資と進出だったわけです。
なので初期には横転事故をおこしながらも必死にシャシー改良を積み重ね、バッテリーを椅子の下におさめられるハイトの原案を死守してきました。
その意味ではこのsmart electric driveの最終型はベンツの20年以上にわたる悲願の作品ということになり、おそらくは長い長いMercedes-Benzの歴史上、単一モデルとしてはもっとも金と技術を注ぎ込んだクルマじゃないかと思います。
で、できあがったこのsmart electric driveですが、その苦闘の歴史を想像できない拍子抜けする簡素なクルマです(笑)
でもじっくり見るとその簡素さは1つ1つがめちゃくちゃよく考えられて、デザインされているものです。
空調にしろ

メーターにしろ

デジタルの数字表示はありません。スイッチ類の操作はすべて目でいちいち見なくても暗闇の中でもできます。
無骨ともいえるプリミティブさで、どこぞの国たちの見た目未来志向なクルマたちとは一線を隔します。
考えてみればなにもインターフェースがとってつけたような未来的なものである必要はないですよね、電気自動車だからって。
このあたりが『THE自動車メーカー』であるMercedes-Benzだと激しく好感を覚えました。
乗り味はこんなに短躯で

電気モーターだからゴルフ場の電動カートの延長のようなもんだろうと勝手に思ってたんですが・・・・
違いました、これはジドウシャでした。ぜんぜん普通のクルマ。
むしろグニャグニャなテレビゲームみたいな今のクルマたちよりはるかにクルマ。
まごうことなく70年代~90年代の輝けるベンツ一族の末裔の運転感覚。
ステアリングは太く、径は34くらいなのかな?少し小径。

電動パワーステアリング(エンジンないから当然ですが・笑)なのですがアシスト量が絶妙です。現代最新車たちよりはるかにガッチリ。
そして路面インフォメーションはきっちりとよく伝わります。
可変変速機は1速固定ですのでありません。がステアリングポスト(まわらない)に右がプラス、左がマイナスのパドルがついてます。
これを操作するとインジケーターにはD、D+、D-、の3種が表示されます。
何のことかといろいろ試してみたのですがどうやら回生ブレーキの効きがかわります。
D-にするとうちのこの2速エンブレ以上に効きます。クリープがあるんでトルコンATまんまの感覚なのですが、ATの弱点のエンブレをつくることが簡単にできるのできびきびしたMT車のようです。
もちろん効くと電気が充電されて航続が延びます。
前軸が440kg+後軸が510kgの理想的な重量配分。しかも車重950kgと理想的な軽さ。

これに74馬力13.3kgのトルクを発生する35kwモーターがRRに積まれています。
透視図をみればわかりますが

重量物がやたらに低い位置にあります。夢のように重心が低い。
高速道路では余裕で追い越し車線に出れます。

車重が軽いので加速はテンロクNA並みです。
コーナリングの感覚は独特の世界です。
SUZUKIのTWINもこんな感じなのかな?前と後ろがタイムラグなく曲がります。
結構なスピードでコーナーに入るとします。
まずは前後重量バランスのよさで(回生ブレーキのへんな感覚に慣れれば)剛性感がビシっとあるブレーキを踏むと姿勢乱れを一切感じさせずにぐっと減速します。
前が軽いので鼻がかんたんに脱出方向に向きます。
そして・・・・車が全部で曲がります、ひゅっ!って。
クルマはたった十ミリ程度ホイールベースが変われば運転感覚と物理特性が大きく変わるのですが、こいつはそんなレベルの短さではないのです。ですのでものすごく異質です。
SAXOなどの尻が出て回る感じではなく、尻が前とくっついて同時に曲がる感じ。
もし真剣にやったらどこまでいけるんだろ(笑)
ただ重心は低いけど乗車ハイトが高いし、たぶんステアリングのアシスト量やアクセルペダルレスポンスをうまく動かしているようで(挟まりモノにうるさい僕にも違和感はありません・さらっと自然です)そんな気が不思議と湧かないようにできているようです。
そうそう、高速道路含めて約30kmほど街中を試乗して面白い感覚がありました。
土曜日のAMなんでたくさんのハイブリッドファミリーカーたちがうじゃうじゃ走ってて前や横に並ぶのですが、こちらの感覚としては旧車をみているような感じになります(笑)
電気自動車の利点は部品点数が圧倒的に少なくなり、結果壊れにくくなり、また重量も軽い。
でも・・・ハイブリッドってさぁ、いたずらに複雑化した中途半端な工業製品だよね~って。
思いっきり上目線、まぁ俺のクルマ、ベンツだしね(笑)
今の高燃費ガソリン車も小排気量ターボもディーゼルもしかり。
普段うちのこに乗ってるときはあやつらが全部未来のクルマに見えるんですけどね(爆)
さて、じゃぁ欠点は何かというと大きな欠点が4つあります。
*クルマの値段が高い。本体は定価300万くらいだったかな?
*JC08モードの走行距離が181kmと短い(現実150kmくらいかな?)
*いま増えつつある外部の急速充電が利用できない。最速の充電は200vで8時間。
*2人乗りであるので4人は乗れない。荷物もゴルフのフルセットはトランクは無理で助手席積みになる。
しかし・・・・
こんな得がたいメリットがあります。
*二度とガソリンスタンドに行かなくていい。

セルフスタンドがダメなのでおじさんのいる遠いガソリンスタンドまでいちいち行ってるのがもう行かなくてすむ。
*オイル交換なんぞそもそも無い。
*やたらの補助金やら優遇税制がつきまくる。家に専用充電つけると市から5万くれるのでそれで余裕で電設がつけられる。
*クルマが小さいから道が盛大に広くなる。近所でうざい寄れない小バスたちとのすれ違いも楽々。
*現代車の謎のイルミネーション、謎の機能、大きなお世話機能に悩まずにすむ。
この欠点ですがわが老母のジャスコエクスプレス307の場合、
*一番遠い行き先は月一回の印西のゴルフ場の往復100km未満
*あとはAEONと墓とマージャンと駅と灯油買出し

(全てまわったとしても100km未満)
*毎日は乗らない。ほぼずっと車庫にいる。
*来年8月が車検。ATのショックが大きくたぶん次々回の車検までには確実に壊れる。
そして
*100周年で9月決算のヤナセ
*在庫がもうほぼなくなっている。来年早々に《》smartに切り替わる
*なのでいきなりずどーん!下取りも(笑)
*メンテプログラムでワイパーなどの消耗品や点検は全部無料。タイヤ代だけ有償(ちなみにKU11です)
ということで僕が真剣に考えて出した合理的な選択ではこれ1択になります。
わが老母の最期のクルマにふさわしいのです。絶対に楽になります。
問題は・・・・
わが老母は人生で一度も論理を受け入れたことがないという事実(笑)
女+老人、懇切丁寧に理屈を説明すればするほど聞く耳持たず反発するという、ロジックではなく感性と感覚のイキモノなのです。しかもあの蛇女(https://minkara.carview.co.jp/userid/345760/blog/30106134/)の母親だし(笑)
というささいな1点のみ、ということになります(爆)
さぁて、どうなるでしょうか?(笑)
※今回の標題はアイザック・アシモフの傑作『我はロボット』(その第1話のロビー)と、70年代初頭メルセデスの技術者たちはミュンヘンの会社を指して「ジドウシャのようなモノを作る人たち」と呼んでたらしい、って風評伝説をかけてます(笑)