
ブレークスルー 突破口を探る
バスを守れるか
(4)“共創”の時代(2011/11/10)
写真・八戸市営バスと南部バスが共同で行う中心街-八戸駅間の等間隔運行は、
利用書の増加と運行の効率化を両立させた=9日、JR八戸駅前
「10年以上前の話なので、もう時効でしょうから…」
青森県南地方のある公共交通関係者が、こう前置きした上で話を切り出した。
「詳しいことはあまり言えませんが、実は過去に八戸市営バスから南部バスに路線バス事業を譲渡する動きがあったんです」
ともに八戸市に拠点を置き、市内の路線バスを運行する両者。バス停で待つ乗客を奪うため前方の車両を追い越すなど、過剰な競争を繰り広げていた時期もあったという。
複数の関係者によると、打診は市営バス側からあったが、協議は進展せず、バス事業の譲渡は幻に終わった。
■ ■
両者をめぐっては、以前から合併や統合の話がくすぶる。ともに利用者が減少し増収の兆しが見えない中、一本化による効率運行とコスト削減は、路線バスのネットワークを維持する〝最後のシナリオ〟とも言える。
一方、互いに厳しい経営状況にあるため、「ある程度は現状のまま連携するのが現実的ではないか。全てを一緒にやるのは困難」との見方もある。
市内や三戸郡など八戸圏域の路線を運行する南部バスは、1926年2月に設立された。69年3月の十勝沖地震による被害で地方鉄道事業を廃止し、バス事業が主体に。路線バスだけでは採算が取れないため、高速バスや観光バスなどの分野にも力を入れる。
「市営バスとの過剰な競争は、互いに消耗戦のようなものだった」と振り返るのは、南部バスの高橋学取締役営業本部長。限られたパイを奪うためバスの本数を増やしても、コストが掛かり効果的ではなかったという。
現在も経営状況に余裕があるわけではなく、車両更新など設備投資費の工面にも苦慮。「運行ダイヤを編成する上でも、1社より共同でやる方が効率的で現実的だ」との認識を示す。
■ ■
競合関係にあった両者は現在、既存の資源を互いに有効活用することで共存する道を模索している。市が2007年6月に設置した市地域公共交通会議(会長・武山泰八戸工業大教授)が両者の連携を調整、協議する場としての役割を担う。
その結果、08年4月から中心街―八戸駅間で10分間隔の共同運行を開始。運行間隔を調整することで、平日は両者合わせて46便減便の182便となり、年間走行距離も前年度比で16・4%削減することができた。
利便性が向上したことで、乗客も2・2%増加。利用者増と運行の効率化を両立させた成功例として業界から注目された。
さらに共通定期券の運用を始めたほか、10年度からは中心街―八太郎間で共同の等間隔運行を実施。十和田観光電鉄を加えた3者で、中心街5カ所のバス停の名称を「八戸中心街ターミナル」に統一するなど、連携の輪が広がっている。
八戸圏域公共交通計画推進会議座長を務める首都大学東京大学院の吉田樹助教は、こう指摘する。「同じ〝きょうそう〟でも、これからは『競争』から『共創』の時代。公営と民間が役割分担し、連携することが重要なのです」
デーリー東北 より
写真は南部バスである。しかし、ここ八戸駅前バスターミナルのこの"ホーム"は元々、市営バスのものだった。
八戸市営バス 「根城バイパス・根城大橋」経由、
南部バス 「司法センター・田面木・日赤病院」経由
それぞれ主力路線であり、現在も変わらない。かつてはバス乗り場がちがっていた。経由地が異なっていても、それ程混乱しないで、好調な利用という。そのことは「八戸中心街-八戸駅前」直通利用が多い証だ。南部バスは以前から20分間隔で運転していて、共同運行化しても"司法センター・田面木・日赤病院"方面の利便性は変わらない。八戸駅前バス停同時スタートを廃して、交互にずらした10分間隔にしたわけである。更に踏み込んで、市営バスは元々の路線・内船渡-卸センター通り、南部バスは平中通-卸センター通りを撤退している。学生時代に南部バス「根城大橋・平中通」経由を愛用していただけに感慨深いものがある。
ブログ一覧 |
バス | クルマ
Posted at
2011/12/10 10:54:35