
コースターR
Corster R
・1代目
発売日 1996年5月29日
・車名の由来
「コースター」は「沿岸貿易船」「巡航船」という意味。「R」はリヤエンジン方式を採用したことから命名。
・生産工場 日野自動車工業(株)
・販売会社 トヨタ店
・解説
「コースターR」は1996年5月に「コースター」の新しいバリエーション。「日野リエッセ」の姉妹車にあたり、日野自動車工業(株)からOEM供給を受けた。
「コースター」がフロントエンジンであるのに対して、これはリヤエンジン・レイアウトを採用しており、フラットなフロアを実現したほか、高い静粛性を得て、観光バス用途へも適していた。小型バスとして唯一のエアオーバー式(空気油圧複合式)ブレーキを設定したほか、前輪のエアサスペンションのエアを抜くことで車高を下げて乗降を楽にするクラウチングシステムを備えていた。
・スペック
グレード・車両型式 重量(kg) 寸法・全長×全幅×全高 ホイールベス(mm) エンジン形式・種類・排気量(立方センチメートル)・最高出力kW/(PS)/r.p.m
・エクセレントサルーン・KC-RX4JFAT-KGB 4860 6990×2080×2820 3550 J05C-TI・水冷直列4気筒・5307・-/175/2700
・スーパーツーリング・KC-RX4JFAT-KGC 4690 6990×2080×2820 3550 J05C-TI・水冷直列4気筒・5307・-/175/2700
・スーパーデラックス・KC-RX4JFAT-KGE 4610 6990×2080×2820 3550 J05C-TI・水冷直列4気筒・5307・-/175/2700
※ 代表するグレードのスペックを表示しております。
※ エンジン最高出力はネット値です。
※ このクルマの型式は、RX4JFAT(5400)です。
トヨタ自動車75年史 2012 車両系統図 より
日野・リエッセ
リエッセ (Liesse) とは、かつてジェイ・バスが製造し、日野自動車へ供給されていたマイクロバス、および中型・大型路線バス。リエッセとは、英語のリムジン (LIMOUSINE) とフランス語のコンテッセ(COMTESSE=伯爵夫人)を合わせた造語[1]。
いすゞ自動車にジャーニーJ (Journey J) としてOEM供給されていたが、2004年8月のモデルチェンジ以降は日野・いすゞの統合モデルとなり、ジェイ・バスから両社へ供給される形に変更された。
なお、本稿では、いすゞ・ジャーニーJ及びOEM車として販売されていたトヨタ・コースターRについても述べる。
1.シリーズの概要
1995年8月デビュー。マイクロバスでは唯一のRR方式車(車検証の「車体の形状」欄も「リヤーエンジン」)で、 定員確保やワンマン機器取り付けなどで有利なため、コミュニティバスによく使われるようになった。
なお、かつてはトヨタ自動車にコースターR (Coaster R) としてOEM供給されていたが、2004年8月に中止された。
この、リエッセ、いすゞ向けの統合車種であるジャーニーJ、トヨタ向けのOEM車種であるコースターR(現在は発売中止)は、マイクロバスには珍しく空気油圧複合式ブレーキ(いわゆるA.O.Hブレーキ)を採用している(その他のマイクロバスは油圧ブレーキ)。
排ガス記号「PB-」まで、AT仕様もラインナップされていたが、3速ATの設定しかなく、5速MTを選ぶ場合もあった(また同様の理由で他車種を選ぶ場合もある)。ストップ&ゴーの多い一般道ではさほど問題にならない(変速ショックは大きい)が、高速道路を走行する場合ギア比の問題で騒音が気になる(AT車の3速、MT車の5速はKK-RX4JFEAの場合いずれも減速比1:1の直結ギアだが、ファイナルギアの減速比がKK-車の場合MT車の3.900に比べて4.100と大きめに設定されている。路線バス向けは更に大きい4.333)。
2006年にリエッセをベースに路線バス向けの2代目ポンチョが登場したが、ステップリフト付きのリエッセは車両本体価格が500万円安い(ポンチョ:1,541万円、リエッセ:1,047万円)ため、ポンチョ登場後も引き続きラインアップされていた。
なおコミュニティバスで見られるCNG車はメーカー純正およびオプションではなく、フラットフィールドおよび協同が改造を担当している。 2011年に生産中止 また、中国バスのフライングフィッシュ号、オーシャンライナーなど高速バスでも採用例がある。
2009年4月、東京都市大学がリエッセをベースにした水素燃料エンジン搭載バスの開発に成功した。日本自動車研究所の技術審査を通過して、国土交通省からナンバープレートを取得し、水素燃料エンジン搭載バスとしては日本初となる公道での走行が可能となった。[2][3]
2.レインボーRB・AB系
1985年2月に登場した2m幅の小型車で、AC系よりも小さいモデルである。RB系はクラス初のリヤエンジン車、AB系は他社のマイクロバス同様のフロントエンジン車である。外観はどちらもハイルーフ・ロングボディ仕様に相当するもので、共通のものとなっていた。RBはリヤエンジンであることが買われ、のちに中扉専用から前扉化された。自家用やレンタカー用が多いが、RB系は路線用としても多くが販売された。3速オートマチックや速度感応式パワーステアリングの装備が追加されたのも特徴的であった。AB系はリフト付きや幼児専用車なども製造された。1995年のモデルチェンジまで製造された。
・1985年に登場したRB系は、リヤエンジンを採用したのが特徴である。エンジンはP-RB115AA型がW04D型(直4無過給、115ps)、P-RB145AA型がW04CT型(直4ターボ付、145ps)となった。クラス唯一のリヤエンジンという独特のジャンルを確立した。
