
大変長らくお待たせしました<m(_~_)m>
ようやく『マツダ・新型アテンザフォーラム~技術とデザイン~』の内容をアップします。
フォーラム全体の流れ(プログラム)は、
・オープニング
・プレゼンテーション
・パネルディスカッション
・フリートークセッション
・アンケート記入
というものでした。
「オープニング」は挨拶やプログラムの案内などだけだったので、「プレゼンテーション」以降について書いていきます。
★プレゼンテーション Vol. 1 「新型アテンザの開発」 (by 開発主査 梅下隆一氏)
まず、初代アテンザのキーナンバーとして “130” が挙げられました。これには2つの意味があって、1つ目は「世界中で約130以上の賞を受賞していること」、2つ目は「世界中で130万台以上販売されたこと」です。中でも欧州での人気が高く、3分の1以上に当たる49万台以上販売されたそうです。
そこで新型アテンザを開発する際、ライヴァルとしたのが
Passat や
Vectra などの欧州勢とのことです(ほかには Avensis や MARK X なども)。
“Zoom-Zoom evolution”(Zoom-Zoomの更なる進化)を掲げ、デザイン・ドライビング性能・環境および安全性能それぞれを徹底的に煮詰めることに。
中身は以下に箇条書きしていきます。
・パワステ…2WDの電動パワステは
RX-8 に採用されているものを進化させたもの。
・リアサスペンション…ダンパーを直立化(旧型=27.6度→新型=2.7度)。これによりリニアな操縦性を実現。
・39m…100km/hからの制動距離(乾いた路面)。
・静粛性…サスペンションやブッシュなど(走行性能に関わる部分)ではなく、ボディ自体を改善して解決。フロント部や屋根がよく振動するので、それらを改善した結果、車内の音は旧型に比べおよそ半分に抑えられている。
・CF-Net…
Cross
Functional
Networkの略。オーディオ・空調・トリップコンピュータといった多機能をステアリングを握ったまま操作できる。ディスプレイ表示とスイッチ操作を一致させ、階層を設けていない。
Vol. 1 は「世界で一番のミディアムスポーツセダンを造る」という開発メンバーの志を表す言葉で締めくくられました。
★プレゼンテーション Vol. 2 「新型アテンザのデザイン」 (by チーフデザイナー 佐藤洋一氏)
デザインテーマとして「大胆かつ繊細~対立要素が融合するダイナミズム」が掲げられました。このようなテーマを設定する背景には、自動車はどこでも造れるようになってきているのでアイデンティティの確立なくして販売は困難であるという自動車業界の現状があるそうです。
詳細は Vol. 1 と同様に箇条書きしていきます。
・「アスレティック」…若々しい・アクティヴ・スポーティ・本物の、といった要素に加えて各国の独自色(文化的価値観)
・3つのキーワード
幽玄…自然の美しいグラデーションetc.
凛…素朴な造形のインパクト(日本刀のような鋭さ)
精緻…繊細な造り込み(テールレンズ・ステアリング・メータに見られる)
・クリニック…2つのモデル(A&B)が高い評価を得た。
A…「好き嫌いがハッキリ分かれる」ことが決め手となり採用。
B…「みんなが『何となく好き』」だったが、佐藤氏いわく「何となく好き」が一番マズイ。

↑
モーターマガジン社刊『マツダ アテンザ』より。左がB、右が採用されたA。
・各ボディ形状について
セダン…端正な3Boxフォルム
スポーツ(5ドアHB)…ダイナミック・スポーティ・若々しい
スポーツワゴン…世界一Sexyなもの(←リアショルダーライン、RX-7(FD)に通ずる曲線美)・
スポーティ&プレミアム
・Battle of 0.5mm…ミリメートル単位のボディ形状最適化。フロントコーナー・Aピラー・サイドシル・Cピラー・トランクデッキ・リアコーナー・リアバンパー底を滑らかにするだけでなく、出すべき所は出っ張らせる(リアコーナーのテールレンズなど)。“空力エンジニアリング vs デザイナー” となったそうです。
・Battle of BHPL…ボンネットフードパーティングラインをめぐって。パーティングラインをプレスラインに沿って綺麗に通すに当たり、“エンジニア vs デザイナー” となったものの、どうにかデザイナーの主張に合わせることに。
・Battle of New Lamp…旧型の丸4つヘッドランプが高評価だったため、新型のデザインは当初誰も賛成しなかった。ここでもデザイナーが各方面を説得し、新しいデザインに。
★パネルディスカッション 「デザインルーム」
ここからは主に参加者の質問にスタッフが答えてくださる形になりましたが、佐藤氏が話された「妥協のパーティングライン」についてまずは書きます。

フロントフェンダーは非常に巧みな面構成になっていますが、これを成功させるためにはフロントタイヤハウス後部に横に入るパーティングラインがどうしても必要だったそうです。
(ひょっとすると、RX-8 のようにマイチェンを機にプレス技術が向上して無くなるかもしれませんね。)
