
写真・豊田社長を乗せた車(26日10:59)TBSニュースより
トヨタ自動車、豊田社長の冒頭説明全文 公聴会
トヨタ自動車は、米国下院公聴会での豊田章男社長の冒頭説明原稿を発表した。以下、全文。原文は英文。
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トヨタ自動車の豊田章男です。まずはじめに、私は誰よりも車を愛し、誰よりもトヨタを愛していることをお伝えしたいと思います。お客様に愛していただける車を提供することを至上の喜びとし、それは全米20万人の社員、ディーラー、サプライヤーも同じだと思います。
しかしながらここ数か月、トヨタのお客様はトヨタ車の安全について不安を感じており、それはひとえに私の責任であります。今日私は、アメリカの皆様、お客様、さらに全世界のお客様に対し、トヨタが車の品質と安全について、いかに真剣に取り組んでいるかをご説明したいと思います。今日、私の考えを表明する機会をくださったタウンズ議長、アイサ筆頭理事、監督・政府改革委員会の皆様に感謝いたします。
今回は、品質管理についてトヨタの基本的な考え方、リコールの原因、今後の品質管理についての扱い、これら3点についてお話ししたいと思います。
最初はトヨタの品質管理について論じたいと思います。私自身、そしてトヨタも完璧ではありません。時には欠陥を見つけることがあります。そういうときには、つねに立ち止まり、問題を理解することに努め、より進化するために変更を加えます。会社の名前と伝統と誇りに賭けて、私たちは問題から逃げようとはしませんし、また問題を隠そうとすることはしません。つねに改良を加えることにより、社会により良い製品をお届けし続けるようにしています。これが創業以来、私たちが心に留めてきた核となる価値観です。
トヨタにおいて、製品の品質を作る鍵は、人材の品質を育成することにあると信じます。社員の一人ひとりが自分のすべきことを考え、改良し続けることにより、よりよい車が作られます。私たちはこの価値観を共有し、実行できる人材の育成に積極的に取り組んできました。この偉大な国で車を販売し始めてから50年以上が経ち、ここで生産を始めてから25年以上が経ちました。そしてその結果、この国の20万人のトヨタ、ディーラー、サプライヤーの皆さんと、この価値観を共有できました。そのことが、私が最も誇りとすることです。
2番目に、いま我々が直面しているリコール問題の原因について語りたいと思います。トヨタはここ数年の間、急速にビジネスを拡大しました。率直に言って、私自身、速すぎたと思うほどのペースでした。ここでトヨタの優先要件は、第一に安全、次に品質、そして量であることを改めて明確にしたいと思います。これらの要件が混乱し、以前のように立ち止まり考え改善するということが出来なくなっていました。お客様の声を聞くという私たちの基本姿勢がおろそかになっていました。人材を育成し、組織を発展させる速度以上に、成長を求めました。その結果として、安全性が今日のリコール問題となったことは残念であり、トヨタ車ドライバーが経験したすべての事故について深くお詫びいたします。
とくにサンディエゴで事故に遭われたセイラー一家のご冥福をあらためてお祈りいたします。このような悲劇を二度と起こさないために私は全力を尽くします。
私は昨年6月に社長に就任して以来、個人的に量よりも質の改善に最も注力してきました。そしてこの方向性は株主の皆さんのご理解も得てきました。ご存知のように私は創業者の孫であり、すべてのトヨタ車に私の名前がついています。私にとって車が傷つくことは私自身が傷つくことです。私は誰よりもトヨタ車が安全であることを望み、ユーザーがトヨタ車を使う際に安全を感じてほしいと思っています。今後、私自身のリーダーシップにより、トヨタは創業当時と同じく、要件リストの最上位に安全と品質が位置することを再確認します。そしてその価値観が実現できる仕組みづくりに努力します。
3番目に、品質管理について、今後、私たちはどうするのかお話ししたいと思います。これまでリコールに関する決定はすべて日本の品質保証部が決定しておりました。この部署が技術的問題の有無を確認し、リコールの必要性を判断していました。しかし現在の諸問題に基づいて反省すると、私たちに欠けていたのは顧客視線でした。
