
2023年1月22日のこと
この話はストーリーがあります。
雑誌のライターでもないですが、ただ淡々と描く話にするには勿体ない。
22日、日曜日。
昨夜までの夜勤のリズムを引きずったまま、僕は朝9時30分に目を覚ました。
今から準備して急げば、お気に入りのカフェでモーニングサービスに間に合う。
美味しいコーヒーとしっかりミルクが染み込んだフレンチトースト。塩気のあるサラダと甘いメープルシロップの組み合わせが絶妙だ。
しかし準備に少し手間取った。
もうお気に入りのカフェのモーニングのオーダー時間には間に合わない。
仕方ないから、カフェの新規開拓をしよう。
自宅から20分の別の喫茶店がある。
いわゆる純喫茶という部類に属するかもしれない。流行りとは違う、本当に好きな人しか行かない。そんなお店を見つけた。
早速、ケイマンを暖気して準備する。
それでも、モーニングサービスが終わる時間にはギリギリだ。
かと言って飛ばすようなことはしない。遅く出発した自分の責任だ。間に合わなかったら仕方ない。
お店の近くまで来たとき、僕はサイフの中の現金が少ないことを思い出した。
失敗した…( ̄O ̄;)
銀行のATMに立ち寄ろうする。しかし、そもそもお店の段差が高くてケイマンでは入れない…(T-T)
そう言えば500円玉なら、最近令和になってから新しくなったので美しい500円玉を数枚ストックしていた。それを使えば支払いはできる。
もしクイックペイが使えるならラッキーだ。
お店の前を通ると、段差が高い。事前にグーグルストリートで入口をチェックしていたが、実物の段差はもっと高かった。これじゃ入れない。
今日のモーニングは諦めよう。
お財布の手持ちが少ないことや、お目当ての喫茶店の段差が高い。全てにケチがついているから、これは
『今日は喫茶店は止めておいた方がいい』
という暗示なのだろうと考える。
都合よく考えなければ、落ち込んでしまう。ここは潔く諦めた方がいいのだ。こういう日もあるよ、と。
帰宅して節約のために自宅でお昼ご飯を食べて。
午後からガレージに置く為のチェアを買いに行こう♪
色々探して迷っていたけれど、近くのお店で見つけたカウンターチェア。
これに少し腰掛けて、ガレージ内でコーヒーを飲むんだ(´∀`)
と思っていました。

それに、10年に一度級の寒波がやってくる。
マーチの為に買ったスタッドレスタイヤも履かせたいし。午後からは忙しいなぁ。と。
普段なら右折して自宅へ向かう交差点に来た。
このときなぜかボクは、直進を選んだ。
直進しながらも、いつもと同じで右折すれば良かったかな?と思った。
でも直進した先に何かがある気がしたんだよね。
悪いことじゃなく、良いことなのかも分からない。だけど、なぜか右折するよりも直進したくなったのだ。
僕は悪いことだけは起こりませんように。そう願いながら、低めのギアを使い、エンジンの回転を高めにしながら、速度は控えめに走る。
そんな折、右側のコンビニで2台のポルシェを見かけた。そのうち1台は間違いなく、普通のポルシェではない。大きな羽が装着されている。
でも見ず知らずの2人に話しかけても、邪魔してしまうだけだ。それに、同じメーカーのクルマに乗っているからと言って、みんな仲間とは限らない。それぞれ趣味趣向、クルマとの付き合い方や所有感だって違う。
そう思っていた。
だけどこの日は違った。妙に話しかけてみたい気分になった。Uターンをし、2台のポルシェがいたコンビニに戻る。
話しかけてみると、気さくに応じて下さった。
見ず知らずのケイマン乗りが話しかけても邪険にされない。なんて懐の広い方なんだろう。すでにそこから嬉しかった。
たまたまこの辺りに来ていたらしく、知多半島の先の方を目指すとのこと。僕は冬の間は、塩カルを嫌って塩カルが撒かれない地域を選んで走る。
知多半島がそれに当たる。
ひょんなことから、僕が今回のツーリングのご案内をすることになった。

途中の高速で入れ替わりながら走る。
ポルシェ911の中でも、一際輝く特別な存在。
996型GT3
997後期型GT3RS 3.8
特にRS3.8は、日本にポルシェジャパンからは正規輸入されていないため、確か50台も無いのではないだろうか。
高速を少し走らせる。途中で入れ替わりながら。澄んだ音を響かせながら、GT3が走る。
爆音だと思っていたので、少し意外だった。
聞けば、お二人とも意外にも近くに住んでいたようで、ここで出会ったのも何かの偶然…?
愛知県の南知多にある『あゆちゃん家』に到着。

