ミドリーヌ号のカーナビ修理の間の代車にお借りしたのは今回はLCI後の320dセダンでした。
前回の代車は320iのツーリングでしたが、今回はセダンなので車重は車検証で1570Kg、ツーリングよりもかなり軽くミドリーヌ号よりも40Kg軽いです。前後の重量は780Kg/790Kgで後ろがわずかに重いのがちょっと意外でした。ディーゼルエンジンは重いという印象がありますが、新型のB47型はエンジンブロックはガソリンのB48型と共通らしいのでバルブトロニックやVANOSが無い分軽いのでしょうか。カタログ表記でも320iより10Kg軽いです。
シートはフル電動なのでしっかりポジションが合います。エンジンをかけるとアイドリング時にはややカラカラ音がしますが充分静かで振動もありません。そう言えばウインカーの動作が国産車のように解除は逆方向に戻すタイプになっていましたがLCI後からの変更なのでしょうか。今までずっと続けて来た方式が変わるとちょっと違和感がありますね。
走り出すと低速から充分なトルクがあります。さすがにアイドリング直後はそれほど力強くありませんが1300回転くらいからは実用的なトルクが発生し、1500回転から上はパワフルといってもおかしくない程の太いトルクが発生します。
ECO PROモードで走行しているとすぐにシフトアップしてしまって1500回転未満をキープしている事が多いのですが、そこからアクセルを踏んでもシフトダウンせずに充分な加速をするのでストレスがありません。これがガソリン車の320iだと1段か2段のシフトダウン後に加速するので、瞬時の気持ち良い加速という感覚にはなりません。日常的に使う範囲ではディーゼルの方がドライバビリティが上な印象があります。
そのまま加速していっても綺麗に吹け上がって3000回転くらいまではパワフルですが、そこから先はやや加速感が鈍るのはディーゼルの特性でしょうか。レッドゾーンは5400回転でしたがそこまで回すと流石にちょっと辛そうです。
いつもお世話になっている方からのグラフを再掲しますが、320dのB47型エンジンはシングルターボなのに低速の立ち上がりはツインターボエンジンのVOLVOと同様で、実際に乗ってみても互角に感じます。
もうちょっと拡大すると2500回転までのトルク曲線はほぼ一緒です。しかもトルクピークの2500回転の落ち込みが4000回転まではB47型の方が少ないのも優秀です。そこから先のトルクの落ち込みは大きいのでさすがにシングルターボの限界なのかもしれませんが、常用域ではツインターボのVOLVOと互角か上回る程優秀です。
B47型エンジンはターボの回転抵抗を50%低減したらしく、それがブーストのレスポンスをかなり向上させているのでしょう。そのため低速寄りのセッティングでトルクを確保しても高速側も犠牲にならないのかもしれません。VOLVOと低速側のトルクがほぼ一緒なのが不思議(もしかすると共通のターボでしょうか)ですが、BMW独自の改良があるのかVGTが別物なのでしょうか。
また、気筒毎に振動センサーを設置してインジェクターの制御を行っているようで、こちらもVOLVOが採用している「i-ART」と同様の効果があるのだと思います。
先代のN47型エンジンでは1500回転未満のトルクはやや細くて「やはりシングルターボの限界かな」と思ったのに比べると長足の進歩で、素晴らしいですね。
8速ATもシフトチェンジが速くてロックアップも素早く、何の不満も無く走れます。普段使いには何の不満も無く優秀です。
ミドリーヌ号の修理が予想外に早く終わって(爆)1週間でお返ししましたが、450Km程走って給油量は25L、ほぼ18Km/L走っているので燃費も優秀でした。
これだけのパフォーマンスだとガソリン車では「330i」くらいでないと追い付かない感じなので、コスト的にも320dはお買い得かもしれません。330eは燃費、コストパフォーマンスは高そうですが、標準車より約200Kg重い部分が引っかかります。
お山を走るとどうかと言うと、これもなかなか楽しいです。低速から充分に太いトルクが出てそのまま綺麗に吹け上がるのでかなりのダッシュになるので楽しいです。前後の重量配分もほぼ50:50なのでコーナリングも楽しいです。
では、ミドリーヌ号(E91 ALPINA D3Biturbo)と比べるとどうかと言うと、やはり微妙な差はあります。まずは足周りですが、ランフラットタイヤはかなり進歩したとは言え、微妙に重さを感じます。ミドリーヌ号は前245/40-18、後265/40-18ですが非ランフラットタイヤな上にミシュランのPSSなためバネ下は軽い感じで、乗り心地も良い上にしっかりグリップ感があります。
更に差が付くのがステアリングで、320dはコンフォートモードだとステアリングの手応えがあまり無くワインディングで飛ばすにはちょっと心許ないですが、スポーツモードにしてもステアリングが重くなるだけで遊びやフリクションは一緒なので、ちょっと改善する程度です。
それに比べるとミドリーヌ号のステアリングは320dのコンフォートとスポーツの中間くらいの重さですが、遊びと滑らかさがかなり違い、ステアリングの修正や戻す時の感触がとても良いです。また、20万Km以上走行しているにも関わらず、(多分)新車時と手応えが変わらないのも驚愕ものです。ALPINAが言うところの「公差ゼロ」を実現している感じです。
エンジンについては車重差と8速ATの優秀差がありほぼ互角に近い感じですが、厳密に比較すると低速トルクはミドリーヌ号がやや太い感じで、高速側でも雑味なく高回転側まで回る感じは不思議です。
320dは加速時にわずかな振動とカラカラ音が混じっていましたが、これはKUREの
スーパーディーゼルトリートメントを注入したら改善してしまいました(爆)。
マニアック(爆)な部分ではまだミドリーヌ号が優位な気がしますが、ヘッドアップディスプレーや安全装備、8速ATなど車トータルでの普段使いではもう320dで充分、という印象でしたが、セダン同士だとまた印象は変わるかもしれません。実際
MTのALPINA D3Biturboのクーペはかなり楽しいです。
320iと320dの比較だと個人的には320d推しですが、楽しみ方という部分ではエンジンのキャラクターの好みでしょうか。ディーゼルエンジンは低速から太いトルクが立ち上がりますから「トルクによる加速を楽しむ」走りになると思います。回転域としてはトルクピークにいたる部分までのトルクの盛り上がりが気持ち良いと思いますし、この部分を使う方が実質的に速い気もします。もちろんトルクピークから高回転側だと数値上はパワーは出ているのですが、エンジンの回りはやや鈍いのでガソリン車程の気持ち良さにはならない印象です。
これに比べるとガソリン車はダウンサイジングターボ化によって以前よりトルクは太ったものの、やはり低速域でのパワーやトルクのレスポンスは一歩劣る感じなので、回転をやや上げて伸びを楽しむ走りになると思います。性能曲線で言うとトルクピークからパワーピークの間を常に使う感じでしょうか。
少し以前に作っていただいたグラフですが、自然吸気、ダウンサイジングターボ、ディーゼルエンジンを比較するとこんな感じです。自然吸気で楽しむなら回転域はトルクピークからレッドゾーンの間、ディーゼルなら低速から3000回転前後まで、ダウンサイジングターボならその中間を使うと気持ち良く走れそうです。
そういう意味では、この間メルセデスベンツの
Sクラスで乗らせていただいた新型直6は両者の良いとこ取りのような感じだったので、4気筒の普及クラスでも作ってもらえれば良さそうですね。
Posted at 2018/08/14 12:36:38 | |
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