
「EF58形」長距離列車を牽引した電気機関車の軌跡
ブルトレから荷物列車まで、昭和の電化幹線を席巻
南 正時 : 鉄道写真家 2025/09/19 4:30
[写真・画像]
(上)デッキ付き箱型車体だった初期型のEF58形。
有楽町付近を走る姿(写真:大塚康生)
(下)EF58形の32~34号機は
貨物用のEF18形として落成した(撮影:南正時)
■EF58形の「登場秘話」
花形の旅客用電気機関車として活躍したEF58形だが、スマートな半流線形のボディで知られるようになるまでは紆余曲折があった。
EF58形は戦後初の本格的旅客用電気機関車として、終戦直後の1946年から製造された。貨物用機関車のEF15形と同時期に設計・製造され、初期型の1号機~31号機は、その後のEF58形のイメージとは全く異なるデッキ付きの箱型車体で、終戦直後という登場時期もあって粗悪な部分も多い機関車だった。
現在、EF58形としてイメージされる半流線形車体の改良型は1952年に登場。初期型も車体を載せ替え、最終的に全172両が製造された。だが、ラストナンバーは175号機で、32~34号機は欠番である。ここにはある種の「悲哀」が隠れている。
32~34号機は製造中であったものが完成前に貨物用機に変更され、歯車比の変更と死重を積載するなどして1951年に別の形式、EF18形として落成したのだ。EF18形の3両は浜松機関区に配属され貨物牽引などに従事し、晩年は藤枝駅などで入換用として用いられたが地味な存在に終始し、1979年には全機廃車、解体された。
≪くだめぎ?≫
"貨物用機"EF18形(32~34号機)の「旅客用電気機関車」が
EF58形・初期型(1号機~31号機)であり、後に改良型・
(1952年から1958年にかけて新規製造)と同様の
半流線形車体に載せ替えられた。
終戦直後の1946年から製造された初期型は"暖房用蒸気発生装置"(SG)が省略された為、半流線形車体により初めてSGが搭載できる様になった。いわゆる戦中・戦後設計で始まった機関車だった。
EF18形(34号機)・新EF58形(35号機~)は
定格出力"1900kW"で新製された改良型である。
Posted at 2025/12/11 19:09:40 | |
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