この点を改善するために、リコールの決定プロセスについて、次のような変更を加えます。リコールを決定する際に、“顧客の安全第一”の視点から経営陣が責任を伴った決定をするための過程を一段階増やします。そのために、世界中のお客様の声がタイムリーに届くようなシステムを用意し、各地域で必要な手段を講じることができるシステムを用意します。さらに、誤った決定を下さないために、北米はじめ全世界からの社外の専門家によって構成される品質監査グループを設立します。北米では自動車品質センターを新設、製品安全担当役員を配置し、欠陥やリコールなど製品品質に関する情報や責任を共有するようにして、品質には多くを投資します。
より大切なこととして、経営陣が実際に車を運転して、問題がどこに存在するのか、どの程度危ないことなのかを自らチェックするようにします。私自身、訓練を受けたテストドライバーです。プロとして私は車の問題点をチェックできますし、安全問題がどのように深刻かを理解できます。アクセルペダルのリコール対象となった車や『プリウス』については、対策前後の車を様々な環境で運転しました。現場で問題を検討することによってのみ顧客視線での決定を下せると私は信じます。会議室で提出される報告書やデータに頼ってはいけません。
これまで延べてきた方策と、NHTSAと協力して得られるすべての調査結果によって、トヨタ車の品質をさらに進化させ、お客様第一という目標を全うしたいと私は考えます。
私の名前は全ての車についています。トヨタはお客様の信頼を取り戻すための努力をし続けることを私はお約束します。
(レスポンス 高木啓)
[2010年2月24日 21時16分 レスポンス ]
ホンダも90年代後半の事業拡大時にクレーム増加=伊東社長
2月25日(木) 13時34分配信 ロイター
[東京 25日 ロイター] ホンダ<7267.T>の伊東孝紳社長は25日、トヨタ自動車<7203.T>のリコール(回収・無償修理)問題にからみ、豊田章男トヨタ社長が出席した米下院公聴会についてはコメントする立場にないとした上で、「ホンダは品質の問題はあってはならないとの心構えで仕事を進めている」と強調した。
都内で開かれたハイブリッドスポーツ車「CR─Z」の発表会で話した。
同社は10日エアバッグの不具合を理由に国内外43万台以上のリコールを発表しているが、伊東社長は「米高速道路交通安全局(NHTSA)など関係者と調整し誠実な対応をしたつもりだ」と述べた。
一方、「1990年代後半に世界市場で伸びたとき相対的に顧客からの不満が増え、ケタ違いの品質改善目指して取り組んできた。達成したとはいえないが効果はあった」とした。
米国でトヨタ車の意図せざる加速の原因が、電子制御装置との見方があることについては、「電子制御装置は(自動車メーカー)各社がそれぞれ過去のデータをベースに開発するため、信頼性はどんどんと上がっている。機械制御から電子制御に代わったことで急加速が起こるとは考えにくい」と分析。トヨタ問題が契機となって、電子制御から機械制御に「後戻りすることはないだろう」と指摘した。
最終更新:2月25日(木) 13時34分
トヨタ問題めぐる米公聴会、豊田社長は電子制御の問題否定
2月25日(木) 15時13分配信 ロイター
[ワシントン 24日 ロイター] トヨタ自動車<7203.T>の豊田章男社長は24日、米下院監督・政府改革委員会の公聴会に出席し、トヨタ車の安全性をめぐる問題について個人的な責任を感じると表明するとともに、顧客の苦情を一段と真剣に受け止めていく考えを示した。
豊田社長は「トヨタ車を運転していた人が事故に会ったことはまことに残念(deeply sorry)」だとあらためて謝罪した。
ラフード運輸長官は、リコールされたトヨタ車を「安全ではない」と断定。
それに対し、豊田社長は「すべてのトヨタ車には私の名前が入っている」として、誰よりもトヨタ車が安全であることを望んでいると述べた。
一方で、意図せぬ急加速が起きた一因が、リコールの理由としているアクセルペダルが戻りにくいという問題やフロアマットによるものではなく電子制御の問題にあるとの見方は強く否定。「電子スロットルには設計上の問題はないと確信している」と述べた。
ただ、電子制御スロットルシステムについては、外部コンサルタント会社のエクスポネント(Exponent)
に調査を依頼したことを明らかにするとともに、同システムが原因の可能性があると指摘している南イリノイ大学のギルバート教授など専門家の意見も取り入れ、「業界全体で検討していきたい」と発言した。
ポール・カンジョルスキ委員(民主党、ペンシルベニア州)は、米国でトヨタに対する訴訟が急増していることを受け、トヨタは事故による死傷者に補償する必要がある、と指摘した。
