
トワイライト廃止で気になるカシオペアの行方
北海道新幹線が招く、「寝台列車廃止」の必然
大坂 直樹 :東洋経済 記者
2014年05月29日
JR西日本は5月28日、1989年から運行を続けてきた寝台特急「トワイライトエクスプレス」(大阪-札幌駅間)を2015年春に運行を終了することを明らかにした。
すでに今年3月のダイヤ改正により、JR東日本の寝台特急「あけぼの」(上野―青森間)の定期運行が終了している。北へ向かう寝台列車は、「北斗星」「カシオペア」(上野―札幌間)、「トワイライトエクスプレス」(大阪―札幌間)、「はまなす」(青森―札幌間)があるが、このうち「トワイライトエクスプレス」の引退が決まり、残るは「北斗星」、「はまなす」、そして「カシオペア」だ。
■客車が老朽化
「北斗星」と「トワイライトエクスプレス」は高い人気を誇っているものの、もともと客車の老朽化が指摘されてきた。車両更新の時期が迫る中、車両を保有するJR東日本やJR西日本は、2016年春の北海道新幹線開業を機に、運転を取りやめるのではないかとの観測も出ていた。
一方で、営業開始が1999年と、比較的車歴の浅い「カシオペア」は存続するのではないかという見方もあったのだが、存続は難しい。北海道新幹線が開業すると、夜行の寝台列車とは共存できないのだ。
次ページ・電圧引き上げのインパクト
北海道新幹線は、青函共用区間において在来線と同じ線路の上を走行することを想定している。東海道や山陽など現在の新幹線は、レールなどの保守作業を行う時間として深夜0時から 朝6時まで運行していないため、このルールを青函共用区間に当てはめると、寝台列車も0時から朝6時までは通過できないことになる。
■北海道経済に貨物は必須
一方で、現在、深夜の時間帯にはJR貨物の貨物列車が青函共用区間を頻繁に走行している。北海道の農作物を消費地に運ぶためには、貨物列車の役割は不可欠なのだ。そのため、0~6時のうちの一部時間帯には貨物列車を通し、保守時間を4時間程度に圧縮する案が国土交通省で検討されている。
北海道経済を維持する上で、貨物列車の優先順位は高い。その上、青函共用区間の電圧は在来線基準の2万ボルトから新幹線基準の2万5000ボルトに昇圧する必要があり、機関車を新たに製造しなければならない。そのコストは1両あたり2億円以上になり、JR北海道にとって重い負担だ。島田修社長が「機関車を製造する予定はない」と発言した、との報道もあり、札幌行きの寝台列車が存続できないことはある意味で、必然だった。
懸念されるのはJR北海道の経営への影響。寝台列車は、同社の貴重な収入源である。「カシオペア」「北斗星」「トワイライトエクスプレス」が稼ぎ出す運賃や特急・寝台料金の合計は、もし、つねに満席だったとすれば、JR北海道の収入は年間27億円程度と試算される。急行「はまなす」は定員が「カシオペア」や「北斗星」よりも多いので、乗車率50%と仮定しても年間10億円の収入となる。
もちろん寝台列車にかかる経費や団体利用による割引などもあるが、鉄道事業の売上高が833億円のJR北海道にとって、寝台特急がもたらす収入は無視できない数字だった。それだけに、「寝台列車」がなくなることは、JR北海道の経営に大きな影響を与えることになるだろう。
≪くだめぎ?≫
JR北海道だけでなく、JR貨物・JR東日本の問題でもある。JR旅客各社は国鉄時代に行った"都市間シティ電車"政策で10~6両列車を3~2両列車に増発して利便性アップを図ってきた。
中には経営上の問題か、6両 →
2両 で混雑に拍車が掛かる、のはあるが・・。JR旅客各社は電車・ディーゼルカーを増備、
JR貨物は機関車を増備・管理する体制になった。乗客が乗る客車・ブルートレインはJR旅客各社、機関車はJR貨物にして、寝台列車の企画もJR貨物が行う時代になると思うが、例えばカートレイン運行を本気で行うには貨物抜きには考えられない。
青函トンネルを含む共用区間は在来線のままで良いと思う、保線時間が現在のままで良いから。現行の新幹線保守時間0~6時は長すぎるし、貨物列車に負担が掛かる。盛岡-新中小国信号場で260→320 [km/h]へが健全である。
Posted at 2014/06/07 19:54:19 | |
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