キャブレターオーバーフロー修理
目的 |
修理・故障・メンテナンス |
作業 |
DIY |
難易度 |
初級 |
作業時間 |
1時間以内 |
1
まあ、デル美ちゃんも(推定)23歳ですから、人間でいえばもうおば…ゲフンゲフン。
素敵なレディですから、お漏らしくらいするでしょう。
というわけで、キャブレターのオーバーフローの修理です。
まずはガソリンを抜いてキャブレターを取り外します。
実はこのキャブレター、レストアの初期段階で既にオーバーホールを実施しているので、フロートバルブもチェック済みではあるんですよ。
ただ、修理中にゴミが噛んだりしてる可能性もあるので、まずはバラしてチェックします。
キャブレターのフロートバルブをチェックするにはキャブを裏返しにして、フロートバルブを閉じた状態でガソリンの接続プラグから液体を流し込んでやればいいのですが、それはあくまでフロートが機能している前提です。
そこで、フロートの動きをチェックするためにペットボトルを切ったものの上にキャブをのせ、フロートチャンバー代わりにして液体を流し込みます。
こうすれば、フロートやフロートバルブに不具合があっても一目瞭然。
切ったペットボトルの残りに注ぎ口のついたゴム栓(100均のドレッシングボトルなんかに付いてるやつ)をして、チューブでキャブレターと接続します。ここに水を入れれば、準備完了。
よし、行け!
注ぎ口から流れた水はフロートバルブを通って受け皿のペットボトルに勢いよくたまり、やがてたまった水がフロートを押し上げると…
おお、止まった!
ということは、オーバーフローの原因はキャブではなさそうです。
なので、キャブレターはよく乾かしてこのまま組み立てることにします。
2
ちなみに、前回のオーバーホールではフロートチャンバーと本体の間を液体ガスケットでシールしたのですが、いろいろ調べていると、液体ガスケットはキャブレターには使わないほうがいいとかなんとか。
とはいえ、デル美ちゃんのキャブのOリングは国内では流通してませんから、自分でなんとかしないといけません。
そこで、ホームセンターでふたつばかり、モノを買ってきました。
ひとつが耐油性のゴムシート(1mm厚)。もう1つはニトリルゴムのOリング(内径43.5mm)。
どちらも数百円程度のものですが、これをパッキンに代用しようと。
やり方はゴムシートのほうはフロートチャンバーの形に切り抜いて挟むだけ。Oリングのほうは、既存のパッキンを外してそれと入れ替えるワケですな。
で、まずは簡単そうなOリングを試しますが、微妙に太くて、フロートチャンバーの溝に収まりません。
次にゴムシートですが、こちらはやはり厚みがかなりあるので、微妙に油面が変わりそうな気もします。
さてどうしたもんか。
(太くて入らないなら、細くすればいいじゃない)
と、心の中のマリーアントワネット様が言い放ちます。
ということで、心の声に従いOリングの縁をハサミで0.5mmほどトリミングしまして、再トライ。
溝にはハマりましたが、内径があと1mm足りない!
ゴムなんで引っ張れば伸びますが、そのたびに溝を外れるので、指で押さえつつ、キャブ本体で素早く蓋をしてなんとか収めました。
3
次に疑ったのはガソリンタンクのキャップです。
デル美ちゃんのガソリンコックは自然落下方式ですから、キャップにタンク内の圧力を逃がすベントがついているはずです。
ここが詰まると、タンク内に気化したガソリンが充満し、その圧力でガソリンを押し込みキャブレターがオーバーフローするのです。
これは割と古いバイクに起きがちなトラブルです。
デル美ちゃんのガソリンキャップはプラスチック製でして、よく見ると真ん中に小さな穴があります。
試しに竹串を刺すと、カチッと手応えが。
ひっくり返すと内蓋にも穴がありますが、竹串は貫通しません。
何かしらの弁がありそう。
タンクキャップの内蓋はちょっと力を入れて捻ればポコンと外れました。
外蓋、内蓋の間に、スポンジ状のフィルターと、フィルターのカバーがありました。
これらをパーツクリーナーで洗浄し、また元通りにします。
4
あと、キャブレターとマニホールドを繋ぐインシュレーター(接続管)も、経年劣化でひび割れがあったので、靴底修理用のゴムボンドを塗りつけて補修しておきます。耐熱、耐油性はまあ、ちょっとアレですが…
さて、これで準備が整いました。
まずはキャブレターをセットする前にオーバーフローのチェックから。
念の為、タンクキャップは開けたままやります。
ガソリンホースをキャブに繋ぎ、コックオープン!
