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[写真・画像] (2013年5月7日)
東津軽郡今別町の国道280号今別バイパス。
海上国道
海上国道(かいじょうこくどう)とは、海上部(海上区間)を含めて一連の道路となる一般国道の俗称である[1]。特に、海上部が架橋されておらず、一連の国道でありながらフェリー等によらねば通行不能なものを呼ぶことが多い。ただし、必ずしもフェリー航路が設定されているとも限らず、名目上だけでつながっているところもある[2]。この意味での海上国道は、2009年現在日本には27路線(重複除いて24路線)ある。その路線上すべてを「海上国道」と呼ぶことは少なく、実体的な道路が存在しない海上部(海上区間)のみを指して呼ぶことが多い。
1.概要
一般国道の海上部は、国土交通省の規定により、「地上に建設された道路、あるいは橋や海底トンネルなどの構造物が存在しなくても、フェリーボートなどによって道路と道路を結ぶ1本の交通系統として機能があると判断できれば国道に指定する」とされている[1]。
海上部も含めて一つの国道として建設・管理することが沿線の発展等に寄与すると国が認めているものであるが厳密には定義がなく、一般国道において「一般国道の路線を指定する政令」(昭和43年政令第58号)に示されている「重要な経過地」を経て海上部を含めて一連となっているかどうかで、海上国道であるか見極められる。その海上部は、フェリーで結ばれているところがほとんどで、同政令によって国道として指定できる海上区間は、双方の陸地にある国道がフェリー航路などによって結ばれていて、同じ交通系統にあたると判断されたときに国道としてみなされている[1][3]。国道の海上区間を航路とするフェリーは商業名を「国道フェリー」と名乗っているところもあるが、ほぼすべての航路が民間運営であり(桜島フェリー、有明フェリーなど一部は公営)、海上国道であるという理由では国からの補助金等の援助は受けていない[3][4]。以前は、日本道路公団(JH) 等が運営していた航路も存在した。
2.日本の海上国道
海上国道は、海上区間を自動車道のバイパスで結ばれている路線を除いた場合に、日本全国で24路線ある[5]。
代表的な海上国道として、日本最長の海上国道である国道58号(鹿児島市 - 種子島 - 奄美大島 - 沖縄本島)[6]、津軽海峡を渡って本州・青森県と北海道を結ぶ国道279号・280号・338号[7]、東京湾口を横断して首都圏を環状に結ぶ国道16号などがある[8]。
国道番号 起点・終点 海上部起点 海上部終点 主な経過海上
主な交通機関(所要時間・運航本数) 備考
・279
北海道函館市
青森県上北郡野辺地町
函館港(北海道函館市)
大間港(青森県大間町)
(渡島半島)津軽海峡東部(下北半島)
津軽海峡フェリー(1時間40分・1日2便)
本州と北海道にまたがる国道3路線(実質2路線)の一つで、国道338号と重複区間。
2008年12月東日本フェリーより航路を引継ぎ、2009年以降は暫定的に運航継続。
津軽海峡大橋構想あり。
ちなみに本州と北海道を結ぶ主力航路の青函航路(津軽海峡フェリー・3時間40分・1日8 - 9便・終夜運航、青函フェリー・3時間50分・1日8便・終夜運航)は国道区間に指定されていない。
・280
青森県青森市
北海道函館市
三厩港(青森県外ヶ浜町)
福島港(北海道福島町)
(津軽半島)津軽海峡西部(松前半島)
—
本州と北海道にまたがる国道3路線(実質2路線)の一つ。鉄道の北海道新幹線・海峡線(青函トンネル)が並行する。道路トンネルとして青函第二トンネル構想がある。
東日本フェリーが就航していたが、1989年頃より夏期のみの不定期運航化。1992年以降は1998年夏期に運航されたのみ。再開が見込めず、両岸自治体が東日本フェリーの了解を得た上で他運航事業者を募集中[1]。
3.脚注
[1]^ a b c 浅井建爾 2015, p. 16.
