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2020年05月22日

人気ミニバンからヒンジ式が消える理由とは

人気ミニバンからヒンジ式が消える理由とは なぜスライドドア化増える? 人気ミニバンからヒンジ式が消える理由とは
 2019.06.11 渡辺陽一郎

1990年代に始まった「ミニバンブーム」。30年近く不動の人気を誇るミニバンですが、ユーザーのミニバンに対するニーズは時代と共に変化をしているようです。ミニバンはどのような変化をして、いまなお人気を維持し続けているのでしょうか。

[写真・画像]
(上)「ミニバンブーム」の火付け役といわれる初代オデッセイ
(下)ファミリー層に人気の高いトヨタ「シエンタ」

■変わりゆく「ミニバンのニーズ」
 日本の新車市場では、長く「ミニバン人気」が続いています。とくに最近では、後席がスライド式で全高1700mm超えモデルのミニバンが好調です。
 しかし、一昔前までは後席がヒンジ式で、全高1700mmを下まわるモデルが人気でした。なぜ、同じミニバン市場のなかでニーズの変化が生まれたのでしょうか。
 現在、販売されているヒンジ式(全高1700mm以下)のモデルは、トヨタ「プリウスα」とホンダ「ジェイド」くらいです。また、この2車種は3列シート仕様と併せて2列シート仕様も設定されているため、ミニバンにジャンル分けしづらい面もあります。
 しかし、一昔前のミニバンにはヒンジ式で全高1700mm以下の車種が多くラインナップされていました。とくに、ホンダの初代「オデッセイ」が代表例といえます。
 初代オデッセイは、1994年に発売されてヒット作になり、ミニバンを人気のカテゴリーに押し上げた功績があります。当時のオデッセイは、ヒンジ式で全高1700mm以下に収まるワゴン風のミニバンでした。
 この後もオデッセイは、ワゴン風ボディで進化していきますが、2013年に5代目(現行型)になり、ヒンジ式からスライド式に改良したフラットフロア構造のミニバンに発展。
 また、2000年に発売された5ナンバーサイズのホンダ「ストリーム」も存在。後席のドアがヒンジ式のワゴン風ミニバンで、2014年に2代目が販売を終えています。
 同じ時代のトヨタにも、「イプサム」、「ガイア」、「マークXジオ」、「ウィッシュ」、「パッソセッテ」といったヒンジ式(全高1700mm以下)のミニバンが多数ラインナップしていました。
 ほかにも、全高1700mm以下のミニバンは多くラインナップされていました。スライド式では、日産「リバティ」「ラフェスタ」、トヨタ「アイシス」、マツダ「プレマシー(初代はヒンジ式)」などです。
 これらの全高を1700mm以下に抑えたワゴン風の車種は、ミニバンが普及を開始した1990年代の中盤から2000年代に掛けて販売は好調でしたが、徐々にワゴン風ミニバンの人気に陰りが見え始めます。
 当時の販売状況について、日産販売店の元スタッフは次のように話します。
「1990年代の当時は、『セダン一強時代』ともいわれるほど、セダンタイプのクルマが多くラインナップされていました。そのため、いきなり背の高いミニバンにいくよりは、ワゴン風ミニバンのほうが走りも安定しつつ荷物も乗るということで好評でした。
 しかし、2000年代後半になると徐々に背の高いミニバンが人気になってきます。そのあおりを受けて、軒並みにワゴン風ミニバンは販売終了していきます。
 ミニバンへのニーズの変化については、ミニバンの普及開始から10年を経過して、『セダンからミニバン』と初めて乗り替えるユーザーが減ったことと、趣味の多様化によってクルマへのニーズが変わったことが挙げられます」
※ ※ ※
 その結果、全高1700mm以下のワゴン風ミニバンの3列目や荷室が狭く中途半端です。ミニバンを購入するのは、アウトドアなど多人数で移動することや3列目シートを畳んで自転車のような大きな荷物を積むなど、明確な目的を持ったユーザーに絞られるようになりました。
 また、ヒンジ式はスライド式のミニバンに比べると、重心が低めで走行安定性が優れ、ドライバーの目線も適度な高さだから運転がしやすいのですが、これらの過渡的なメリットは注目されませんでした。
 ミニバンが高重心で走りに不利なのは了承済みで、それ以上にほかのカテゴリーでは得られない「大勢乗せて、たくさん積む」機能が重視されたのです。