タウンズ下院監視委員長は、トヨタが2007年に実施したフロアマットのリコールに関し、リコール範囲を制限することで1億ドルを節約したとする社内文書が明らかにされたことに言及し「トヨタは急加速についての報告を無視、あるいは最小限に受け止めた」と批判した。
これについて北米トヨタ自動車の稲葉社長は、「就任して間もない自分へのプレゼンテーションのために社内のスタッフが作ったもの」と説明。
豊田社長は「文書の存在を認識していない」としたうえで、「トップの異動があればプレゼンテーション文書を作るのはどこの会社でもやっている。そういう文書があるのは、一般的には問題ないと思う」と答えた。
これに対し、ミカ議員(共和党、フロリダ州)は、稲葉社長に対して「あなたには困惑させられている。全米10カ所のトヨタ工場で働いている多くの労働者も困惑している」と述べた。
一方、ラフード運輸長官は、トヨタ車の保有者に対し、車をディーラーに持ち込むようあらためて求めると同時に、米道路交通安全局(NHTSA)が電子制御システムに問題がある可能性について徹底的な調査を行う考えを示した。
NHTSAに対しては、チュー委員(民主党、カリフォルニア州)から、自動車業界の「監視役(watchdog)」でなく「愛玩犬(lapdog)」になったのではないかと皮肉る質問も出された。
トヨタ自動車の米国部門、米国トヨタ自動車販売(TMS)は24日、リコール対象車のオーナーに対し、迅速な修理や代替的移動手段を提供するといった支援策を講じることで、ニューヨーク州当局と合意。他の州とも同様の合意が結ばれる可能性があり、リコールに伴うコストは増加する見通しだ。
豊田社長は24日の証言後、CNNの番組「ラリー・キング・ライブ」に出演。安全性の問題について個人的に責任を負う、と述べ、事故の被害者に対し最大限のことをしたい、との考えを示した。
社長は、同社の安全性危機に対処するために、もっと迅速に関与しなかったことを、残念に思うと発言。
トヨタは安全性の問題から復活できる、と表明したほか、今回の件が「ジャパン・バッシング」だとは思わない、との認識を示した。
また、今後は顧客とより直接的に対話すべきだと思う、と述べた。
最終更新:2月25日(木) 15時13分
トヨタ社長、米運輸長官と会談
涙ながらに従業員を激励しました。アメリカ議会の公聴会から一夜明けた25日、トヨタ自動車の豊田章男社長はアメリカのラフード運輸長官と会談を行ったほか、ケンタッキー州にある工場を訪れました。
豊田社長は25日朝、アメリカ運輸省を訪れラフード長官とおよそ30分間会談を行いました。会談では、一連のリコール問題について意見交換を行ったほか、安全性を最優先に両者が協力して調査を行っていくことなどを確認。運輸省側も建設的な話し合いだったとしています。
「より良い車を造りましょう」(トヨタ自動車 豊田章男 社長)
また、午後には主力車種「カムリ」などを生産するケンタッキー工場を激励に訪れました。
「皆さんが(公聴会に)駆けつけてくれたことが、私に強さを与え、私を鼓舞してくれました。感謝の気持ちをなんと表現したら良いか分からない。ただただ心の底からありがとうと言いたいです」(トヨタ自動車 豊田章男 社長)
従業員への挨拶で声を詰まらせる場面もあった豊田社長。「力を合わせてよりよい車をつくり、消費者の信頼回復に努めよう」と語りかけましたが、工場は26日、リコールによる減産の影響で操業を停止することにしており、生産現場には厳しい現実も存在しています。
一方、一連の公聴会の中では3回目となる3月2日の上院の公聴会には、豊田社長は招致されないことになりました。トヨタからは品質保証担当の佐々木副社長と北米トヨタの稲葉社長が招かれ、証言を行う予定です。
2日続けてアメリカの従業員に囲まれ、トヨタがアメリカ社会の一員であるという印象を訴えるパフォーマンスを行った豊田社長。上院の公聴会に再度招かれるという最悪のシナリオを何とか回避した格好です。
(26日10:59)
TBSニュースより
"増産体制一本槍で行ったツケ"最大のヤマ場であることはまちがいない。社長自身が"工場拡大が裏目に出た"ことを認めた。図らずも"米国流経営追いかけた"ことがアメリカで失敗したのが、何とも皮肉だ。
「事業拡大のツケ」が、
「第一に安全、次に品質」というトヨタ生産方式を揺るがしてしまった。
「・・以前のように立ち止まり考え改善するということが出来なくなっていました。お客様の声を聞くという私たちの基本姿勢がおろそかになっていました。人材を育成し、組織を発展させる速度以上に、・・・」
"カイゼン"が進むことを切に願う。