
譲渡額80億円で合意 在来線経営分離で知事(2009/01/09)
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「東青森駅」2007.9より
並行在来線八戸―青森間の経営分離問題で、青森県の三村申吾知事は八日、JR東日本と交渉していた同区間の鉄道資産の譲渡価格について、約八十億円(消費税約三億七千万円は別途)で合意する方針を示した。JRから鉄道施設の修繕など支援を受けることも明らかにした。県は百億円規模の支援を見込んでおり、三村知事は「県負担は実質的に生じない」と強調。だが、JRは個別の支援策について金額を明示しておらず、県の説明通りに相応の支援が行われるかは不透明だ。
JR側は簿価の約百六十億円での譲渡を主張していたが、県は無償、または低価格での譲渡を求めていた。譲渡額は半額程度まで圧縮させた格好。
県によると、昨年十二月二十六日に三村知事とJR東日本社長が会談し、最終調整を行ったという。
八日に会見した三村知事は、合意に至った経緯について、譲渡価格を上回る支援策をJRが実施することや、簿価の半額程度に圧縮させたことなどを挙げ、「JRが並行在来線の将来を見据え、地域と共に歩む決意と県への配慮を表したと高く評価する」と判断の理由を述べた。
一方、JRの広報部は取材に対し「減価償却や不要資産の処分、経営分離に必要な工事などを加減した結果」と説明した。
JRは支援策として▽県に譲渡する駅舎や線路などの修繕▽列車の新造負担の軽減▽開業後十年程度をめどに、青い森鉄道への出向社員の給与負担▽新たなリゾート列車の導入や大規模キャンペーン―を実施するという。JRは具体的な金額を示していないが、県は「支援策を積算すれば百億円規模になる」と強調した。
同区間の資産譲渡をめぐっては、JRは先行して譲渡した目時―八戸間と同様、簿価(一九九六年度末時点)の約百六十億円での譲渡を主張。だが、県は無償、または低価格、県議会は無償での譲渡を求めていた。
今後、県議会の議決などを経て、二〇一〇年中に正式契約する運び。財源については七割が起債の活用を見込み、三割は基金を取り崩して対応する。
解説 「個別の支援額示されず」
並行在来線問題の焦点となっていた八戸-青森間の鉄道資産の譲渡価格が、JR東日本が主張する簿価の約百六十億円から半額程度の約八十億円で合意する運びとなった。財政事情が苦しい青森県は、資産取得に関する初期投資を圧縮し、さらに百億円規模とされる支援策をJRから取り付けたとし、「県負担は実質的に生じない」と成果を強調して見せた。だが支援額の詳網は示されず、運行主体の第三セクター・青い森鉄道の経営は厳しい見通しで、課題は残ったままだ。
合意した約八十億円という数字は、県とJRそれぞれが主張する金額のほぼ中間。双方が妥協し、画目を保てるぎりぎりのラインだった。ただ、JRの支援策について、県、JRは個別の見込み額を示さず、グレーゾーンを残した。県議会与党・自民党の県議の間でも、「空手形では駄目だ」「もっと強気に交渉すべきだ」といった厳しい声が多い。
同鉄道の収支予測を見ると、県が年間の線路使用料十六億円程度を減免するため、何とか収支均衡を図って鉄路の維持、存続ができる計画。将来的には利用者の減少なども見込まれ、先行きは決して明るくない。
八戸―青森間など現在の東北線は、〃物流の大動脈〃として極めて重要な路線。国やJR賃物からの支援は不可欠であるが、こちらの支援策もまだ決まっていない。正念場はこれからだ。(工藤洋平)
「詳細見えない」と不満 在来線譲渡で県議会(2009/01/09)
並行在来線問題で青森県が八日、JR東日本から鉄道資産を約八十億円で買い取る方針を決めたことについて、無償譲渡を求めてきた県議会の各会派からは一定の理解が示される一方で、「JRからの百億円の支援策の中身が見えない」などと不満の声が上がった。今後の県とJRの詳細交渉の行方によっては、無償譲渡にこだわる強硬論が勢いを増す可能性がある。
三村申吾知事は最大会派の与党自民と、新政の議員総会のほか、新幹線・鉄道問題対策特別委員会で今回の方針を報告した。
自民の西谷洌議員総会長は取材に「支援策によって、約十六億円とされる並行在来線の年間赤字がどこまで減るか分からない」と指摘。JR貨物の線路使用料の増額、国の支援策と合わせ、黒字が見通せない限り賛同は難しいと述べた。
山内和夫幹事長も「交渉した県の努力を評価はするが、支援策がJRからの空手形じゃ駄目だ。具体的な内訳を見ないと何とも言えない」と強調。会派内には「もっと強気に交渉すべきだ」「これでは賛同できない」との不満も根強い。
与党と足並みをそろえ、国、JRなどに県の負担軽減を要望してきた野党側も複雑な表情。新政の田名部定男議員は「県の負担が減るのはいいが、具体額が見えず判断しかねる」と首をひねった。
共産の諏訪益一県議団長は「支援策はJRが担って当然の内容であり、議会の要求とは乖離(かいり)している」と批判した。
社民の奈良岡克也代表は「県は並行在来線に対する国の支援内容が明らかになってから、JRとの交渉に合意するか決めるべきだ」と訴えた。
いずれも デーリー東北より
これは青森県とJR東日本との話し合い・二者会談。これをたたき台にJR賃物との三者会談に入るのだろう。そしてその三者会談を国にぶつけるのだろう。お役所仕事である。時間が掛かるのである。でも時間がないよ、来年の12月開業。
青い森鉄道の列車、JR賃物の列車、JR東日本の直通ディーゼルカーが走る。八戸臨海鉄道が保線・管理する予定。
複線交流電化の線路・「物流の大動脈」だ。
Posted at 2009/01/09 14:43:08 | |
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