では以下は “Q&A形式” で(Q=参加者、A=佐藤氏)。
Q. マツダスピードヴァージョンのようなホットモデルは?
A. 欲しいけれども、プロジェクトは無い。
Q. スポーツ(5ドアHB)のフォグランプ部の穴はなぜダミー?
A. この穴は欧州のディーゼル仕様のみ機能する。開けると空力上不利になる。
Q. ボディサイズ、欧州ではもう少し大きくという声もあるだろうが、日本では大きすぎでは?
A. 欧州では全体的に大型化の傾向がある。C・Dセグメントのみでなくマーケット全体を見てサイズを決定した。
Q. スポーツワゴンのルーフレール、直付けは考えなかった?
A. 考えなかった。欧州からはフローティングタイプのレールがリクエストされた。
Q. スポーツ(5ドアHB)のリアスポイラーの性能は?
A. 性能的にはプラスマイナスゼロで、空力バランスを崩さないもの。スタイリングのためだけに付いている。
Q. ファイヴポイントグリルがデザインの幅を狭めてないか、またこれは外せないのか?
A. ①ファイヴポイントグリルはブランド戦略なので守り通していき、伝統にする。
②デザインについては、時代に合わせて柔軟性を持たせる。
Q. 先代とはターゲットカスタマやイメージが異なるが、ボディカラーにイエローは?
(↑ハイ、これはディグセグの質問です^^;)
A. ボディカラーもマーケティング戦略の一環であり、徐々に良いカラーを出していく。当然、イエローも検討している。
Q. 絶対負けたくないライヴァルは?
A. アルファロメオには負けたくない。
パネルディスカッションは以上です。
★フリートークセッション 「エンジニアタウンミーティング」
こちらはすぐに “Q&A形式” になりました(Q=参加者、A=梅下氏を始めとするマツダのスタッフの方々)。
Q. マツダスピードヴァージョンのようなホットモデルは?
A. 無い
(やっぱり!?)…のでGHを購入してDIYを!(笑)
Q. ボンネットのパーティングラインに関して何かトラブルがあった?
A. 「どうやって造るの?」といった “社内大激震” があった。しかし、エンジニアの努力で何とか成功させた。
Q. マフラーなど手を加えたいが…
A. マークXのようなインテグレートされたマフラーも検討したが、ユーザに配慮し採用しなかった。
Q. プッシュボタンシステム “Zoom-Zoom♪” を決めたのは?
A. 梅下氏。「サウンドやイルミネーションなど、要らないようなコトは主査が決めた。」
Q. 5ATと6ATがあるのはなぜ?
A. 5ATはFF向けだが、軽量なので採用した。ちなみに、5ATは内製、6ATは外製。コンパクトで軽量な多段ATあれば採用したい。
Q. 4WDにMTの設定は?
A. 要望はあるが、現在4WD&MTは無い(欧州仕様も含めて)。4WDは日本仕様のみ。
Q. なぜ日本で売れない?
A. 梅下氏いわく、「率直に言えば、分からない。」(苦笑)
Q. 2LエンジンにMTは?(←ハイ、これまたディグセグの質問です^^;)
A. Zoom-Zoomな走り味は2.5LのMTの方がよりよく味わえる。また、国内市場をみるとMTの需要は…
★★★★★★
フォーラムの内容は以上です…と言ってもディグセグが乱雑にメモしたものをパソコンで打ち込んだだけですが(^_^;)
この後、アンケートに記入し、来場記念品として非売品のストラップをいただき終了となりました。
…う~ん、フォーラムの魅力を60%もお伝えできていないような…
やはり1週間経ってしまったからでしょうか…
改めて、スミマセン<m(_~_)m>
★★★★★★
あ、最後になってしまいましたが、トップの写真はディグセグがアテンザのカタログに佐藤洋一氏と梅下隆一氏のサインをいただいてきたものです。