[2]^ 佐藤健太郎「国道の名所を行く」『ふしぎな国道』講談社〈講談社現代新書〉、2014年、48頁。ISBN 978-4-06-288282-8。
4.参考文献
浅井建爾『日本の道路がわかる辞典』(初版)日本実業出版社、2015年10月10日。ISBN 978-4-534-05318-3。
『道路地図 びっくり!博学知識』河出書房新社〈KAWADE夢文庫〉、2005年2月1日、16-17頁。ISBN 4-309-49566-4。
5.関連項目
国土交通省
一般国道
点線国道
階段国道
6.外部リンク
一般国道の路線を指定する政令 - e-Gov法令検索
最終更新 2024年5月4日 (土) 17:52 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
国道280号
国道280号(こくどう280ごう)は、青森県青森市から北海道函館市に至る一般国道である。
総延長 189.6 km
実延長 100.8 km
現道 67.1 km
陸上区間 172.6 km
海上区間 17.0 km(津軽海峡)
制定年 1970年(昭和45年)
起点 青森県青森市
古川交差点(北緯40度49分31.46秒 東経140度43分42.48秒)
主な経由都市 青森県東津軽郡今別町
終点 北海道函館市
万代こ線橋交差点(北緯41度47分22.08秒 東経140度43分54.74秒)
接続する主な道路(記法)
国道7号 国道339号 国道228号 国道5号
1.概要
青森県青森市から三厩漁港がある東津軽郡外ヶ浜町でいったん途絶え、津軽海峡の海上区間によって北海道へ至り、北海道内は松前郡福島町から国道228号と重複して函館市に通じる。北海道には国道280号の単独区間が無いため、実延長区間は青森県だけにあり、国道280号の標識も青森県内のみに建つ[1]。
海上区間である青森県東津軽郡外ヶ浜町(旧三厩村)の三厩港と北海道松前郡福島町の福島港間は[2]、かつて三福航路(さんぷくこうろ)とよばれ、1937年(昭和12年)設立の青森商船株式会社により1965年(昭和40年)にフェリーが就航されていた。その後1967年(昭和42年)に東日本フェリーがこれを引き継ぎ、青函トンネルの建設資材運搬にも利用された。青函トンネルが開通以後は、三厩 - 福島間を結ぶフェリー航路の役目を果たしたことから1998年(平成10年)以降休止しており[1]、就航再開のめどが立っていない。青森県東津軽郡外ヶ浜町と北海道松前郡福島町では、この航路を運航するフェリー会社を募集している。
また、道路トンネルとして青函第二トンネル構想がある。
1-1.路線データ
一般国道の路線を指定する政令[3][注釈 1]に基づく起終点および重要な経過地は次のとおり。
起点:青森市(千刈1丁目、上古川交差点 = 国道7号交点)
終点:函館市(万代町176番、万代こ線橋交点 = 国道5号交点・国道227号・国道228号起点)
重要な経過地:青森県東津軽郡蟹田町[注釈 2]、同郡三厩村[注釈 2]、北海道松前郡福島町、同道上磯郡木古内町、同郡上磯町[注釈 3]
総延長 : 189.6 km(北海道 88.7 km、青森県 100.8 km)重複区間、未供用延長(海上区間)を含む。[4][注釈 4]
重用延長 : 71.7 km(北海道 71.7 km、青森県 - km)[4][注釈 4]
未供用延長 : 17.0 km(北海道 17.0 km、青森県 - km)[4][注釈 4]
未供用延長のうち海上区間 : 17.0 km(北海道 17.0 km、青森県 - km)[4][注釈 4]
実延長 : 100.8 km(北海道 - km、青森県 100.8 km)[4][注釈 4]
現道 : 67.1 km(北海道 - km、青森県 67.1 km)[4][注釈 4]
旧道 : 6.7 km(北海道 - km、青森県 6.7 km)[4][注釈 4]
新道 : 26.9 km(北海道 - km、青森県 26.9 km)[4][注釈 4]
指定区間:国道228号・国道227号と重複する区間(北海道松前郡福島町福島 - 函館市・万代跨線橋交差点(終点))
2.歴史
・1970年(昭和45年)4月1日 - 一般国道280号(青森県青森市 - 北海道函館市)として指定。
・1998年(平成10年) - 三福航路のフェリー休止。
3.路線状況
3-1.別名 -- 松前街道
3-2.重複区間
国道228号(北海道松前郡福島町福島- 函館市万代町・万代跨線橋交差点(終点))
国道227号(北海道北斗市七重浜7丁目-函館市万代町・万代跨線橋交差点(終点))
3-3.バイパス
内真部バイパス - 1993年開通
内真部 - 蓬田バイパス - 2002年開通
