
バス停は巨大なチューブ
環境に配慮し都市づくり
人に優しい街=ブラジル(2008/12/10)
写真・クリチバ市内のいたる所にあるチューブ型のバス停。中村が築いたマイカーにも勝る便利な交通システムはブラジル随一とも言われる
一片のブーゲンビリアの花が風に舞い、半透明の巨大なチューブの上に静かに落ちる。デューブの中に立つ若いカップルは(天丼の紫の花に瞬、目をやっただけで、すぐにまた(二人だけの会話に没頭した。真っ赤な三両連絡のバスがチューブに横付けになり、バスのドアとチュープのドアが同時に開く。バスから吐き出されてくる人の流れが途絶えるのを待って、二人は寄り添いながらバスの中に消えた。
公共交通と歩行者を重視し、環境に配慮した街づくりで知られるブラジル南東部のクリチバ市。色とりどりのバスと、デューブ型のバス乗降場がその象徴だ。
「あなたたち知ってる? クリチバの交通システムはブラジルで一番なのよ」。バスを降りてきた女性に突然、大きな声を掛けられた。
「ええ所やろ。貧しくてもこんなに愛される衛ができるんや」。
中村■(直が三つ)(64)が記者に胸を張る。
毎日、バスで職場に通うこの女性、セバスティアーナ・トルトートは公立学校の校長だという。戸惑いながらも、うれしそうな中村。市の環境局長などとしてジャイメ・レルネル元市長(70)と二人三脚でクリチバを
「ブラジルの環境首都」と呼ばれるまでに育て上げた。
兵庫県明石市出身の中村は大阪府立大で造園学の修士号を取得。
「ブラジル人になるつもり」で一九七〇年、大学の先輩を頼ってクリチバ市のあるパラナ州に移り住んだ。
だが、 勤めた農場は一年足らずで倒産。知人の伸介で何の縁もないクリチバ市の公園課に就職、長靴をはいて作業をする毎日が続いた。
▽市長の哲学
そんな中村は、「日本の公園のことをよく知っている面白い人間がいる」と聞いた当時の市長、レルネルの目にとまり、初代の環境局長に抜てきされる。
最初の仕事は市の中心部から自動車を締め出し、歩行者専用道路を造ること。多くの反対を押し切り、徹夜でアスファルトをはがし、花壇やベンチを置く作業の結果、ブラジル初の歩行者天国は三日間で完成した。歩行者が街に戻り、沿線の商店の客も増えて、反対の声はすぐに消えた。
「年の主人公は人間だというレルネルさんの哲学に、本当に感心した」と中村は振り返る。
市の中心部にある使われなくなった駅舎や兵舎、肥料倉庫はショピングモールに。産業廃棄物置き場は巨大な公園に。二人のアイデァは次々と形になってゆく。チューブ型のバス乗降場のデザインはいレルネルが自ら描いた。
放置され、麻薬取引の舞台ともなつていた石切り場跡には今は緑に囲まれた先進的なデザインのオペラハウスと、環境セミナーなどを開く「環境自由大学」が立つ。
スラムの子供に食事を与えながら、リサイクルや環境保全の重要性を説く「環境寺子屋」など、中村の発案による環境教育の試みも世界に知られるようになった。
公園内を流れる清流や、遠くの山を風景に生かす借景、古い建物の再利用、街の中にさまざまなものを混然と配置するなど、多くを昔ながらの日本の街づくりから学んだというレルネル。「クリチバの街づくりのヒントの多くが日本にあった。ヒトシの精神がこの街に生きている」と賛辞を贈る。
▽ごみじゃない
柔らかな初夏の日差しが徐々に強さを増す早朝。「少し前までスラムだった」という街はずれの広場に立つ中村の姿があった。
その視線の先に、馬車や手押し車など思い思いの方法で再生可能な金属やプラスチック、ガラスを持ち寄る貧しい人々が列をつくる。
持ち込んだ「ごみ」の重さに応じて、バナナやジャガ手などの食料がもらえる「緑の交換プログラム」は、中村の発案で始まった。
「市民自身が『これはこみじゃない』と理解するようになった。リサイクルで得られる収入で地元の農民から農産物を買っているので、主催者にとっても金はかからない」
その場には、近く同様の制度を始めるという南アフリカ・ヨハネスブルクからの視察団の姿があった。クリチバには日本からの視察団も毎月のように訪れる。
日本の都市の多くは交通渋滞に悩む。増え続ける自動車からの二酸化炭素は地球温暖化対策にとっての難題だ。解決策を求めてやってくる彼らを迎える中村の目に、そんな日本の都市は奇妙なものに映る。「彼らはハどこかで間違った、何かおかしいなあと思い始めた。だからここにやって来るんだろう」
「街の中に立派な道路や地下鉄が通り、地下や道の脇に押しやられた人間は、週末になると郊外のモールに車で出掛ける。外から見たら、そのおかしさがよく分かる」
環境にも人間にも優しく、美しく楽しい町。貧しい中で工夫を重ね、中村たちはそれをつくった。クリチバに感動する視察団を見ると、中村は、日本人も本当はそんな街をつくりたかったんだろうなとう。
(文・井田徹治、写真・伊藤暢希、文中敬称略)
デーリー東北より
まず、バスを街づくりの中心に据えた都市計画である。バスも公共交通機関であることを忘れているからかもしれない。この都市計画の象徴が
「巨大なチューブのバス停」なのだろう。
中心街を
「公共交通と歩行者を重視し、環境に配慮した街づくり」にするヒントがあるのだろう。マイカーの走行距離を減らすと環境に良いのは分かるんだが・・。
今朝三台、コースター、サーフ、RAV4が並ぶ。サーフ泥がいっぱい。
Posted at 2008/12/10 20:39:38 | |
トラックバック(0) |
鉄道 | クルマ