• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+
イイね!
2023年02月08日

やっぱりですね…MSJ撤退発表

やっぱりですね…MSJ撤退発表
もう明らかに予想された事ですが、開発を凍結していた国産旅客機のMSJ、とうとう開発中止になりましたね。前回の開発凍結のニュースからはもう2年半も経っていますから、今更どうやっても遅れを取り戻すのは不可能でしょうが残念ですね。興味の無い方なら「三菱住友?」とか「ユニバーサルジャパンの間違い?」とか言われそうです(爆)。


開発凍結が決まった時点で受注もキャンセルされたので、たとえ開発が再開出来たとしても受注を取り戻すのは難しかったでしょうし、当初は「コロナ禍が収束すれば需要も回復して開発再開すれば顧客も確保出来る」との読みがあったかもしれません。実際にはコロナ禍はなかなか収束しない上にウクライナ紛争や半導体不足、円安などで経済状況がどんどん悪化していったのは想定外とは言え開発計画にとどめを刺した感じですね。


実際問題として型式証明が5回も遅延したのが計画の大きな欠陥のような気がしますが、それに関しては三菱MRJでは、国土交通省航空局(JCAB)の型式証明と同時に、連邦航空局(FAA)の証明を取得する方針を採ったものの、JCABとの連携で満足な基準を作れず、完成した試作機2016年にを米国に持ち込んだものの型式証明を認められなかった時点で「日本という国家が、航空機の安全を国際的に担保する能力に欠けている」と言う烙印を押されたという残念な証明になってしまったようです。


それに比べると規模は明らかに小さいものの最初は道楽で始まったようなHONDAJetが成功し、パーソナルジェットのカテゴリー内でここ数年トップセールスを続けているほどの大成功を収めたのは、開発拠点、製造拠点を米国に置いて米国で設計開発された正真正銘米国製の飛行機だからなのでしょうね。HONDAは自動車生産で色々苦労して米国での現地生産にいち早く踏み切った経緯もあって航空機は始めから米国でのビジネスにしたのかもしれません。


三菱重工には日本のメーカーとしてのプライドもあったかもしれませんが、航空機を新規に開発するにあたっての色々な条件をもっと真剣に検討するべきだったのかもしれませんし、経産省とNEDOが実施したMRJに向けての技術研究は、国による認証制度に対しては非常に不十分だった事が今回の事態を招いたのではないでしょうか。


そういう意味で当初の目論見が外れた事例としては、静岡県民ならお馴染みで最近全国ニュースでもちらほら取り上げられ始めたリニア新幹線の工事です。


これが完成すれば品川ー名古屋間が30分ちょっとで料金も現行新幹線と大差無いと言えばメリットだらけ(特に山梨県民…というか甲府周辺の方)のような気がします。都内からならもう名古屋へは飛行機を使う必要は全く無くなるくらいの利便性ではあります。


それが何故頓挫しているかと言えば、甲府から岐阜県の駅に向かう区間で静岡県が北部に出っぱった南アルプスを貫通する工事に対して懸念があるからです。


大まかに言うと①トンネル工事による水系枯渇②生態系の破壊③工事による残土の処理問題ですが、①と②は工事計画が始まった時点からずっと問題視されている事です。何故今になっても問題解決の糸口すら見えないのか…静岡県知事のわがままのように捉える意見もありますが、そう簡単な問題では無いと思っています。


静岡県民でもあまり御存知無い方も多いですが、戦前の1918年に始まった東海道本線の丹那トンネルの工事はかなりの難工事で、トンネル工事中の破砕帯からの流水を排出するために水抜き坑を14Kmも増設し、結果として芦ノ湖の3杯分の水を丹那流域から抜いたそうです。


その結果何が起こったか…それまで肥沃でわさび田などがあった丹那の農村地域では農業用水はおろか飲料水の確保にも困るまで水が枯渇して当然農業は出来なくなり、酪農への転換を余儀なくされた訳です。


更にこの工事は当時の国策として推進されたため該当地域の住民には十分な説明も無しに強行され補償もおざなりで、泣き寝入り状態でした。現在は観光施設などあり酪農が有名な函南町ですが、こうした悲しい黒歴史もあるのです。当時の鉄道省の関係者の人等は当然全員故人でしょうから、責任の所在も闇の中でしょうね。


