
過剰タクシー対策で新法案
自治体歓迎、業界に不満
営業車両削減、秋にも施行(2009/1/25)
写真・トヨタ自動車より コンフォート
規制緩和で都市部を中心に増え過ぎたタクシーの削減に向けた特別措置法が、今秋にも施行される。客待ちの車両による交通渋滞などに悩む地方自治体は歓迎しているが、事業者の自主的削減に委ねる内容に、業界内部からは実効性を疑間視する声も出ている。
▽窮状
「不況で客は減る一方。車両の過剰が解消されなければこの一年、生きていけるか分からない」
今月二十一日に、国土交通省幹部を招いて都内のホテルで開かれた業界向けの法案説明会。「全国乗用自動車連合会」の富田昌孝会長は、過当競争にあえぐタクシー事業者ら約百二十人に壇上から窮状を訴えた。
こうした悲庸な声を受け、同省が近く国会に提出する「タクシー事業適正化・活性化特別措置法案」は、タクシ―が増え過ぎた営業区域を国が「特定地域」に指定。域内の事業者が協議して作成した減車計画を国が認めれば、自由競争の制限を禁じた独占禁止法の特例として一斉に削減できる仕組みを明記した。
新規参入や既存業者の増車に対する規制も強化されるため、新たなタクシー供給は抑えられるが、既に過大になっている営業車両をどれだけ減らせるかは、業者側の自主性に委ねられることになる。
しかし説明会に出席したタクシー会社幹部は
「商売道具を減らすことには抵抗が強い。減車の話し合いをまとめるのは相当難しい」
とため患交じりに話す。東京都の業界団体が昨年七月以降、新制度を先取りして試験的に削減を呼び掛けたが、加盟社が抱える総車両約三万三千台の1%未満の減少にとどまっている。
▽甘い見通し
タクシー事業は、小泉政権下の二〇〇二年の改正道路運送法施行で新規参入や既存業者の増車が事実上自由化。〃改革ブーム〃の卜ップランナーともいえる規制緩和の大合唱に背中を押される形で、当時の運輸省が国会審議で
「利用者が減る中で、際限なく車が増えることはない」
と説明、法改正を押し切った。
だが、この時点で既に縮小したパイの奪い合いは激化しており、営業車両を増やすことでシェアの拡大を図る動きを規制緩和が助長。結果として、運転手の賃金低下や繁華街での違法駐車などの弊書を招いた。
このため業界は「台数を増やせる環境にしたのは政府。業者の自主性に委ねず、責任を持って減らしてほしい」として、国が強制的に削減を命令する制度の創設を求めているが、国交省は、見通しの甘さを認めながらも、減車命令は財産権の侵害に当たる虞がると否定的だ。
▽期待
営業車両の供給通剰がもたらすタクシー業界の不健康な状態は、地域経済や交通行政にも悪影響を及ぼすため、新法案への自治体の期待は強い。
昨年十-十一月に従業員百人以上の老舗タクシー会社二社が相次いで廃業した新潟県は、昨年末に泉田裕彦知事が上京して国交省に対策を求めており、県の担当者は「実効ある制度になるよう見守りたい」と話した。
深刻な供給過剰で全国で唯一、現行制度下で新規参入や増専が全面禁止の「緊急調整地域」に指定されている仙台市の担当者も「台数を減らすという方向性を国が明確にしたことを評価したい」と歓迎している。
永田町では民主党など野党も、支持団体である運転手の労働団体が過剰タクシー対策を求めていることから、おおむね賛成の立場だ。
安部誠治関西大教授(交通政策論)は「地域の有力業者が減車に応じるかどうかが鍵。実効性に疑問があるが、まず新法案が有効に機能するように業界が努力する必要がある」と指摘している。
デーリー東北より
そもそも運転手が給料も待遇も良い職業なのか。私は一〇数年前やっとの思いで大型自動車二種免許を取った。その当時は運転手を雇ってもすぐに病める運転手が多いと聞いていて、なろうとは思わなかった。免許を取っても別な仕事をしようと考えていた。夜勤がある機関士を目指そうとした私であるが。給料が相当、不安定で、きつい仕事と知人から忠告されたのも効いている。
運転手のなり手があるのは、いつまで続くのか。なり手が少なくなるとタクシーも減らさざろう得ないし、給料もあるレベルにしないと集まらないのではと思うが。
Posted at 2009/01/25 18:38:17 | |
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