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2016年09月08日 イイね!

新世代ディーゼルについて考えてみました

新世代ディーゼルについて考えてみました

先日試乗した新型Eクラスのこれまた新型ディーゼルエンジン、かなり期待していたのですがちょっと肩透かしを食らった感があったので少し考察してみる気になりました。




今年になってBMWの4気筒ディーゼルエンジン「20d」はN47型から新型のB47型に換装になり、新型EクラスではこれまでのOM651型から完全ブランニューのOM654型になりました。また、昨年デビューのVolvoのD4エンジンもこれまた完全ブランニューです。


メルセデスベンツの新型OM654ディーゼルはこれまでのツインターボからシングルターボに変更になりましたが、日本仕様ではトルクは同等で馬力は194psにアップしています。これがどういう進化をしたのか非常に興味がありました。



いつものように大変お世話になっているこの方からBMWとメルセデスの新旧ディーゼルエンジンを加えたグラフを作っていただきました。今回は写真入りで、本当に感謝です。

まずはBMWのエンジンでN47型からB47型への変化を考えて見ました。ボア/ストロークは変更無くスペック的には184ps/380Nmから190/400Nmへのパワーアップで8速ATも変化ありません。それ程変わり無いように思えましたが、実際に乗ってみると低速からトルクが太くて、それでいて高回転までスムーズに回り、振動も減っていました。



型式的にはどこも変わりが無いようですが、気筒毎の筒内センサーを装備して燃焼状態を最適にコントロールしたり、ターボチャージャーの回転抵抗を半減したり、といったかなり地道な改良がされているようです。

その結果として、グラフの性能曲線を見ると低速トルクの立ち上がりが鋭く、(さすがにアイドリング時のトルクではやや負けるものの)ツインターボのVolvoのD4エンジンとほぼ一緒です。おまけに高回転域でも4100回転まではD4エンジンよりもトルクの落ち込みが少ないのも立派です。

単独で性能曲線を見た時にはそこまで分からず、単にターボチャージャーの回転域を低速寄りにセッティングしたのかと思いましたが、回転抵抗の半減で従来と一緒か微妙に高速寄りのセッティングでも低速トルクのレスポンスを確保したようですね。N47型と比較してみると高回転側のトルク曲線が(トルクの絶対値は大きいですが)ほぼ一緒の感じなのでターボの大きさなどは両者で一緒なのかもしれませんね。

実際に乗ってみると8速ATの出来の良さもあって6速ATのALPINA D3Biturboと互角に近い低速のパワー感があるのが悔しいところです(爆)。

次はメルセデスベンツですが、従来のOM651型はとにかく低速トルクが太くて立ち上がりも鋭いために、発進時からトルクフルでパワフルです。3000回転からのトルクの落ち込みはやや早めなために高回転域ではそれ程パワフルな感じはありませんが、ある意味ディーゼル的で個人的には好みでした。

グラフで見るとアイドリング時のトルクが260Nmとダントツで高いのは、ブーストのセッティングをかなり低速寄りにしてあるのでは、と思います。


この特性が新型のOM654でシングルターボになってどう変化するか興味がありました。性能曲線を事前に見た感じでは、低速トルクの立ち上がりがやや遅いけれども3000回転からのトルクの落ち込みは少なくてパワーが綺麗に伸びているので意外とスポーティーなキャラクターなのかな、と予想していました。

実際に乗ってみると振動は少なく軽やかに回り、シフトダウンでも音量が上がらないので全域に渡って上質感がありました(ガソリンのE200では2,3段落とすと急に音量が上がってちょっと興ざめでした)が、低回転でのトルクは細い感じで、その点に関してはBMWの旧世代のN47型エンジンと大差無いように思えました。

性能曲線を比較するとOM654型とOM651型の違いは明らかで、アイドリング時のトルクは160Nmもの差があります。数値だけ見るとトルクピークに達する回転数は1400回転対1600回転で大差が無いように思えますが1500回転までは常時100Nm以上の差がついています。実際に乗ると、ツインターボの低速側のレスポンスはもっと良いのでしょう。Eクラスは新型になってほぼ50Kg軽量化されましたし、7速ATから9速ATに進化したので低速域でも互角の力感があっても良さそうですが、ちょっと残念でした。

エンジン自体はオールアルミブロックの完全新設計で、鉄製のピストン、コンパクトに一体化された排ガス浄化システム、RDE(実走行での排ガス規制)への対応など新機軸てんこ盛りで、メルセデスベンツの将来を担うディーゼルエンジンである事は間違いないのですが、上級グレードは登場するのでしょうか。


VolvoのD4エンジンはツインターボの上にデンソーのI-ARTというインジェクターのセンサーシステムで気筒個別制御が効果的な感じで、低速域でもOM651型並みの太い低速トルクな上に高回転も綺麗に回り、個人的には一番好みのエンジンです。車体的にはFFなのが玉に瑕?ですがこれを気にしなければ何の問題もないですし、ポールスターパッケージによって更に200ps/440Nmになるのでかなりおすすめです。