皮肉な事に、この丹那地域の失われた伏流水は何処に行ったかと言うと、流れを変えて熱海方面に向かったため、それまでは飲料水の確保にすら困っていた熱海の住民には福音となり、その後の温泉の発展にもつながったようです。


今回の工事による大井川水系に直接関係する破砕帯だけでも、(平均的に)幅800m、深さ500m、そして長さは30㎞という膨大なもので過去に類を見ない規模でその影響はかなり予測が困難です。


この大井川水系の利用自治体は10市町で約57万人ですから、戦前の丹那地区の数千人?に比べると多大な影響を及ぼす可能性があります。ですから、静岡県知事だけではなく、静岡県民の懸念も真っ当なものなのです。


実際にどれだけの水量枯渇が起きるかは予断を許さないものの、現実的な対処としては大井川最上流部から富士川に水を流している東京電力田代ダムの取水を抑制するというのが対処療法としては最善かもしれませんが、こんな事は工事計画時から分かっていた事なので、JR東海の対応の不備に感じてしまいます。


そもそも2027年の開通目標ありきでとにかく工事を推進する、という態度がありありなのが、今回のMSJ開発計画頓挫に通じるものがありますね。リニア開通に対して反対する積もりはありませんが、一方的な工事計画の押し付けは反感を買うだけです。


ちなみにリニア新幹線が開通しても静岡県民には全くと言うほどメリットはありません。リニア推進派が良く言う、「リニアが開通すれば東海道新幹線ののぞみの本数が減ってひかりやこだまの本数が増えて静岡県にもメリットはある」とか言ってますが、


熱海から名古屋方面にこだまに乗車した方は痛感するところですが、静岡県内に6つもある新幹線の駅で三島駅、新富士駅、静岡駅、掛川駅、浜松駅で、こだま号はのぞみやひかりの通過を待つために各駅で最低5分、酷い時には10分以上停車して2本の列車の通過を待たされています。


このため、熱海に停車するひかり号なら1時間ちょっとで到着するところが2時間以上かかります。新幹線どころか在来線の快速並みです。そんな列車でも1時間に1本か2本なのでローカル線並みですし、それでいて料金はしっかり新幹線の特急料金を取られます。しかも東海道本線の在来急行は廃止されているので、他には鈍行しか選択肢がありません。


リニアが開通したら便利になるのではなく、現在の状態が異常で不便な事をJR東海は認識すべきです。


高速道路が高速料金を取っておいて50Km/h制限だったらみんな激怒するでしょう。今の静岡県内の新幹線は同様の状況です。異常な状況を正常な状態に戻すのがそもそも当然で、「静岡県民の利便性を向上する」と言った安易なお題目ではありません(怒)。それなら、真下を新幹線が走っている富士山静岡空港に新駅を設置して空港直結の日本一便利な駅にすべきです。


ちなみに、たとえリニア新幹線が名古屋まで開通したとしても本来の目的地の大阪までの開通は2035年と全然先ですし、当初は奈良を経由予定だったのが今頃になって京都が「やっぱりリニアは京都を通して欲しいなぁ」なんてごね始めているので(爆)、こちらも当初の開通予定は伸びそうですね。


新東名高速も本来だったら東京オリンピックまでに海老名ー豊田の区間が全通するはずだったのに用地買収やら地盤脆弱やらで工期は伸びに伸びて未だに海老名ー御殿場区間は工事中です。リニア新幹線だって2027年に開通させる必然性は別に無いので(爆)、静岡県民の同意をしっかり得る積もりが無いまま急ぐのなら、いっその事大回りで山梨県内だけ通るもっと北回りのコースでとっとと開通させてはいかがでしょうか(苦笑)。
ブログ一覧 | 乗り物 | 日記
Posted at 2023/02/09 05:09:18

イイね!0件



タグ

今、あなたにおすすめ

関連記事

リニアと静岡県民
ROUSSILLONさん

日本の探査機がなかなか月に逝かない ...
waiqueureさん

米国親族移民F1 First Cl ...
wgetmoneyさん

灼熱の大地に着陸する空港 / Ph ...
44loveさん

嫦娥の本懐とは舐められたら殺す|ω ...
waiqueureさん

#8月に思うこと 太平洋戦争、日本 ...
ntkd29さん

この記事へのコメント

2023年2月9日 8:19
MRJは当初の段階で平和ボケしている三菱幹部と国の幹部がアメリカの航空業界や許認可する人間たちに技術を自慢しすぎて「こんなもん許したら三菱儲かるじゃん」と思わせてしまい、シンプルに潰されたそうです。さらにアホなのは、真正面から耐空証明を取りに行ったこと、、、YS11だって超苦労した挙句に、あれも実は裏から手を回したのに、、、エンジンにしてもアメリカ製なんで明らかに遅延させられてましたし。ホンダはそこんとこ強かでしたね。

