先日はデビュー直後の大盛況で試乗も5分程度、と「乗り込んだだけ」に近いような328iでしたが、今度はもう少し長く乗らせていただきました。
とは言え、走行距離はまだ770Km…相変わらず全力加速や高回転は回せませんが、前回よりは実りの多い試乗になりました。
多くの方から御指摘のある、アイドリングでのカラカラ音ですが、言われてみると確かにしています。でも、D3君に乗っている身からすると「家の子より全然静か〜」という感じで(爆)、個人的には気になりませんでした。以前乗っていた135iも、ボンネットを開けると盛大にディーゼルっぽい音がしていましたので、これは直噴エンジンの宿命かもしれませんね。多分、排気音が静かな分、余計アイドリングが気になるのだと思います。走り出すと全く気になりませんでした。
前回は普通に直進して路地をぐるっと回って帰ってきただけでエンジンの回り方の詳細なチェックは全然出来ませんでしたので、今回は敢えて「スポーツモードで完全マニュアルシフト」で試してみました。普通に走っているとあまり使わなさそうな、2速、3速中心で慣らしのリミットの4500回転までは目一杯使ってみました(爆)。
それでも、印象は以前試乗した116iを一回り大きくしたエンジン、という感じでした。もちろんピックアップは良くてターボを感じさせず、トルクのある分スピードの乗りも確実に上です。自分の感覚よりもスピードメーターを見ると速度が出ているのは、滑らかに加速していくせいだと思います。
ただ、エンジンブレーキに関しては弱めの印象があり、これがターボのせいなのかATのセッティングのせいなのかは微妙ですが、ワインディングなどで荷重移動をするような役には立たない、と感じました。
今回はちょっとワインディングっぽい道も走れましたが、予想を上回ってかなりコーナリングは速いです。
以前試乗したパナメーラだとタイヤが鳴いたくらいの速さでも、綺麗に曲がっていきます。ただ、ステアリングが軽くて手応えがないので、ちょっと不安な感じは受けました。試乗車はラグジュアリーモデルだったので、シートのサポートも足りない部分、余計にそういう印象を受けたかもしれません。でも、F20型1シリーズより安定したコーナリングの感じでした。
ところが、帰りにのった高速道路では印象が一変…今度は普通にATをスポーツモードにしただけにしましたが、そうすると80Km/hでは2000回転で回っています。ここから踏むと…意外と加速しません。明確なターボラグを感じます。これもATのセッティングかもしれませんが、スポーツモードにしているので、コンフォートやエコプロモードより反応は良いはず。カタログデータでは1250回転から350Nmの最大トルクを発生するはずなのに、加速が鈍いです。これならば、E90の320iの方が絶対値は少ないかもしれませんが、加速が気持ち良いです。
そこでもう少し踏み足すとシフトダウンして加速が始まりますが、やや唐突です。ここでは8速ATのアドバンテージは燃費以外には感じられませんでした。これに関しては、6速ATのALPINA D3 Biturboの方が反応も鋭く、加速も自然で力強いです。
以前試乗した
ALPINA B5 Biturboでは、アクセルの踏み方に応じて、シフトダウンが1速〜3速と臨機応変に対応し、しかもそれが滑らかに変わるので感動ものでしたが、同じ8速ATのはずが結構違いました。
高速を降りてからはATを「エコプロモード」にして走りましたが、逆にこのモードで加速すると、ちょっと高いギアにホールドしたまま無理めの負荷になる感じで「おお、エンジンが頑張ってねばっているなぁ」という感触で、逆に楽しめました。
試乗を終えてからもディーラーで担当の方と1時間近く色々話し込んでしまいましたが、「328iがこの価格なら、加速が少し鈍くても320iで良いし、同じ価格ならM135iの方を買いたいですね」という意見には納得されていました(爆)。
帰りにD3君に乗り換えて同じ道を走りましたが(爆)、アイドリングはうるさいものの、滑らかで力強い加速、ワインディングに持ち込んでも滑らかでかつしっかりした手応えのステアリング、更に速いコーナリングと安定感、曲がりが楽しいPilotSuperSport、と手前味噌ながらずっと楽しい車でした。