マツダのスカイアクティブディーゼルについてはトルクの最大値だけ見ると420Nmとパワフルですが、他のエンジンと違って一瞬到達するだけです。実際の最大トルク域としては400Nm/1800-2750回転というところが本当に近いのかなぁ、という感じです。

おまけにこのエンジンは性能曲線と実際に乗った感じのパワー感の乖離が一番大きく、グラフからも読み取れるようにツインターボの割りに低速域のトルクの立ち上がりがかなり鈍く、実際にもN47型と同等かもっと非力な感じです。

実際に乗ると1500回転未満は常用出来るレベルでは無く、2000回転からトルクが太ってくる感じで、ATのセッティングも2000回転まで直ぐに上がるような運転感覚でディーゼルのトルクの太さはあまり感じられませんでした。

高回転まで綺麗に回りますがパワーの盛り上がりはあまり感じませんでした。性能曲線を見ても、3000回転以上のトルクの落ち込みが全車の中で一番大きく、パワーカーブも3000回転を超えると急に緩やかです。最大出力発生回転は4500回転と一番高回転なので数値上は高回転を得意としているように思えますが、性能曲線を比較すると他のエンジンに比べると盛り上がりに欠けるのが分かると思います。

性能だけから考えると、残念ながらBMWのB47型、VolvoのD4エンジンと同等では無く、低速のパワー感に関してはB47型をデチューンした「18d」にも一歩譲る印象があるのはちょっと残念です。

ただ、マツダのスカイアクティブディーゼルの名誉のために補足しますが、このエンジンは高価な後処理装置無しで排ガス規制をクリアーするためのPCCI燃焼を実現するために低圧縮比、ツインターボのシステムを用いているので、他のエンジンとは設計思想が根本的に違います。そういう意味ではもうちょっとリファインしてトルクのレスポンスを増やせれば充分勝負出来るはずなのですが…期待しましょう。


最後にALPINA D3Biturboですが、これは旧型のN47型のツインターボ版…というか、元々ALPINAが開発した123d用のエンジンをD3Biturbo用にリファインしたもので、BMW4気筒ツインターボディーゼルの元祖です。グラフを見れば一目瞭然ですが、ツインターボを低速レスポンスの向上と高速域でのハイパワーに有効利用しているのでほぼ全域で他車のエンジンをトルクもパワーも上回っています。

実はOM651、VolvoD4、D3Biturboのツインターボは同じボルク・ワーナー製のユニットなので主にセッティングの違いなのですが、メルセデスのOM651が明らかに低速寄りのセッティングでVolvoD4とD3Bitruboは同じ傾向でブースト違いのようにも見えます。ただ、VolvoD4が4250回転から急にトルクがダウンするのに比べてD3Biturboの落ち込みのカーブがほとんど変わらず5000回転まで回り切ってしまうのはアルピナマジックでしょうか(手前味噌)。

実際に乗ると、最新機種に比べるとエンジンの回り方に微妙に重さはあるものの、低速域の力感はメルセデスOM651と同等で、パワー感とエンジンの伸びは全機種を上回っているので、本当に気持ちの良いエンジンです。

BMW本家のB47型ツインターボ版は低速側ターボにもVGが装備されていて231ps/450Nmまでパワーアップされているので、もうD3Biturboにも圧勝のはず(涙)なのですが、日本に導入されないのが本当に残念です。



しかしこうやってもう一度性能曲線を眺めていると、本来全開での理想的な出力曲線のはずが、実際に乗ってみた印象とかなり一致するので意外と興味深いですね。

個人的にはミドリーヌ号(ALPINA D3Biturbo)が未だに一番ですが、現在普通に買える4気筒ディーゼルエンジンとしてはB47型「320d」の気持ち良さがかなりおすすめです。好みが合えばVolvoのD4エンジン搭載車も良いと思います。出来れば4駆モデルにも搭載して欲しいですね。EクラスはE220dになって車全体としては良くなりましたがエンジンの力感が減ってしまったので、BMWの523dがB47型に変更されれば意外と良いかもしれません。そういう意味では、DセグメントではC220dが9速ATなのにOM651エンジンのままなので、マイチェンでOM654エンジンに変更直前のタイミングでお買い得車を物色するのもいいかもしれません(爆)。本当ならここにジャガーのディーゼルも加えたいところなのですが、静岡県西部地区からは撤退してしまって試乗の機会が無いのが(買ってもメンテに困りますし)残念です。どなたか比較をお願いします(爆)。
Posted at 2016/09/08 18:18:48 | コメント(8) | トラックバック(0) | くるま | 日記

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「[整備] #D3ツーリング 5回目のエンジンオイル交換 https://minkara.carview.co.jp/userid/382708/car/3315795/8260970/note.aspx
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