
赤字、路線撤退 悪循環に
ブレークスルー 突破口を探る
バスを守れるか
(1)存続の危機 (2011/11/07)
その1. 利用減続く八戸市営
八戸市内を運行する市営バス(上)、南部バス(左下)、十和田観光電鉄の路線バス。利用者減少に歯止めがかからない=写真はコラージュ
「車を運転できない一人暮らしの年寄りなので、バスがないと、どこにも行けないんだよ」。10月下旬の昼下がり。八戸市中心街の十三日町バス停で、鮫・湊方面行きの市営バスを待っていた無職女性(78)がつぶやいた。
買い物や通院で、週2~3回はバスを利用する。自宅から徒歩5分の所にあるバス停は、運行本数が20分に1本と比較的多く、使い勝手がいい。しかも70歳以上の高齢者には年4千円で“乗り放題”の特別乗車証が給付される。
「経営が厳しいという話は聞いたことがある。でも、なくなったら困ります」。女性は最も身近な公共交通の将来を憂えた。
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地方の公共交通は、経営環境の悪化を背景に存続の危機に直面している。青森県内では、十和田観光電鉄(十和田市)が10月、同市と三沢市を結ぶ鉄路を2012年3月末で廃止することを決めたばかりだ。
バス路線も例外ではなく、人口減少とマイカーの普及で利用者の減少に歯止めがかからない。利用者減は赤字路線の拡大につながり、路線撤退により利便性が低下する―。そんな悪循環に陥っている。
八戸市営バスの年間利用者数は、1969年度に2837万人とピークに達したが、2010年度は4分の1以下の657万人まで落ち込んだ。
自治体が運営する公営交通は、行財政改革の一環として全国的に民間移譲が進んだ。だが、移譲後に民間事業者が不採算路線を廃止、縮小する例もあり、成功事例は多くない。
現在、東北地方で公営バスを運営している自治体は、八戸市と青森市、仙台市の3市だけ。いずれも多額の補助金を一般会計から繰り入れて、事業を維持、存続させているのが現状だ。
10年度の補助金は、八戸市が4億892万円、青森市が5億6123万円、仙台市が29億8137万円。八戸市の場合、高齢者と障害者用の特別乗車証への負担金4億1600万円を加えると、事業収益における繰入金比率は50・7%に上る。
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「空気を運んでいる」「2、3台続いて走っている。非効率的だ」。一昔前の八戸市営バスには、市民からそんな厳しい声が相次いだ。
市交通部の山地信男次長は「実態に合った本数やダイヤに見直す必要があったのに、利用者減少のスピードに追いつけなかった。無駄が多かった」と振り返る。
経営再建に向け転機となったのが、04年3月に策定した市営バスの改革方針。
▽営業規模の25%削減
▽正職員乗務員の配置転換
▽市補助金を4億円まで削減―の3項目に取り組んだ。
一方、民間の南部バス(同市)と共同で、利用者の多い区間の等間隔運行を実施。分かりやすい路線案内など情報提供の充実や、少人数でも活用できる乗り合い輸送の導入など、あの手この手の増収策を講じている。
ことし10月からは、市内の路線と八戸圏域定住自立圏(8市町村)を結ぶ路線で上限運賃化実証実験を開始。従来、自治体からの補助金は赤字補てんが主目的だったが、利用者の掘り起こしを図るため、積極的な投資に踏み切った。
こうした取り組みは緒に就いたばかりで、具体的な成果はまだ見えていない。バスから離れていった市民を再び呼び戻すのは簡単なことではないのだ。
では、普段バスを使わない市民が、どのくらい利用すれば現状の路線バスのネットワークを維持できるのか。
そう尋ねると、山地次長は机の引き出しから電卓をおもむろに取り出し、興味深い数字をはじき出した。
「市民1人が年間10往復、乗ってくれればいいんです」
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地方での生活に欠かせない路線バスが存続の岐路に立たされている。八戸市営バスを例に、持続可能な道を探る。
デーリー東北 より
この特集が、この日の一面トップになった。そして、「今日の紙面」21面 十鉄廃線前に駆け込み需要 と、この記事の横に掲載された。
鉄道からバス転換にしても、安泰ではない。民間バスが撤退、自治体が"直営"、バス・タクシー会社が受注している例が増えている。市営バスを自治体直営まで持っていかない特集とも言えるか・・。
バス回数券、最近手持ちがないなー。150円回数券買って利用しなければ。震災直後に使い切ってしまった・・・。
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Posted at
2011/12/03 20:44:47