先日、B47型をベースにしたツインターボディーゼルがX1-xDrive25dに搭載された事が分かってちょっとブログに追加しましたが、
いつも大変お世話になっているこの方にまたまた比較グラフを作っていただきました。
どちらかというと最近10年間くらいですが、アルミブロックでボア/ストロークも一緒のBMW4気筒2Lディーゼルエンジンがどのように進化してきたか分かる素晴らしいグラフですね。
まずは一番ベーシックなN47型の「20d」エンジンです。当初は177ps/350Nmでしたが、現行モデルは184ps/380Nmにややパワーアップしています。このエンジンの性能曲線がシングルターボの基本的な性能と考えて良いかと思います。
低速トルクはアイドリングから1500回転までは一気に立ち上がってほぼ340Nmに達し、そこからはやや緩やかにピークの380Nmになるのが1750回転です。そこからピークトルクを維持するのが2750回転までで徐々にトルクは落ちていきますが、4000回転から上の落ち込みはやや急ですね。しかしこれでも、8速ATとのマッチングの良さもあり充分トルクがあってパワフルな感じです。
その少し上のトルクカーブはこのN47型をツインターボ化した「23d」エンジンです。ディーゼルファンの方以外には馴染みの無いエンジンだと思いますが、実はこのエンジンはALPINAが開発したらしく、本来は3シリーズに載せる予定だったのが6気筒3Lの「325d(197ps/400Nm)」と完全にバッティングするパフォーマンス(204ps/400Nm)だったのでやむなく1シリーズに載せた(6気筒ディーゼルはエンジン重量のためフロントヘビーになって却下)といういわくつきのエンジンです。特筆して良いのは、市販ディーゼルエンジンとして世界で初めてリッター当たり100Psを突破したところでしょうか。
性能曲線を見ると、低速トルクの立ち上がりは「20d」より鋭く、特に300Nmまではかなり差がある感じです。トルクピークの400Nmに達するのは2000から2250回転とやや狭いですが、390Nmを発するのは1700から3300回転とかなりワイドです。そして高回転側のトルクの落ち込みも緩やかで、4800回転くらいまで回るのでパワフルですね。
この「23d」とオーバーラップする感じの緑色の曲線は今回注目の新型B47エンジンです。シングルターボでありながらツインターボの「23d」とほぼ互角の低速トルクの立ち上がりで、320Nm以上の部分では上回ってさえいます。そこから3100回転近辺までは全域で「23d」のトルクを上回っているのにはびっくりです。
何度か書きましたが、B47型(多分B37型、B57型も)は従来よりもターボの回転摩擦が半分になっているらしく、ブーストのレスポンスがかなり良いと思われます。それに対して「23d」の低速側ターボにはVGTが装着されていないため、ツインターボであってもほぼ同等の低速トルクの立ち上がりになったようです。
しかし、高回転側のトルクの落ち込みはN47型20dと大差ないので、この辺りはシングルターボの限界かもしれません。それでもレブリミットが上がっているのは新型エンジンの改良点ですね。デチューン版の150ps/330Nmの218dでも充分トルクが太くてパワフルでしたのでシングルターボであっても4000回転まではツインターボの「23d」とほぼ互角なところにまで進歩したと言えそうです。
その少し上を行くのがALPIANA D3Biturboです。これは「23d」をALPINAがチューンしているのですが、全体的に「23d」がそのまま上に上がったようなトルクカーブですね。ECUチューンなどでブーストアップしていると思われますが、なぜか4000回転以上のトルクの落ち込みが少なく、パワーカーブは自然吸気のガソリンエンジンのようです。これはアルピナマジックでしょうか(爆)。低速からパワフルな上に回しても楽しいエンジンなのは実際に乗った方は実感していただけると思います。
これとオーバーラップしている紫色の曲線は、「23d」とD3Biturboのエンジンを改良したN47型「25d」エンジンです。これまた日本に導入されていないので馴染みが無いですが、「23d」とは違って本国では1シリーズからX5にまで搭載されているメジャーな4気筒ディーゼルです。
このエンジンの特徴は低速側のターボにもVGT(可変ジオメトリー)が搭載されている点で、そのため低速トルクの立ち上がりが更に鋭くなっています。1500回転の時点で最大トルクの450Nmまで一気に到達しているのはかなりトルクフルな感じですね。D3Biturboと比較しても最大トルクの発生領域が1500から2500回転とかなりワイドになっているのもさすがです。数値的にも最大出力が160Kw/218psとやや上回っているので、ほとんど両者は互角と思われます。新型D3Biturboが3L6気筒ディーゼルに移行してしまったのは、4気筒だとこのエンジンとの差別化が付けにくかったのかもしれませんね。
そして真打ちは新型B47をベースにツインターボ化した「25d」エンジンです。先程述べたターボの改良の賜物でしょうか、低速トルクの立ち上がりはさらに鋭くなって、1200回転ですでに400Nmを突破しています。シングルターボ勢は250Nm前後ですのでかなり差がある感じです。そこからはやや上昇が鈍りますが、450Nmのトルクピークも更に広くなっていて1500から3000回転になっており、パワーカーブもN47-25d、D3Biturboに比べても2500回転から一気に伸びる感じです。400Nm以上を発生するのは1200から4000回転に渡っており、「常用域では全域パワーバンド」と言っても差し支えなさそうです。
そしてもう一つ特筆すべきは
「トルク100Nm当たり50psを突破した!」という点です。元々ディーゼルエンジンはトルク型であまり回りませんので最大トルクに対して最高出力は低めで最大トルク100Nmあたりで40から45ps程度が普通なのですが、高性能エンジンですとそれが50psに近付きます。前に説明した「23d」エンジンはリッター当たり100psも超えていますし100Nm当たりでも52psなので当時としてはかなり画期的でした。現在でも100Nm当たり50psを突破しているのはN57型のトリプルターボ!が381ps/740Nmで100Nm当たり51.4psですが、B48型25dは51.3psとほぼ互角の高性能です。是非日本に導入していただきたいですね。
ちなみに我が家のミドリーヌ号はちょこっといじってあるため(爆)純正マップにもかかわらず実測で250ps/500Nm出ていましたので、このようなカーブになります。245ps/350NmのF30-328iと比べても4000回転まではパワーも上回っていますので、常用域ではハイパワーディーゼルはかなり速くて楽しいと思います。
それにしても、B47型ツインターボディーゼルの231ps/450Nmというのは
一昔前のハイパワーディーゼルのALPINA D10Biturbo(3L6気筒)の245ps/500Nmに肉薄するものであり、低速のトルクレスポンスは凌駕しているかもしれません。技術の進歩は素晴らしいですね。こんなエンジンが標準エンジンとして1,3,5シリーズ、X1、X3、X5などに広範に搭載されるとはドイツ本国が羨ましいです。
BMWの4気筒ディーゼルを検証しただけでもこれだけの進歩が見られますから、これから導入されるジャガーやVolvo、VWのディーゼルエンジンも最新型ですのでかなりの実力だと思います。これから購入される方は本当に楽しみですね。
それにしても、BMWジャパンは4気筒ツインターボを導入してくれないのかなぁ(遠い目)。
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BMWディーゼル | 日記
Posted at
2015/06/18 13:44:36