冷静に車単体で評価すれば、F30型328iは充分高性能で高級な車です。4気筒からの乗り換えであれば、充分おすすめ出来る車です。ただ、
「どこにも不満は無いが、感動も得られない」感じはしました。
滑らかに静かにどんどん加速しますが、スピード感はありませんし、ハンドルは軽くて楽ですがどこか人工的な感触ですし、ワインディングでもコーナーは速くてかなりの実力なのに、シートのサポートは少ない上にステアリングの手応えが無いために安心して飛ばす感触が得られません。効率を重視した結果味わいが薄れた感じです。
でも、みなさんちょっと思い出してみて下さい。昔から新車がでる度に、大抵の車は
「速くて快適になったけれども味わいが薄れた」と言われ続けてきたのではないでしょうか。
良い車にしようとすると当然効率重視になりますが、結局それが味わいを薄める結果になるような気がします。
かく言う私も、BMWで一番感動したのは最初に乗ったE36-328iカブリオレで、「こんなに気持ち良いトルクの出方をするのか」とか「バイクのようにアクセルで曲がる車だ!」とか「直進がびしっとしているのに、ステアリングを切った途端に綺麗に曲がるのは何故!!」とか思ったものです。
現在のBMWの方が、パワーもトルクも段違いに大きく、コーナリングも速いですが、E36のような味わいはありません。もちろん自然吸気の直6に関しても、綺麗に気持ちよく吹け上がりますが、トルクの出方に関しては淡泊です。
現在では二酸化炭素排出のしばりでエンジンはダウンサイジングターボになり、衝突安全や燃費のための空力重視のために魅力的なデザインはしにくくなっています。
こうした時代には、以前のような気持ちよい味わいは期待出来なくても仕方がなかもしれません。
もちろん、手間暇かけて部品を吟味し、丁寧に組み上げれば感動的な仕上がりになる事はALPINAが証明していますが、大量生産の時代にそんな事はしにくいのは当然です。
そういう意味ではF30型3シリーズは充分納得出来る性能になっている気はしますし、1シリーズの出来を考えてもBMWはかなりの努力をしているのではないかと思います。ただ、高級オーディオの如く、努力が分かり易い形で出てきていない感じはしますが。
でも、燃費が気にならなければ、E90で6気筒に乗っておられる方は買い換えの必要性は無いかな、と密かに思ったりもします。また、リアシートの広さや、トランクスペースの点で納得出来れば1シリーズでも良いような気がしますので、3シリーズとしての明確なアドバンテージが無い気がします。
本来ベーシックな中型セダン?としてはいま一つお買い得感がない328iが最初に導入された事に疑問を感じる部分もあるので、どうしてもすぐ欲しい方以外は、320iや320dが導入されてから比較検討された方がいいと個人的には思います。
また、モータージャーナリストの記事では「○×サーキットで真価を発揮した」云々の記事も散見されますが、大いに疑問です。サーキットの限界走行でいくら気持ち良くても、その片鱗を普段使いで全く感じられないのなら意味がないと思います。その点、飛ばさなくても高性能を味わえるALPINAやP様の方が、まっとうな車造りをしていると思いますがいかがでしょうか。
BMWの主義からすると、1気筒当たり500ccのエンジン哲学はゆずらないでしょうから、必然的に直6は3L前後になるので新規に直6を作るとすると4L以上のエンジンの置き換えとなるダウンサイジングターボしかあり得ない気がしますが、果たしてどうなるのでしょうか。
これからは、ダウンサイジングだけではなく「ダウンスピードでも気持ち良さ、高級感が味わえる」車造りがBMWのようなプレミアムメーカーには必要になってくると思います。そういう意味では、3シリーズより1シリーズの方に魅力を感じてしまいますね。
ディーゼルエンジンに関しては、4気筒も6気筒も性能向上が素晴らしいので、次期M3に乗るエンジンに期待大ですが、どんなものでしょうか。
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試乗インプレ | 日記
Posted at
2012/03/07 13:49:10