野田バイパス - 2001年開通
蓬田 - 蟹田バイパス - 2010年部分開通
今別バイパス - 1989年開通
3-4.道の駅
青森県
たいらだて(東津軽郡外ヶ浜町)
北海道
渡島総合振興局
横綱の里ふくしま(松前郡福島町、国道228号重複区間内)
しりうち(上磯郡知内町、国道228号重複区間内)
3-5.所管
青森県 県土整備部 青森県土整備事務所:単独区間
国土交通省北海道開発局函館開発建設部
江差道路事務所:重複区間(松前郡福島町 - 上磯郡知内町)
函館道路事務所:重複区間(上磯郡木古内町 - 函館市)
4.地理
4-1.通過する自治体
青森県
青森市 - 東津軽郡蓬田村 - 東津軽郡外ヶ浜町 -東津軽郡今別町 - 東津軽郡外ヶ浜町
北海道
渡島総合振興局
松前郡福島町 - 上磯郡知内町 - 上磯郡木古内町 - 北斗市 - 函館市
4-2.交差する道路
4-2-1.現道
青森県
青森市
国道7号 : 千刈1丁目(上古川交差点)(起点)
青森県道234号津軽新城停車場油川線 : 油川大浜(浪返交点)
青森県道26号青森五所川原線 : 油川大浜(大浜交点)
青森県道2号屏風山内真部線 : 清水浜元
東津軽郡外ヶ浜町
青森県道238号蟹田停車場線 : 蟹田
青森県道12号鰺ケ沢蟹田線 : 蟹田中師宮本(中師交点)
国道280号(蓬田 - 蟹田バイパス) : 蟹田石浜(事業中)
国道280号(野田バイパス) : 平舘野田山下
国道280号(野田バイパス) : 平舘石崎沢
東津軽郡今別町
国道280号(今別バイパス) : 山崎山元
青森県道14号今別蟹田線 : 今別今別(今別交点)
東津軽郡外ヶ浜町
国道280号(今別バイパス)・青森県道230号三厩停車場線 : 三厩東町
国道339号 : 三厩本町(三厩港付近)
(海上区間)
北海道
渡島総合振興局
松前郡福島町
国道228号 : 日向(福島港付近)
(国道228号、国道227号との重複区間は省略)
函館市
国道5号・北海道道571号五稜郭公園線 : 万代町(万代跨線橋、終点)
4-2-2.内真部バイパス・内真部 - 蓬田バイパス・蓬田 - 蟹田バイパス
(蓬田 - 蟹田バイパスの一部区間は事業中)
青森県
青森市
国道7号 : 新城平岡(起点)
青森県道234号津軽新城停車場油川線 : 岡町藤戸
青森県道26号青森五所川原線 : 羽白池上
青森県道2号屏風山内真部線 : 清水浜元
東津軽郡外ヶ浜町
青森県道12号鰺ケ沢蟹田線 : 蟹田中師宮本(事業中)
国道280号(現道) : 蟹田石浜(終点)(事業中)
4-2-3.今別バイパス
東津軽郡今別町
国道280号(現道) : 山崎山元(起点)
青森県道14号今別蟹田線 : 今別中沢
東津軽郡外ヶ浜町
国道280号(現道)・青森県道230号三厩停車場線 : 三厩東町(終点)
5.脚注
5-1.注釈
[注釈 1]^ 一般国道の路線を指定する政令の最終改正日である2004年3月19日の政令(平成16年3月19日政令第50号)に基づく表記。
[注釈 2]^ a b 2005年3月28日に東津軽郡蟹田町・平舘村・三厩村の1町2村が合併して東津軽郡外ヶ浜町発足。
[注釈 3]^ 2006年2月1日に上磯郡上磯町、亀田郡大野町の2町が合併して北斗市発足。
[注釈 4]^ a b c d e f g h 2022年3月31日現在
5-2.出典
[1]^ a b 松波成行 2008, p. 87.
[2]^ 浅井建爾 2015, pp. 20–21.
[3]^ “一般国道の路線を指定する政令(昭和40年3月29日政令第58号)”. e-Gov法令検索. 総務省行政管理局. 2022年1月24日閲覧。
[4]^ a b c d e f g h “表26 一般国道の路線別、都道府県別道路現況” (XLS). 道路統計年報2023. 国土交通省道路局. 2024年4月16日閲覧。
6.参考文献
浅井建爾『日本の道路がわかる辞典』(初版)日本実業出版社、2015年10月10日。ISBN 978-4-534-05318-3。
松波成行「国道280号」『酷道をゆく』、イカロス出版、2008年3月20日、87頁、ISBN 978-4-86320-025-8。
7.関連項目
日本の一般国道一覧
東北地方の道路一覧
北海道地方の道路一覧
海上国道
最終更新 2024年7月30日 (火) 14:31 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
≪くだめぎ?≫
「1965年(昭和40年)にフェリーが就航されていた。」
"フェリー就航"を「国道指定」の切り札にした、と思わせる。
確かに「青函トンネル」上の航路だが。
黙って、竜飛岬・帯島弁財天宮まで国道指定した方が
"源義経北行伝説"らしいと思うが。