新ミドリーヌ号が修理中の間、保険会社の代車でプリウスをお借りしました。最新型ではありませんが、現行の後期型です。
乗り込んでみるとシートはファブリックで当たりも柔らかくて好みですが、シートポジションが全然合いません。調節機構は前後とバックレストの傾きとシート高のみで全部手動の調節です。さすがレンタカーグレードです(爆)。自分の好みのポジションに合わせると、何と右膝がステアリングコラムに当たって不快なのでシート高を下げざるを得ません。シートもやや後ろにしないとバランスが取れないですが、そうするとボンネットが全然見えなくなって車両感覚が分かりません。
車内からの眺めも、斜め後方は全然見えませんし、後方もただでさえ狭いリアウインドウが上下に2分割されていてあまり見やすくありません。夜間走行だと下側のウインドウから後続車のライトが見えて眩しい事もあります。前方もAピラーが結構太めなので視界を邪魔します。
発進すると最初はモーター駆動のみで走るのでそこそこ静かで滑らかですが遅いです。少し多めにアクセルを踏むとエンジンが始動してすぐにPower領域に入りますが、それでも加速はそれほどでもありません。スポーツモードにするとかなり加速が良くなりますが、しょっちゅうエンジンが回っている感じであまり高級感は無いですね。ノーマルモードやエコモードとの落差が大きいです。
ずっと以前に試乗した3代目プリウスのシステム総合馬力が136馬力だったのに対して今回は122馬力です。電気式CVTの空走感はやや少ない感じなので遅くなった印象はありませんでしたが、やっぱり普通の内燃機関に比べるとリニア感は少ないです。
沼津方面に向かういつもの山道を走りましたが、アンダーステアは少ないもののステアリングの手応えは皆無でタイヤのせいか(195/65-15のエコタイヤでした)グリップ感もあまり無くて不安な上に加速のリニア感も無いので、エスティマにおいていかれました(笑)。
ブレーキも3代目に比べるとややフィーリングは向上したようですが、時々カックン気味に効く事もあり、効きもプアーでリニア感が無いので調節し辛いです。15インチのホイールに比べても小さいブレーキなので期待する方が無理かもしれません(爆)。ハイブリッド車は回生ブレーキも併用するので小さめな車種が多い印象ですが、咄嗟の時に止まれないと不安ですね。

このレンタカーグレードはなぜかアルミホイールなのにプラスチックのホイールカバーが付いていますが、これを外すとどんなホイールなのでしょうか。アルミホイールなのにホイールカバーを付けるようでは、本体はよほど簡素なデザインなのでしょうか。手抜き具合が半端では無いですね。
サスペンションはほどほど柔らか目でエコタイヤのゴツゴツ感はありませんが、ダンパーの減衰力が弱めなのか、車体剛性が低いのか、段差などで揺さぶられます。上下にフワフワするだけなら良いのですが、左右一方だけに段差や路面の荒れがあると車体が左右に揺すられるのであまり快適ではありません。
高速道路に乗ってみましたが、100Km/h以上出すと加速は鈍いです。新東名高速の120Km/h区間でオートクルーズコントロールを使用すると、設定速度に近付いていくのがとても緩やかで、追い越し車線に出てきた車に対して追随で車速が落ちた後の回復が非常にゆっくりです。後続車に迷惑なので、自分でアクセルを踏んでスピードアップした方がストレスが無く、空いている状況でないとあまり使えません。
それと面白い事に、設定した速度より1Km/h下回った速度には達してもそこから設定速度までが非常に時間がかかったり達しなかったりするので、途中からは始めから1Km/h増しで設定するようになりました(苦笑)。
ひとつだけ良い部分を挙げると(爆)、センターメーターのスピードメーターは通常のステアリング奥のメーターよりも距離が離れているために視線の移動が少なくて読み取り易く、ヘッドアップディスプレーと比べても遜色ない感じでした。ステアリングも低い位置に出来ますし、前方を見て運転に集中出来る点ではありですね。
そうこうしている内に腰とお尻が痛くなってきました。乗車時に当たりが柔らかくて快適だと思ったシートも結局柔らかいだけでしっかり身体を支える構造になっていない気がします。もっとシートバックを寝かせたポジションにすれば軽減されるのかもしれませんが、そうするともっと見晴らしが悪くなりますし、そんな車に合わせたようなくだらない事はしたくないです。たとえ高速道路でも2時間は乗れない車ですね。