リニアは、、、要らないです、笑。大阪の宿泊産業は「出張が絶対日帰りになるし、困る」とか色々弊害が多いんですよね、リニア。挙句、超長距離の破砕帯(黒部の何倍とか何十倍の長さだとか?)を通過する技術がない、、、そして工事現場に行く道が毎年崩落、、、どっちかというとちょっとナニな静岡県知事の感情論にフォーカスが行きますが、そもそも技術的に困難すぎる事と、それに伴うコストアップにより、ただでさえペイ出来ない計画がさらにペイ出来ない事になる事じ全く視線が向かないのは違和感しかないです。

全然大丈夫じゃない、日本、苦笑。
コメントへの返答
2023年2月9日 8:32
いつもコメントどうもです。

MRJの件は自らの技術を過信した三菱と準備不十分なまま適当に計画を推進した国が自滅した好例なのかもしれませんね。そういう意味では国力の衰退を象徴する出来事なのかもしれないですね。

東京ー大阪間が1時間だと日帰りでほぼ全て事足りるのでビジネス関係の宿泊業にとっては死活問題かもしれませんね。

丹那トンネルや黒部トンネルであれだけ苦労したのに、南アルプス貫通トンネルが想定通り簡単に開通出来るとはとても思えませんが、まずは着工に向けて落とし所が大切ですね。
2023年2月10日 12:24
まぁFAAは日本製ジェットエンジンを認可するつもりがないですからねぇ。
最初の甘い考えで失敗したので三菱は技術者をアメリカから呼んで対策したんですが、その対策に時間がかかりすぎてFAAの基準が変わって一から出直したりと後手後手に回った上、新基準の解釈でも苦労してましたから。
ホンダが成功したのは自社開発ジェットを最初からあきらめた及びニッチな市場に乗り出してボーイングが気にしなかったからですね。
三菱もうまく立ち回れてませんでしたけど、技術ではなく政治に負けたと思います。
コメントへの返答
2023年2月10日 12:32
いつもコメントどうもです。

技術的な事もあるのかもしれませんが、多分に政治的な面もありそうですね。三菱も計画の出発時点で上手く立ち回っていればこうした事態に陥らなかったでしょうか。

そういう意味ではホンダはパーソナルジェット分野だったので米国大手メーカーの怒りを買わなかったのかもしれないですね。
2023年2月10日 14:40
こんにちは。
最終的には国益の問題ですね。
コメントへの返答
2023年2月10日 17:06
自動車と違って航空機は国益を左右するほどの問題ではなかったのかもしれませんが、三菱が投じた費用と労力を考えるとちょっともったいなかったですね。

プロフィール

「今日はなんと、アルピナグリーンのB5とXD4というレアな2台に出会ってしまいました!」
何シテル?   06/08 20:20
最近車を新調しました。小さくて速い車が好み でしたが、色々な事情で現在の車に乗り換え ました。速さ、楽しさ、便利さを両立させるのは なかなか難しいですが、...
みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

<< 2024/6 >>

      1
23 45678
910 1112131415
16171819202122
23242526272829
30      

愛車一覧

BMWアルピナ D3 ツーリング (新?)ミドリーヌ号 (BMWアルピナ D3 ツーリング)
半導体不足などあり、予定よりも半年以上遅れての納車になりました。これから長い付き合いにな ...
BMWアルピナ D3 BMWアルピナ D3
満タンで長距離走れて、なおかつ「駆け抜ける喜び」がそこそこある車、という観点で乗り換えま ...
BMW 1シリーズ クーペ BMW 1シリーズ クーペ
 本当はオーダーでルマンブルーを購入予定でしたが、あまりの注文殺到で年内納車不可になって ...
ホンダ オデッセイ ホンダ オデッセイ
135iの購入時に手放した車です。5年間で13万Km走りました。7人乗れて荷物も積めるの ...
ヘルプ利用規約サイトマップ

あなたの愛車、今いくら?

複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!

あなたの愛車、今いくら?
メーカー
モデル
年式
走行距離(km)
© LY Corporation