
ブレークスルー 突破口を探る
バスを守れるか
(2)上限運賃化(2011/11/08)
写真・バス運行開始以来、最大の改革とされる上限運賃化。利用者の減少に歯止めをかけられるか
= 6日、八戸中心街タトミナル六日町バス停
「2011年10月1日 バスの運賃が変わります」
八戸市内のバス停や公共施設に掲示されている黄色の紙。同市と八戸圏域定住自立圏でスタートした、路線バスの料金に上限を設ける実証実験のPRチラシだ。
八戸圏域で路線バスが運行を始めて以来、“最大の改革”とも言われる上限運賃の導入。将来を見据えた持続可能な公共交通システムの構築と、バス利用者の減少に歯止めをかけることを狙いとする。
実証実験の期間は約2年で、運賃の上限は市内が300円、八戸圏域内が500円。50円刻みで上がる分かりやすい料金体系とし、特に遠距離移動の運賃を低く抑えた。
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「お客さんが乗らないから便数を減らすと、バスが不便になり、また人が乗らなくなる。そんな悪循環を断ち切る最初の手段だ」
八戸圏域公共交通計画推進会議座長を務める吉田樹・首都大学東京大学院助教は、上限運賃を導入した意義をこう強調する。
市によると、圏域全体では06~10年の5年間で、バス利用者が年平均で6・6%も減少した。このまま乗客が減り続け、赤字が拡大すれば、バス事業を支える圏域市町村の財政負担が増大するのは避けられない。
上限運賃化に伴い、市は値下げ分の減収を補填(ほてん)するため、新たに10月1日から来年3月末までの半期分で計7163万円をバス事業3者に支出する。市は「欠損補助を続けるのではなく、投じた公費が圏域住民に還元される公共交通政策への転換」と説明。負のスパイラルからの脱却を目指した〝奥の手〟と位置付ける。
果たして、運賃上限化で乗客の減少傾向を食い止めることができるのか。
市の試算では、バス事業者全体で利用者が9・8%増加すれば、値下げ前と同じ運送収入を確保できる。1便当たり、乗客が1・1人増えればいい計算だ。
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市営バスは通勤・通学に使う定期券の利用が減少傾向にある。上限運賃化を通じた新規開拓では、バス離れが進む通勤客と高校生の取り込みが鍵になる。
市が10年度、通学にバスや鉄道を利用する高校2年生を対象に行ったアンケートでは、95%以上の生徒が当時のバスを「運賃が高い」と指摘した。
高校を選択する際、3割の生徒が交通機関の利便性を重視したとのデータもあり、今後は高校生にターゲットを絞った需要開拓とPRが課題になりそうだ。
市は現在、実証実験の全ダイヤを対象に利用状況の実態調査を実施中。8~9月に行った調査結果と比較し、新たに獲得した客層や利用頻度の変化などを分析、効果を検証する。
ただ、吉田助教は「上限運賃を採算性だけで判断すべきではない」と指摘。中心街活性化やまちづくりなど多角的なアプローチからの検証の必要性を訴える。
デーリー東北 より
学生は週休二日制である。ここに二日分に一般客を呼べれば大変良いが・・。上限運賃300円・500円は十分呼び水になるはず。郊外・郡部路線は土曜・日祝日ダイヤで減便されている所もある。いわゆる市内路線では減便数は少ないが、空席率が問題になる。初乗りが150円にアップしたのは気になるが、大半の利用者は200~300円になるだろうし、圏域は500円である。かつての国鉄チャレンジ2万キロのような乗りつぶしイベント・ブームの様に盛り上がれば、と考える次第である。
Posted at 2011/12/06 21:15:23 | |
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