
トヨタ・グランビア
グランビア (Granvia) はトヨタ自動車の3ナンバーサイズのワンボックス型ミニバンでトヨタオート店(現ネッツ店)で販売されていた。
写真・欧州向けハイエース後期型(2007年~)
1 歴史
1995年8月に発売。3ナンバー専用ボディーを持つ、トヨタのワンボックスカーでは初めてとなるフロントエンジン車であると同時に、当時のトヨタの最上級ミニバンであった。 広大な室内が特徴であったが、多くの部分を欧州向けハイエースと共用していた。そのため高額車であるにも関わらず、乗り心地が良くなく(特に4WD)内装がいわゆる日本的な高級感など皆無でチープだったことなど、旧来のワンボックスカーたる、商用車の雰囲気を色濃く残していた。しかし、完全なFRであるため旧来のワンボックスでありがちなこもり音などは少なくなり、この種のワンボックスとしては乗降を出来るだけ楽に行えるようにステップに工夫をこらしていた。搭載エンジンは、2.7Lガソリン(3RZ-FE型)と3.0Lディーゼルターボ(1KZ-TE型)の2つが用意された。トランスミッションは全車4速AT。
のちに発売される2代目ハイメディックと同様、欧州の新しい衝突安全基準を満たす為にセミキャブオーバー化されたハイエースの欧州仕様とデザイン・メカニズムの大部分を共用する。
1996年8月、全車のフロントドアにUVカットガラスを採用し、前席にセンターテーブルを標準装備。そしてQに木目調パネルを、Gには助手席アームレストとスライドドアイージークローザーなどを標準化によって装備の充実が図られた。 また、パッケージオプションとしてQに「エクセレントパッケージ」、Gに「ラグジュアリーパッケージ」の設定、特別仕様車としてG-Limited(後にパールマイカセレクション)が追加される。
1997年4月、グランビアとドアパネルなどを共用し、5ナンバー枠に収めたハイエース・レジアスが登場し、同年8月にグランビアもマイナーチェンジを実施した。マイナーチェンジでは新たに3.4L V型6気筒エンジン(5VZ-FE)を搭載するとともに、衝突安全ボディGOAの採用、フロントグリルやテールランプのデザイン変更し、国産ミニバン初の両側スライドドアが装備された。同時に、内装を充実させた「Q エクセレントセレクション」や本革シートを装備した「Q プレステージセレクション」追加など、豪華さを前面に押し出すようになる。また「G クルージングセレクション」や「G コンフォートセレクション」も追加される。 しかし、2.7Lガソリン車はグレードが縮小されてGグレードのみとなる。
同年には、グランビア(厳密には欧州仕様ハイエースロングボディ)をベースにした高規格救急車ハイメディックと同車ベースの2B型救急車が発売された。のちに発売される姉妹車であるグランドハイエースには欧州版ハイエースをベースとするロングボディ及びハイルーフが設定され、特装車扱いで主にキャンピングカービルダーや消防向けに発売されていた。
1998年5月、従来設定されていた2.7Lガソリンエンジン(3RZ-FE型)を廃止し、ガソリンエンジンは3.4L V6のみとした。この時、Gグレードにボディ同色のドアハンドル、マッドガード、スライドドアレールを採用した。 また、特別仕様車としてG エクステージを追加。
1999年8月、日産・エルグランドのヒットという思わぬ展開に危機感を持ったトヨタはマイナーチェンジで姉妹車のレジアス共々、フロントマスクをけれん味のないものからエルグランドを強く意識した押し出しの強い顔立ちとし、アルミホイールやテールランプのデザインも大幅に変更された。そして上級のQグレードは全て両側スライドドアとなり、8人乗りが設定された。内装はインパネとシートのデザインを一新し、ステアリングホイールの形状変更やDVDナビゲーションを採用するなどして商品力を向上させて商用車風の雰囲気を完全に払拭した。また、3.4Lガソリンエンジンへの電子制御ATの採用、3.0Lディーゼルターボ車はインタークーラーの装着によって高出力化され、TRCの4WD車への設定を拡大した。
このマイナーチェンジによって、グランビアと基本部分を共通としながら内外装をより豪華に仕立てたグランドハイエースと、レジアスをよりスポーティーな仕様としたツーリングハイエースを登場させた。
2000年4月、特装車(TECS)であったG エアロスポーツバージョン、G クルージングセレクションエアロスポーツバージョンがカタログモデルに昇格すると同時に、上級グレード同様にデュアルスライドドアを採用したG デュアルスライドドアセレクションが追加された。
