
激震 原子力 -福島第1原発の衝撃
(5・完)核燃サイクルの行方(2011/05/08)
「核燃料サイクルの重要性は変わらない」
3月29日、六ケ所村議会の議員全員協議会。東日本大震災後の使用済み核燃料再処理工場の状況について説明を受ける場だったが、議員からは核燃料サイクル政策堅持を訴える発言が相次いだ。
背景にあるのは、東京電力福島第1原発の事故が、サイクル政策そのものに影響を及ぼすことへの危機感だ。
村は国策に協力する形で、多額の交付金や雇用環境をはじめ、さまざまな形で恩恵を受けてきた。政策が見直しになれば地域経済の衰退を招きかねない。
「サイクルの推進は必要不可欠だ」。三角武男議長は念を押すように語り、協議会を締めくくった。
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だが、事故の影響は出始めている。
政府は突然、中部電力に浜岡原発(静岡県)の全面停止を要請した。同原発4号機はプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を燃やすプルサーマルが予定されているが、先行きは不透明だ。
複数基でのプルサーマル実施を目指す東電も、当面は事故対応に追われるとみられ、電気事業連合会が目標とする「2015年度までに16~18基で実施」に暗雲が立ち込める。
使用済み核燃料を再処理してMOX粉末を取り出す再処理工場では、ガラス固化体(高レベル放射性廃棄物)製造試験が中断しているが、社会的な電力不足が原因で再開のめどが立っていない。
高レベル放射性廃棄物最終処分地の選定作業も、さらなる遅れが懸念されている。
昨年11月の核燃料サイクル協議会で、国側が選定作業進展への強い決意を示したことから、県庁内では「11年中に動きがある」と、ささやかれていた。
しかし、福島の事故で期待は完全に吹き飛んだ。「この状況では動かないだろう」。県幹部も諦め顔だ。
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原子力に対する国民感情は厳しさを増し、高レベル廃棄物の受け入れ議論はもちろん、原発新規増設も困難を極める可能性が高い。
加えて、膨大な費用を投じた再処理工場はいまだ完成せず、ウラン資源を再利用するサイクルは実現していない。今後行われるであろう原子力政策をめぐる議論が、サイクルに及ぶのは必至とみられる。
一方、資源小国の日本で、原発が電力供給の一翼を担っているという現実もある。
原子力の専門家も国民的議論の必要性を説く。東京都市大学原子力研究所の丹沢富雄所長は「将来的なエネルギーをどうするかという観点で、政治主導により、サイクルを含む原子力について、深く広い議論をすることが必要だ」と指摘する。
(斎藤桂)
デーリー東北 より
反核燃候補者が自民党候補を圧倒した時代があった。放射能漏れを起こした原子力船「むつ」もあり、原子力にアレルギーがあった時代である。それでも、核燃料サイクルが進められた。社会党が原子力政策推進に転換してしまったのも大きいのではないか。
大震災3.11以後、風向きが変わるかもしれないが。しかし福島原発を完全廃棄・更地?されるまで、もしかしたらそれ以上時間が掛かりそうである。
今のところ、原子力政策は変わらないとされるが、
核燃料サイクルは金銭面からも後回しにされるのは確実な情勢だ。
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Posted at
2011/05/13 13:28:29