
2014年2月1日(土) 20時00分
まもなく消える銀座線の「非暖房車」
《撮影 草町義和》 新型車両への置き換えが進行中の銀座線01系。初期に製造された車両は今では珍しくなった「非暖房車」だ。写真は冷暖房装置を搭載した第26編成(左)と冷房装置のみ搭載した第06編成(右)。
現在の旅客用鉄道車両は、外気にさらされるトロッコ列車など特殊な車両を除き、空調がほぼ完備されている。冷房装置を搭載していない車両(非冷房車)は北海道を中心に若干残っているが、暖房装置を搭載していない「非暖房車」は、極めて珍しい。
ただ、極めて珍しい存在ではあるが、東京の人にとっては身近な存在であるといえるかもしれない。東京地下鉄(東京メトロ)が運営している日本最古の地下鉄・銀座線で、非暖房車が運用されているからだ。
銀座線では現在、1983年から1997年にかけて製造された01系と、2012年に登場した1000系が営業運転で使用されている。このうち01系は、1983~1987年度に製造された初期の車両が、
冷暖房装置を搭載せずに登場した。
01系の先頭部と側面には、形式を表す「01」に続いて車両番号を表す3桁の数字が記載されている。この番号の下2桁が「01」~「23」なら、冷暖房装置を搭載しなかった初期車だ。「24」以降の後期車は冷暖房装置を搭載し、初期車も後に冷房装置を追加する改造を受けたが、暖房装置は今に至るまで設置されていない。
旅客用鉄道車両の空調は、戦後になってから本格的に普及した冷房装置に対し、暖房装置は戦前の段階で導入が進んでいる。01系の初期車が製造された頃は、冷房装置はともかく暖房装置は「搭載されていて当たり前」の時代になっていた。なぜ、暖房装置が搭載されなかったのか。
東京メトロによると「銀座線はほとんどがトンネル区間であり、冬場であってもトンネル内は低温になることがありませんでした。そのため、暖房を使用せずとも車内が低温にならないので、(01系の導入にあたっては)以前の車両と同様に暖房措置を搭載しない方針といたしました」という。
実際に1月28日早朝の5~6時台、100円ショップで購入した温度計を携え、非暖房車に乗ってみた。列車に乗るまでは温度計を外気にさらしていたこともあり、渋谷駅で乗車した直後こそ12度を示していたが、その後は徐々に上がって20度に達したところで安定した。安物の温度計ゆえ、やや不正確かもしれないが、体感上も寒さを覚えることはなかった。
逆にいえば、後期車でも暖房装置を搭載する必要はなかったはずだが、銀座線は渋谷駅付近など、ごくわずかながら地上に出る部分もある。このため「地上部に(車両を)留置した場合、車内は低温になってしまう」(東京メトロ)ことから、後期車には暖房装置を搭載。その一方、地上部に車両を留置する編成数は限られているため、初期車を改造した際は冷房装置のみ追加し、暖房装置は搭載しなかった。地上部には可能な限り、非暖房車を留置しないようにしているという。
銀座線では現在、冷暖房装置を搭載した1000系の導入が進められており、2016年度までに非暖房車を含む全ての01系が1000系に置き換えられる予定だ。東京メトロは01系の今後について「(自動車の車検に相当する)定期検査の工程を考慮して廃車計画を立てております」としており、非暖房車が優先的に廃車となることはなさそうだが、いずれにせよ2016年度までには非暖房車が消滅することになるだろう。
《レスポンス・草町義和》
営団01系電車
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より抜粋
営団01系電車(えいだん01けいでんしゃ)は、1984年(昭和59年)1月1日より営業運転を開始した帝都高速度交通営団(営団)の通勤形電車である。2004年(平成16年)4月の営団民営化にともない、東京地下鉄(東京メトロ)に継承された。銀座線用の車両である。
2017年(平成29年)3月10日に01系最後の30編成が銀座線での営業運転を終了した。同年3月12日の抽選によるファンイベントでのラストランにより丸ノ内線の中野車両基地まで運行され、東京メトロでの運行が終了した。
基本情報
運用者
帝都高速度交通営団
東京地下鉄
製造所 川崎重工業車両カンパニー[* 1]
日本車輌製造[* 2]
東急車輛製造[* 3]
近畿車輛[* 4]
製造年 1983年 - 1997年
製造数 228両38編成
運用開始 1984年1月1日
引退 2017年3月12日
投入先 銀座線
主要諸元
編成 6両編成
軌間 1,435 mm
電気方式 直流600V(第三軌条方式)
最高運転速度 65 km/h
設計最高速度 分巻チョッパ車 75 km/h
VVVFインバータ車 80 km/h
起動加速度 3.0 km/h/s
減速度(常用) 4.0 km/h/s
減速度(非常) 4.5 km/h/s
編成定員 608(座席248または244)人
車両定員 先頭車100(座席36)人
中間車102(座席44または42)人
自重
チョッパ車23.5 - 29.3t
VVVFインバータ車21.5 - 26.8t
チョッパ車のうち試作車である第01編成は一部異なる。
編成重量
分巻チョッパ車164.8t
VVVFインバータ車151.6t
全長 16,000 mm
全幅 2,550 mm
全高 試作車のみ3,485mm
量産車3,465 mm
台車 分巻チョッパ車FS-520・FS-020
VVVFインバータ車SS-130A・SS-030A
主電動機 直流分巻電動機
かご形三相誘導電動機
永久磁石同期電動機(試験車)