2001年、G クルージングセレクションをベースに特別装備を加えた特別仕様車G クルージングリミテッドが追加された。
2002年5月、4車種共に生産を終了しアルファードG/Vに二本化した。
2011年10月28日、当車のベース車となっていた欧州向けハイエースが、2012年から欧州連合(EU)で自動車環境規制が強化されること及び 円高により欧州戦略が曲がり角を迎えたことを受け、販売継続が困難と判断したため生産終了となった。
2 グレード
発売当初は、7人乗りの「Q」と8人乗りの「G」のみでスタートした。後に、国産ミニバン初の両側スライドドアが装備された「Q デュアルスライドドア」「Q エクセレントセレクションデュアルスライドドア」、「Q プレステージセレクション」、「G クルージングセレクション」「G コンフォートセレクション」が追加された。ウィンドウガラスは上級グレードが濃色ブロンズガラス、下級グレードがグリーンガラスとなっていた。
3 販売
1997年5月に日産・エルグランドが同クラスの車種としてデビューし、押し出し感のあるダイナミックなフロントマスクや、豪華で広大な室内などに加え、構造的にはむしろエルグランドの方がサスペンションなど商用車やSUV向けであったが、それとは裏腹に乗り心地やハンドリングも良好なことが評価され、グランビアを遥かに凌ぐ売り上げ(月販1万5000台)を見せており、セールス面で苦戦した。4車種でエルグランドに対抗したが、既存のハイエースシリーズ(特に東京トヨタではグランド/ツーリングハイエースを含めたハイエースシリーズに加え、同クラスのエスティマも取り扱う)も販売されており、車種が多かったことで購買層が混乱して売り上げには貢献しなかった。結局、モデル末期までエルグランドに売り上げ台数の差をつけられたままだった。
4 車名の由来
イタリア語で「偉大な道」という意味をこめて作られた。なおスペイン・マドリードの中心部にある「グランビア通り(en)」との直接の関連はない。
5 関連項目
トヨタ自動車
トヨタ・ハイエース
トヨタ・グランドハイエース
トヨタ・ハイメディック
トヨタ・レジアス
トヨタ・ツーリングハイエース
トヨタ・アルファード
トヨタ・ヴェルファイア
日産・エルグランド
6 外部リンク
GAZOO.com トヨタ・グランビア
最終更新 2012年7月25日 (水) 06:00
フリー百科事典『ウィキペディア』
トヨタ ハイエース 欧州仕様…内容充実でさらなる長寿モデルへ
2009年6月1日(月) 19時37分
英国トヨタは5月28日、商用車の『ハイエース』の09年モデルを発表した。日本では02年に生産を終了した『グランビア』、『グランドハイエース』が、息の長いモデルとして販売されている。
ハイエースとその兄弟車の『レジアスエース』は、日本では04年8月に新型を発表。しかし、欧州でのハイエースは、依然として旧型グランビア&グランドハイエースがベースだ。
グランビアは95年にデビュー。トヨタの最上級ミニバンとして投入されたが、97年に日産が『エルグランド』を発売すると、販売面では劣勢に立たされた。
そこでトヨタは、97年に5ナンバーボディの『ハイエースレジアス』、99年のマイナーチェンジ時には、グランビアの兄弟車『グランドハイエース』、レジアスの兄弟車『ツーリングハイエース』を設定。しかし、合計4車種をもってしても、エルグランドを超える人気を獲得できず、02年に生産を終了した。
02年、トヨタは後継車として『アルファード』を投入。乗用車ライクな乗り味や豪華な内装、押し出しの強いフロントマスクなどが好評で、エルグランドを駆逐する勢いで売れたのは記憶に新しい。
さて、欧州でのハイエースは、日本での生産終了から7年を経たグランビア&グランドハイエースが、まだまだ現役。09年モデルでは新デザインのグリルが採用され、メッキを配したグリルは、グランビアそのものといえる表情を醸し出している。
内装はシートやドアトリムをグレードアップ。遮音材を追加するなどの改良により、NVHの低減も図られた。エアコンが全グレードに標準装備され、UVカットガラスが導入されたのもニュースだ。
09年モデルのハイエースは、従来どおりショート/ロングの2ボディが選べ、エンジンは2.5リットル直4ディーゼル「D4-D」(95/117ps)を搭載。英国での価格は1万4100ポンド(約217万円)からとなっている。
(レスポンス 森脇稔)
≪くだめぎ?≫
「
OEM供給に合意」から早くも2ヶ月で生産終了となった。キャブオーバー型FR商用ワンボックスカー「ハイエース/レジアスエース」、1.5BOX型FFミニバン「アルファード/ヴェルファイア」に更に注力することになる。