
佐川、三セク鉄道で宅配便輸送 トラックを代替
2016/6/3 20:50
佐川急便は今秋にも新潟県の第三セクター鉄道、北越急行(新潟県南魚沼市)が運行する「ほくほく線」で宅配便を輸送する事業を始める。トラックで運んでいた一部を鉄道輸送に切り替える。物流業界はドライバー不足が深刻な一方、三セク鉄道は利用者減が問題になっている。鉄道で乗客と一緒に荷物を運ぶことで、宅配便の配送網と地域交通の維持を狙う。
ほくほく線の六日町駅(新潟県南魚沼市)―うらがわら駅(同県上越市)の約46キロメートルの区間で1日1往復、宅配便の荷物を輸送する。両駅から佐川急便の配送センターに荷物を運び、そこから家庭などに配達する。
佐川急便はドライバーの採用が難しい地方でも輸送手段を確保できる利点がある。北陸新幹線の開業に伴い北越急行は在来線特急が廃止になり、利用者が減少している。鉄道で荷物を運ぶことで収入を確保できる。
公共交通機関で貨物を運ぶ「貨客混載」は国土交通省が民間に導入を促している。
ヤマト運輸も宮崎県と岩手県のバス会社と組んで、路線バスで宅配便の荷物を輸送している。
日本経済新聞
2016年6月7日(火) 18時43
北越急行と佐川急便、旅客列車を使った荷物輸送を実施へ…来年4月以降
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(上) 北越急行と佐川急便が「貨客混載事業」の実施で合意。ほくほく線の旅客列車を使って宅配便の荷物を輸送する。
(下) 合意書を締結した荒木社長と渡邊社長。両社のキャラクター「はこぶくん」と「ほっくん」も出席した。《撮影 草町義和》
六日町(新潟県南魚沼市)~犀潟(上越市)間59.5kmのほくほく線を運営する新潟県の第三セクター・北越急行と宅配便大手の佐川急便は、ほくほく線の旅客列車で宅配便の荷物を運ぶ「貨客混載事業」に取り組むことを決めた。両社は6月7日、新潟県庁で合意書を締結。2017年4月以降の実施を目指す。
発表によると、貨客混載事業は佐川急便の六日町営業所~上越営業所間で実施。六日町営業所~六日町駅とうらがわら駅~上越営業所をトラックで運び、六日町~うらがわら間はほくほく線の最終列車に載せ替えて輸送する。
最終列車の現在の運転時刻は、六日町22時48分発~うらがわら23時26分着と、うらがわら23時03分発~六日町23時45分着。ほくほく線で運用されているHK100形電車は1両につき車椅子スペースが1カ所設けられており、2両編成の最終列車は車椅子スペースが計2カ所になる。このうち1カ所を荷物の積載スペースとして使用。荷崩れや盗難を防止するため、専用のカゴに荷物を入れて輸送する。
専用カゴは佐川急便が製作中で、大きさは幅65cm・奥行93.2cm・高さ165cm。北越急行もHK100形の車椅子スペースに専用カゴを固定する器具を設置する。今秋頃から輸送試験を実施し、2017年4月以降の本格実施を目指す。
北越急行はこれまで、上越新幹線と北陸地区をほくほく線経由で結ぶ特急列車の通過収入に支えられて黒字経営を維持してきたが、2015年3月の北陸新幹線開業に伴い特急列車が廃止され、利用者と収入が大幅に減少した。同社の渡邊正幸社長は記者会見で「厳しい経営環境にさらされており、鉄道の輸送余力を少しでも活用できないか検討した。貨客混載輸送を行うことで収益が望めるのではないかと思っている」などと話した。
一方、佐川急便の荒木秀夫社長は「高い品質と安定した輸送を維持するためには、新たな輸送モードの開拓が必要。貨客混載輸送でトラックドライバー不足の解消や、モーダルシフトによる二酸化炭素(CO2)削減効果が期待できる」などと話した。
《レスポンス・草町義和》
北越急行
佐川急便と提携、宅配便運搬 9月にも貨客混載 /新潟
毎日新聞2016年6月8日 地方版
「北越急行」(本社・南魚沼市)と総合物流会社「佐川急便」(同・京都市)は7日、宅配便を乗客とともに列車に乗せて運搬する「貨客混載」事業を開始すると発表した。北越急行は、昨年3月の北陸新幹線開業に伴う特急廃止で収入が激減しており、新たな収入源として期待している。9月にも試験運行を始め、来春以降のダイヤ改正に合わせて本格運行する。
対象区間は、ほくほく線六日町駅(南魚沼市)−うらがわら駅(上越市)間の約46キロ。午後10〜11時台の上下線最終便にそれぞれ荷物を積み、佐川急便の六日町、上越両営業所のトラックが運んでいる1日50〜100点程度の荷物の運搬を代替するという。運搬に際しては、2両編成の車両の一部を改装し、専用ケース(縦93センチ、横65センチ、高さ160センチ)2個を使用する。
北越急行は特急「はくたか」の廃止で収益が10分の1にまで減少しており、乗客の少ない最終便の輸送余力の活用に期待している。また、佐川急便は降雪時や渋滞による到着遅延防止のほか、ドライバー不足解消の面でも利点があるという。同社によると、乗客のいる列車を活用した宅配便の運搬は珍しいといい、7日に新潟市内で記者会見した荒木秀夫社長は「地域に必要な交通インフラの維持や地元経済の活性化に役立てるよう努力したい」と話した。
両社ではこのほか、不在配達時の荷物引き取り用宅配ボックスをほくほく線沿線の駅に設置することも検討している。【柳沢亮】
≪くだめぎ?≫
在来線最高速"160km/h"を北陸新幹線開業まで続けてきた「ほくほく線」、すぐに飛びつかなかったのが不思議である。国鉄改革以前、ローカル線ではどこでも見られた光景だから。小荷物だけでなく新聞輸送や郵便輸送が行われたが、経費や手間がかかるなど、国鉄合理化・小編成化大増発などで荷物列車が削減されてきた。
ただ、小荷物取り扱い駅が"宅配取り扱い所"に転換しなかったことが、常々不思議に思っていた、広大な貨物操車場・荷さばき所を活用しないのが、もったいない。
Posted at 2016/08/15 14:18:12 | |
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