お刺身とエビフライのランチを頂きました。
お食事ももちろん美味しいのですが、お話ししながら楽しく食事が出来ました(^^)

後ろからのショット。
必要に迫られて、装着されたリアウイング。
そのカタチ全てに意味がある。

内装はアルカンターラ貼り。
質感はとても高い。しかし、必要なものしかなく、過度な装飾は一切無い。

リクライニングしない、フルバケットシート。
そして室内に張り巡らせたロールケージ。
ポルシェは意味もなく飾りで装着しているとは思えません。
こんなハードなポルシェ。実はオーナーさんは日常的に走らせているそう。飾ったり仕舞っておくのではなく、『乗りたいから乗る』というカッコいいお方でした!
お二人とも、SNSの類いはされていないようなので、ここで出会えたことは幸運としか言いようがありません。
さて、2台のポルシェのうちの一台。
997型 911GT3 RS3.8に乗らせていただけることに。
本当に感謝しかありません。オーナー様のご厚意で、半日も乗らさせていただくことが出来ました。
RRの911はフロントが軽い。
これはお店で試乗したことがある993型も同じ。
切り始めは軽いから動きが良い。
そこから先の動きは、タイヤに荷重が乗っていないから少しだけ鈍くなりそうな予感が出てくる。
上手く言えないけど、鋭さだけで言えばミッドシップのポルシェの方が鋭さは感じられる。
だから911キチンとフロントに荷重をかけてあげられると、速くコーナーを抜けられそう(な予感)
でも、RRの利点はフロントが軽いということじゃない。
重めのリアがフロントの後から着いてくる感覚がする。
加速時のリアの踏ん張り感(トラクション)が、MRのケイマンよりもあるので、この少しのクセが911でしか味わえないアジなんだろうなと感じました。
全ての動きが、リアを中心にして動く感覚。

世界のどのクルマでも味わえない911だけの感覚。
ステアリング、段差を乗り越える際のダンピング。
全てにおいてどこにもクルマの緩みなどありませんでした。
2000回転でゆっくり走らせることも可能。
ガラガラとトラックやバスのようなエンジンの揺れ感や音が聞こえる。
3000回転以上からガラガラした感覚が消えて
4000回転から8500回転まではロケットのように一瞬です。
街中では全ての操作性が硬くて重たい。
ひとたび高速に乗ると、全ての調律が取れたようにピタリと合う。
ケイマンとは得意とする領域のケタが違う。
僕はレーシングカーなんて乗ったことはない。
せいぜいシビックのワンメイク車両か、カートが良いところです。
ですが、素直に思ったのはこんな言葉。
誰が言ったのか
【地上を舞う戦闘機】
ボクは地上の戦闘機のようだと思えたクルマに初めて触れることが出来ました。
痺れました。
これは、まるでレーシングカーのようだと紹介されるポルシェです。
普通に街中で走らせることは出来ます。
お買い物に使うことも出来ます。
でも、裏切らないけどミスしたら裏切りそうな予感。
常にドライバーにどこか緊張感を持つことを強いるマシン。
まるで猛獣に鎖を繋いで散歩させてるかのような。
龍の背中に乗って道路を舐めるように飛ぶような。
踏み込めばいつでも非日常、異次元の世界へ連れて行ってくれる。
これがポルシェの中でも特別な存在。
73年カレラRS2.7から始まったレンシュポルト(Renn Sport)の系譜なんだなと感じました。
ただ、クルマとしての優劣ではなく、コレが好きなら乗った方がいいですね。というものだと思います。
前にもケイマンのインプレで書きましたが、ポルシェ(GT-RやコルベットやBMW Mなど)は各世代にファンがいる。それと同じように各モデルにもファンがいる。だから、自分が買える範囲内で好きなポルシェを選べばいいという話です。ポルシェがクルマにかかったコストを乗せたら、新車価格が高くなっただけのことですので(^◇^;)
でもボクには買えません(笑)
絶対と言ったら自分のあらゆる可能性が消えてしまうので、絶対買えないとは言いたくないですけど…。
もしも次のポルシェを買えるなら
なるべく古〜い昔のモデルがいいかな…(*´-`)
今日出会ったお二人とも、今どき珍しいマニュアル車至上主義者でした。何だかベクトルが同じだと嬉しくなってしまいますね✨
もちろん、クルマイジりが好きな方もドライブ好きな方も同じです✨
年齢や職業など関係なく、好きなことが同じ仲間というのはとても素敵です。
とても天気が良く、夕陽も美しい冬の一日でした。