■ミニバンは「幸せな家庭の象徴」?
 スライドドアのメリットは、開いたときにドアパネルが外側へ張り出さず、狭い場所でも開閉しやすいことですが、それ以上にミニバンの象徴的な装備として定着しました。ミニバンであることを明確に示し、ほかのカテゴリーとは差別化する上で、スライドドアは不可欠の装備だったのです。
 いい換えればミニバンは、幸せな家庭の象徴ともいえます。子供が生まれると「いつかはミニバン」です。それゆえ、「パッソセッテ」はサッパリ売れませんでした。
 3列目が狭く、自転車などを積めないだけでなく「パッソ」の車名が致命的です。車名が低価格のコンパクトカーと同じでは「いつかはミニバン」になり得ません。トヨタは馴染みやすいように「パッソ」という車名にイタリア語で7を意味する「セッテ」を組み合わせましたが、ミニバンユーザーの気持ちをまったく理解できていませんでした。
 その結果、パッソは短期間で販売を終え、一度生産を終えた先代「シエンタ」がマイナーチェンジを施して復活するという、異例の事態になったのです。
 復活した先代シエンタは、燃料タンクを前席の下に搭載するホンダ「モビリオ」の対抗車種として開発され、薄型燃料タンクを採用。これによって、3列目と荷室の床を低く抑え、モビリオに似た効果を得ています。薄型燃料タンクのノウハウは、2代目の現行シエンタに受け継がれています。
 以上のように全高が1700mm以下でヒンジ式のミニバンは、ミニバン初心者が多かった普及期に使命を終えました。2010年以降には相次いで生産を終え、今のミニバンはスライドドアを備えた背の高い車種だけになっています。居住性や積載性が優れ、なおかつ「ミニバンのステイタス」も味わえるからです。
 トヨタの「アルファード/ヴェルファイア」が人気を高め、フォーマルな用途にも使われていますが、それはファミリーユーザーの「いつかはミニバン」という想いが昇華した結果でもあるでしょう。
 そして今の背の高いミニバンは、自動車の遠い将来も見通しています。クルマが完全な自動運転になれば、交通事故は発生しないため(交通事故がゼロにならない限り自動運転は実現できない)、ボディの衝撃吸収構造は不要です。
 乗員は、移動中に仕事や趣味を楽しむなど、車内を自宅や職場のように使いますから、ボディは空力特性の優れたカプセル状になるでしょう。既存のミニバンでいえば、エスティマのようなイメージです。
 このように自動運転の時代まで見据えると、ミニバンはクルマのデザインが進化した最終的な形かも知れません。
【了】
Writer: 渡辺陽一郎
1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。


≪くだめぎ?≫
 「1990年代の当時は、『セダン一強時代』ともいわれるほど、セダンタイプのクルマが多くラインナップされていました。・・・ミニバンの普及開始から10年を経過して、『セダンからミニバン』と初めて乗り替えるユーザーが減ったことと、趣味の多様化によってクルマへのニーズが変わったことが挙げられます」

 今や軽自動車までも「スライドドア」ブームである。
 ・ミニバンは「幸せな家庭の象徴」・・スライドドアのメリットは、開いたときにドアパネルが外側へ張り出さず、狭い場所でも開閉しやすいことですが、それ以上にミニバンの象徴的な装備として定着しました。ミニバンであることを明確に示し、ほかのカテゴリーとは差別化する上で、スライドドアは不可欠の装備だったのです。

 "スライドドア"は"1990年代に始まった「ミニバンブーム」"で完全に定着し、
『セダン一強時代』は終焉した、と言って良い。『GS』『マークX』が消えることが象徴かもしれない。
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Posted at 2020/05/22 05:48:05

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