主電動機出力 定格出力はいずれも120kW
駆動方式 WNドライブ
歯車比 101:15 (6.73)
編成出力 1,440kW
制御方式 高周波分巻チョッパ制御
IGBT素子VVVFインバータ制御
SiC素子VVVFインバータ制御
(01-237)
制動装置 ATC連動電気指令式空気ブレーキ(回生ブレーキ併用)
保安装置 東京メトロCS-ATC・TASC
打子式ATS(登場時)
備考 脚注
[* 1]^ 試作車・1次車
[* 2]^ 1 - 5次車
[* 3]^ 1次車
[* 4]^ 1・6次車
第25回(1985年)ローレル賞受賞車両
1 概要
半蔵門線用の8000系までの実績にさらに新しい技術を導入し、各種の改良・検討を実施した上で1983年(昭和58年)に試作車1編成が落成し、翌年の1984年(昭和59年)から量産が開始された。アルミ合金製で、車体長16m級、車体幅は2,550mmの3扉車である。1997年(平成9年)までに6両編成38本(228両)が製造された。
1980年代当時、銀座線において運用されている車両には戦前から使用している車両があり、その後に投入した車両も同様なデザインから「銀座線は古い」というイメージが一般乗客に多くあった。このため、従来の銀座線車両のイメージを大きく変えるデザインを採用し、同線のイメージアップを図ることを目指した。本系列のデザインコンセプトは「機能性」「明るさ」「シックさ」としている[1] 。
各客用ドアの室内側上部には路線図式車内案内表示器が設置され、あわせてドアチャイムも鳴動する。このような設備は当時は珍しく、乗客にも好評であった。量産車からは案内表示器の両端には次の駅のドアが開く方向を予告点灯するランプが設置された(表示器両端の緑色のランプが点灯、途中から「このドアが開きます」のランプ形に変更)。試作車はこの案内表示器が量産車と仕様が異なっていたが、溜池山王駅開業準備時に量産車と同じものに更新された。また駅ナンバリングを導入した際に、駅名表記部には駅番号を表記したステッカーが貼付された。
銀座線の旧型車の置換え用として登場した、いわゆる「0x系」シリーズの最初の系列であり、以降営団時代に設計された他路線の旧型車の置換え用車両および列車増発用増備車には一部例外を除いて「0x系」の系列名が与えられている。走行性能は従来の銀座線車両を大幅に上回り、高速性能はかつて日比谷線に在籍していた3000系に匹敵する。1993年に01系に統一された時点で、CS-ATC導入と合わせて銀座線のスピードアップが実現した。
4 冷暖房装置
4.1 冷房
01系の導入当初、銀座線では駅冷房と
トンネル冷房[注 5]を実施しており、また車両限界が小さく車両の冷房化は困難と考えられていたため、第23編成までは非冷房車で落成した。
その後、1990年(平成2年)に三菱電機において厚さ240mmと薄形の冷房装置が開発された[注 6]。冷凍能力は14,000kcal/h(16.2kW)であり、これを屋根に埋め込む形で各車2基搭載した(集約分散式・三菱電機製CU-766形)。
試作車として1990年(平成2年)8月に第16編成に冷房装置を搭載し、機能確認後に本格採用へ踏み切った。冷房化改造を施工した車両では車外スピーカー部を除き側面上部の通風口を塞いでおり[注 7]、当初より冷房付きで登場した編成[注 8]とは明確に区別できる。
冷房未搭載で竣工した車両は就役開始の時点では天井が高く、通風用に外気循環形のファンデリアが各車6台設置されていた。冷房車・冷房改造車では冷房用ダクトと補助送風機のラインデリアの設置で天井が低くなり、さらに車端部は冷房装置本体があるため、この場所は中央部よりもさらに110mm低くなっている。
4.2 暖房
試作車及び1次車は暖房装置を搭載せずに落成した。銀座線は渋谷駅付近のごく一部を除き地下を走行するため、冬季でも車内温度の低下がほぼ生じないと判断されたためである。渋谷駅電留線に留置中の車内温度低下を考慮し、2次車以降は暖房装置が搭載されたが、試作車・1次車は冷房装置搭載後も暖房装置の設置が行われなかった[2]。この「非暖房車」の座席下のカバーには、温風の吹き出し口となるスリットが存在しない(#車内内装の画像も参照のこと)。
10 脚注
10.1 注釈
[注 5]^ 駅間のトンネル部を冷房化し、車両の窓を開けることでそこから冷気を取り入れる冷房方式。
[注 6]^ 240mm厚の車載用冷房機としては、日本初のミニ地下鉄として建設された大阪市交通局長堀鶴見緑地線用の70系のために1989年に設計された三菱電機CU-741(冷凍能力12,500kcal/h)が先行して実用化されていた。
[注 7]^ 最初の冷房改造車の第16編成のみ全ての通風口を塞いでいるが、それ以降の編成では工数削減のために一部を残している。また、第15編成などでは全て残されている。
[注 8]^ 新製冷房車は屋根肩部が平滑に仕上がっている。
10.2 出典
[1]^ 日本鉄道運転協会「運転協会誌」2002年6月号「営団0系車両のデザイン」記事。
[2]^ まもなく消える銀座線の「非暖房車」レスポンス 2014年2月1日
最終更新 2019年6月1日 (土) 01:01 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
≪くだめぎ?≫
「トンネル冷房」は今の行っているのかな。進化していると思うが・・。
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2019/08/15 18:37:19