買い物の途中でマツダのディーラーさんを素通りしたら新型デミオらしい車が置いてあったので、帰りに寄ってみました。マツダ定番のメタリックレッドですが、とても綺麗ですね。
店内には今日展示されたばかりのダークブルーとレッドの2台が。車内を見て乗り込んだだけでしたが、手動でもシートポジションはしっかり決まり、売りの一つのペダルレイアウトも確かに違和感無く、アクセルペダルもオルガン式でしたのでフィーリングが良さそうでした。
リアシートの普通に座れる広さでトランク容量も結構広く、2台目にちょい乗りとして使う分には何不自由ない出来かなぁ、と思いました。
ディーゼルの話を伺おうと思ったら、どの店員さんからも「どうしてディーゼルをお考えなのですか?」と逆に聞かれたのがちょっと笑えましたが、「今ディーゼルの車に乗っているので…」と答えても、どなたもBMWのディーゼルについてはあまりご存じないようでした。
試乗車が実際に来るのは10月中旬くらいになるようなのでちょっと残念でしたが、「それならディーゼルのフィーリングを参考までに走ってみてはいかがですか?」という事で、やっとスカイアクティブディーゼル初試乗になりました(爆)。
試乗車はアクセラのAT車でした。電動シートでしたが、シートポジションはすぐにしっかり合わせられ(この辺り、マツダの車は造り込みが良いですね)、メーターナセルの向こうに立ち上がったヘッドアップディスプレーにちょっとびっくり。上手く見えなかったのでシートの上下で調節しようとしましたが、店員さんに教えてもらって表示の上下調節が出来ました。この表示、BMWのガラスに投影するタイプとは違いますが、こちらも見易くて良いですね。
期待しながらエンジンを掛けると…意外と振動があり、細かい振動がブレーキペダルに伝わって来ます。アイドリング音そのものも静かですが、はっきりディーゼルと分かる音質です。
微妙にがっかりしながら発進すると、低速トルクがちょっと細い印象です。回転は直ぐに2000回転以上に上がってそこから加速する印象で、ディーゼルから予想される押し出しの良さはあまり感じませんでした。もちろん、ガソリン車に比べると充分トルクは太いのですがやや拍子抜けでした。ミドリーヌ号だと1300回転から有効なトルクが出て、1500-2000回転あれば日常では充分以上の加速になります。
高回転までマニュアルモードで回してみても、確かに5400回転近くまで振動も無く回りきりますが、スムーズな反面あまりパワフルな印象はありませんでした。それに比べるとミドリーヌ号のレブリミットは5000回転ですが、きちんとパワーを伴って一気に回ります。体感的には1.5倍〜2倍近い印象です。
スカイアクティブディーゼルのデビュー時からシトロエンにお乗りの方から「低速トルクが無くて線が細い」といった声が聞かれましたが、それを再確認した感じです。車そのものは良い出来だと思いましたが、エンジンがこの出来であれば、アテンザと320dを比較したら私は迷わず320dを選びます。
アイドリング時の音や振動は試乗車がアクセラでしたので、アテンザやCX-5だとまた違うのかもしれませんね。BMWのN47エンジンでも、
320dに比べて523dは遮音などがしっかりしていて全くディーゼルを感じさせず、車格の違いを感じましたので。さらに、320dはデビュー時よりも改良がされているようで、フィーリングは向上していましたから、以前よりも振動などは少なくなっています。
それにしてもモータージャーナリストの「低速から太いトルクで、振動もなく5400回転までガソリンエンジンのように吹け上がる」と言ったインプレには若干の誇張がある気がしました。確かにディーゼル初体験の方や、ガソリンエンジンに慣れた方だとそういう印象になるかもしれませんが、ディーゼル乗りの目からするとそこまでの出来とは思えませんでした。
いつもお世話になっているこの方からのグラフを毎度のように拝借すると、ミドリーヌ号とは大差が付いているのが一目瞭然です。例えば、1500回転でのトルクは350Nm対470Nmで、体感的にはほぼ1.5倍です。スカイアクティブディーゼルのトルクピークは420Nmですが、2000回転で一瞬到達するだけなので、ピークのエリアと考えると400Nmが正直なところでしょう。
さらに、トルクピークを過ぎてからのトルクの減少が最新型のB47エンジンはおろかN47エンジンに比べてもダラ下がりになっています。とても大小2つのツインターボとは思えない高回転特性です。同じツインターボのN47-325dやミドリーヌ号(D3Biturbo)がトルクピークからなだらかにトルクが下がっていくのと大違いで、この部分だけ見ると「なんでツインターボなのにこんなに高回転でスカなの?」と思ってしまいます。
その結果はパワーにも現れていて、BMWのエンジン群はパワーピークまで一直線に盛り上がった上に、ピークを越えても落ち込みは普通ですが、スカイアクティブディーゼルは3000回転からパワーの盛り上がりが一気に緩くなり、4500回転からの落ち込みは一気で、回転限界は高いものの回す意味を感じさせないパワー特性になっています。ちょうど3000回転まではB47-320dエンジンとほぼ同じ出力特性ですが、そこから先が尻つぼみになっているのが感じられると思います。実際に乗ってみた印象に合致するパワー特性ですね。
大分酷評してしまいましたが、スカイアクティブディーゼルの真骨頂は「PCCI燃焼をするために圧縮比を下げ、その目的のためにツインターボを使用する」という事で従来のディーゼルエンジンとは全くアプローチが違います。ですから、こうしたエンジン特性になっても致し方ないのかもしれませんし、ガソリン的な特性と考えれば充分高性能です。ミドリーヌ号と比べると大体500回転くらい高くエンジンが回っていましたが、どうやら負荷を減らしてPCCIで走る領域を増やしているようなので、やはりそういう基本特性のようですね。
個人的には、低速用の小径タービンと高速用の大径タービンのセッティングを変える事で、もう少し魅力的なエンジンになると思うのですが、そうするとPCCI領域を超えてしまって当初の狙いが達成出来ないのかもしれませんね。
新型デミオのエンジンはシングルターボながら当然VGTが搭載されていますし、コンパクトカーとしての用途もあるのでより低速からトルクが盛り上がる設定なのでは、と期待しています。10月のリベンジ?が楽しみです。
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試乗インプレ | 日記
Posted at
2014/09/21 10:39:27