リアシートもそこそこスペースはありますが、乗り込むと頭上のスペースは握りこぶし1個分なのでそれほど余裕はありません。そして日本車にありがちですがバックレストの高さが低めな上にヘッドレストもチャチなので、ゆっくりくつろげる感じではないですね。

おまけに、トランクルームにはトノカバーが無い上にリヤガラスはスモークでも無いために中身が外から丸見えなので、買い物などで長時間停めておいたら車上狙いが心配です。上から覗かなくても真後ろからもトランク内は見えますし(笑)。本当にレンタカーグレードは何も付いてないですね。カーナビも小さい画面のものが付いているだけで、エアコンの調整機構も貧弱です。最低限(かそれ未満)の装備ですね。
同じレンタカー同士での比較だと、確かに3代目に比べれば進歩している部分は多いと感じましたが、この仕様だと自分で購入して乗る意味は全く無いと感じました。上級グレードだとシートはフル電動調整のようですし、トノカバーもありますし(笑)、カーナビも大型ですし。もしかするとレンタカーグレードとはバッテリーも違っているかもしれませんが、実際のところはどうでしょうか。
燃費に関してはさすがに優秀で、700Km走って26Lの給油でほぼ27Km/L走っているので合格点でしょうか。しかし、給油時に航続可能距離は932Kmの表示だったので、満タンでの航続距離はミドリーヌ号や新ミドリーヌ号と大差ありません。もしかして燃費アタック仕様で他の上級グレードより燃料タンク容量も少ないかもしれません。もちろん燃費が良いのに越した事はありませんが、個人的には満タンでの航続距離が一緒だったらこんな車に存在価値は認められないですね。
自分でも乗っていた初代インサイトは100Km/h巡航で27Km/L走っていましたし、車としては非常に楽しかったのでプリウスを敢えて選択する理由は無さそうです。普段4人乗らないのであればアクアで充分でしょうし、同じサイズでもう少し余裕が欲しければHONDAのフィットハイブリッドや日産のノートの方が上質で良さそうです。
4代目になって以前のような圧倒的な売れ行きではなくなったのは他のメーカーも含めて他車種も燃費の面では大差が無くなって、燃費の良さだけでは訴求力が少なくなってきたからではないでしょうか。デビュー当時は圧倒的な良さを誇ったTHSも他社のシリーズ式ハイブリッドやE-Powerが進歩したせいでアドバンテージを失った感がありますし、ドライバビリティの面では遅れを取っている感じですね。
初代のプリウスはハイブリッドを実用化したという点ではエポックメイキングで賞賛される車でしたが、実際に乗ってみるとエコタイヤの貧弱なグリップと電気的CVTの全くリニア感の無いエンジンフィーリング、雨天での走行は危険なほどのカックンブレーキだったので車の出来としては全く評価外でしたが、2代目、3代目、4代目と着実に進化して普通の人が乗るならほぼ不満が無い?出来にはなったようです。それでもBMW(というかアルピナ)と比べてしまうとセカンドカーとしても失格ですね。5代目がデビューしたら4代目をディスっているジャーナリストは多いですが、6代目が出た時に現行プリウスをどう評価するのか、今から楽しみです(爆)。
というか、(これはトヨタ車の問題なのかもしれませんが)レンタカーグレードがあまりにしょぼ過ぎるのではないか、という気がします。トヨタ車に限らないのかもしれませんが、レンタカーは明らかに手抜きの廉価版ですね。これまたずっと前にレンタカーでお借りした
ウイッシュも最悪でした。あまりにひどかったので交換してもらったレガシーは問題なく良い車だったのでメーカーによって違いがあるのかもしれませんが。所詮数時間しか借りられない用途なので文句が出ないという目論見なのかもしれませんね。そういう意味では新型のプリウスもサブスクのUグレードだけエンジンは1.8Lですし、同様の手抜きをしている可能性もありますね。
廉価版のグレードが必ずしも悪いとは限りませんが、トヨタやVWなどはサスペンションの形式まで違うパターンもあるので注意が必要ですね。実際に試乗して確認するのが良いのでしょうが、そこまで拘る方なら始めから廉価版など選ばないのでしょうね(爆)。
ブログ一覧 |
試乗インプレ | 日記
Posted at
2023/09/26 06:35:26