どうだ!?
ダバダ〜〜ダ〜バダバダ〜〜ダバダ〜
だだ漏れです。
ということは、キャブでもキャップでもない?
…
……
もしかして、お前なのか?
フューエルフィルター…
5
いや、確かにフィルターは消耗品だし、交換しようと思って、モノタロウで購入してたんですよ。
ただね…
でかいのよ。
なんか、思ってたのの倍くらいでかいのよ。
既存のフィルターと比べたら遠近法おかしくなるくらいでかいのよ。
だから、あまりにもデル美ちゃんに似合わなくて、なんとなくそのまま交換せずにいたのですが、もうタンクからキャブまでになにかあるとしたら、ここしかありません。
6
というわけで、このモノタロウ製クソデカフィルターに交換し、ガソリンキャップも締めた状態で再トライ。
行けるか!?
止まったー!!
どうやらオーバーフローの原因はフィルターだったみたいです。
いやー、これはホント意外な結果でした。
もし皆さんも何をやってもオーバーフローが治らない場合は、フィルター交換してみるといいかもしれませんね。
7
というわけで、オーバーフローの原因が判明したので、キャブレターを戻しましょう。
ちなみに、ここ何回かキャブレターをバラしたりつけたりするうちに、キャブレターのスプリングの付け方のコツを掴みました。
スプリングにスロットルワイヤーを通してからスロットルバルブに取付けようとすると、バネを縮めながら細かい穴にワイヤーを通したりしないといけないでしょ?
なんで、先にワイヤーをスロットルバルブにセットしちゃいまして、スプリングは端からクリクリのねじ込んで挿入すれば、バイ〜ンとバネが弾け飛ぶ心配もなく、スムーズにセットできます。
キャブレターを組んだら、マニホールドとエアフィルターに薄くラバーグリスを塗布して接続し、チャンバーを取り付けます。
8
時は来た…(唐突な橋本真也)
数多の難関辛苦を乗り越え、ついにその時は来た。
死に絶える運命を課せられし、2スト50ccである汝を現代に蘇らせし我に、忠義の声を上げよ!
いざ!
イグニッションオン!
(念の為)パーツクリーナーシュー!
スタータースイッチオン!
ブロロヒョーン…
えと、セルモーターがちょっとご機嫌ナナメっすわ…
まだだ! まだ終わらんよ!
押しがけがある!
行くぞー!
クラッチカット!
ギア2速!!
勢いつけてからの〜、クラッチ接続ぅ!
スポポポポブロンロブロンロブオォォーーン!
デル美ちゃん始動確認!
クラッチカット!
アイドリング異常なし!
半クラで後輪まで動力伝達確認!
「デル美ちゃん、発進!!」
びいいぃぃぃーーーーん!
くうぅー!
この甲高い弾けるような2ストサウンド!
たまりませんっ!
いやぁ、マジであのボロボロだったデル美ちゃんをここまで復活させられたとは、感動です!
しばし、デル美ちゃんの美声に酔いしれつつ、軽くキャブレターの燃調をします。
タコメーターがないので感覚ですが、かなりアイドリングは落ち着いている感じです。
デル美ちゃんの場合、時折息継ぎするのは燃調が濃いせいらしいので、少しエアスクリューを開きめにします。
うん、だいぶいい感じになりました。
しばらくアイドリングさせても止まったり、勝手に高回転になったりしなくなりました。
ということで、エンジンがひと通りレストア完了しましたので、あとは外装関係をキレイに整えて上げれば、いよいよナンバー取得は目前です!
よかったね、デル美ちゃん!
…
……
て、なんですか?
その足元のオイル染みは……
というわけで、まだチョビ漏れしてるデル美ちゃん。
エンジンレストア、延長戦決定です。
続きます。
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