・同時に発売された、AB系はエンジンがフロントにあるほかは、RBと変わらないデザインである。P-AB1ぬ15AA型の1機種で、エンジンはW04D型が搭載される。
・1992年にRB系はホイールベースを縮小して、前扉仕様を追加した。前扉仕様は路線バス用としてもふさわしく、前後2ドア仕様も登場し、コミュニティバスやローカル路線などの小規模需要にも応えることとなった。特装用胴殻車も設定される。エンジンは前扉仕様(型式U-RB1WEAA)が、W04C-TI型(直4ターボインタークーラー付き、165ps)もしくはW04C-T型(直4ターボ付き、140ps)でグレードによって搭載される。また、中扉仕様も継続され、エンジンはW04D型(直4無過給、120ps)が搭載される。
・1995年の平成6年排出ガス規制に伴うフルモデルチェンジにより、RB系はRX系とシリーズ名を改め、名称もリエッセに改められた。また、AB系は製造中止となってラインナップから消えるが、1996年にトヨタ自動車からのOEM供給によるリエッセIIを発売し、このクラスをカバーするようになった。
3.リエッセRX
3.1 KC-RX4JFAA
1995年、平成6年排出ガス規制適合に伴い登場。エンジンはJ05Cとターボ付きのJ05C-TIを搭載(排気量5.3L、最高出力129kW/175PS)。ステアリングホイールと運転席のメーターパネルはライジングレンジャーと共通のものが採用された。
1997年12月8日、路線仕様にステップリフトバスを追加。
3.2KK-RX4JFEA
1999年6月21日、平成10年排出ガス規制に適合。全車にABS、観光仕様のマニュアル車にESスタートが標準装備され、オートマチック車はシフトレバーの形状が変更され乗用車と同じPレンジが装備された。
2001年7月24日、平成12年騒音規制に適合。エンジンはターボ付きのJ05C-TIに統一し、路線仕様は前扉仕様が廃止され、ステップリフト付きの前中扉仕様のみとなった。また、観光仕様は固定窓装備の最上級グレード、エクセレントサルーンが廃止された。
3.3PB-RX6JFAA
2004年8月24日、エンジンをJ05D-TC型(排気量4.7L)に変更して平成15年排出ガス規制に適合、国土交通省「超低PM排出ディーゼル車」85%低減レベルの認定を受けた。また、幼児専用車が廃止され、灯火器保安基準適合のためフォグランプがヘッドライト内蔵からバンパーへと移設された。エンジンの出力アップに伴いMT車のファイナルギアレシオ(最終減速比)が3.900から4.100に変更されている。
3.4 BDG-RX6JFBA
2007年6月5日、マイナーチェンジを行い平成17年排出ガス規制に適合、国土交通省「低排出ガス重量車」(平成17年基準NOx/PM10%低減)に認定された。型式はBDG-RX6JFBAとなった。J05D-TE型エンジン (132kW<180PS>) を搭載する。トランスミッションはパワーシフト式5速マニュアルのみで、オートマチックの設定は搭載されていたエクセディ社製のミッションが製造中止となったためレインボーHR共々抹消された。また、車名ロゴが変更され車名よりもHINOの文字の方が大きくなった。観光系の下級グレードにはスイングドアが、デラックスでは床下トランクルームがそれぞれオプション設定された。
2011年8月にポスト新長期規制(平成22年排出ガス規制)をクリアすることなく生産中止となった。今後路線系については同年8月にポスト新長期規制に適合したポンチョ(HX系)がカバーする[4]。また、貸切および自家用向けは事実上、リエッセIIがカバーすることになる。
4.リエッセII
リエッセを日野の親会社であるトヨタへコースターRとしてOEM供給しているのに対し、その見返りとしてトヨタからコースターをOEM供給して日野ブランドで販売している小型バスである。
詳しい車種説明は、トヨタ・コースター#3代目・B40、50系(1992年-)を参照。
レインボーAB系の後継車で1996年6月発売。ラインナップはコースターと共通。
コースターとの違いは車名表記の位置(コースターは後ろなのに対し、リエッセIIは前)と助手席セーフティウインドウ、リアガラスのHINOの表記のみである。
2011年8月22日に平成22年排出ガス規制に伴うマイナーチェンジが行われ、日野が販売しているバスで、いすゞ開発担当車並びにトヨタからのOEM車では初めて「AIR LOOP」の名称を採用した[5][6]。
2015年1月13日の改良では、燃費を向上させ110kW(150PS)エンジン搭載車は平成27年燃費基準を達成、また客席シートにELR付3点式シートベルトを、補助席にはELR付2点式シートベルトを標準装備とするとともに、リクライニングの標準化、シート形状の改良を行った。
5.トヨタ・コースターR
コースターをリエッセIIとして日野にOEM供給したのと引き換えに、リエッセをトヨタに「コースターR」という名前でOEM供給。1996年6月発売開始。型式はKC-RX4JFAT。ラインナップは路線仕様がない以外、リエッセと同一。1999年に平成10年排出ガス規制をクリア、型式はKK-RX4JFETとなる。なお、リエッセはいすゞへ「ジャーニーJ」の名前で供給するためか、平成15年排出ガス規制をクリアすることなく、2004年8月に販売を中止した。
6.いすゞ・ジャーニーJ
2003年11月からOEM供給を開始。形式はKK-RX4JFEJ。ラインナップはリエッセと同一。2004年8月のマイナーチェンジで平成15年排出ガス規制に適合、国土交通省「超低PM排出ディーゼル車」85%低減レベルの認定を受けた。形式はPB-RX6JFAJとなる。これよりOEMから統合車種の扱いとなる。さらに2007年6月にもマイナーチェンジが行われ、平成17年排出ガス規制に適合、国土交通省「低排出ガス重量車」(平成17年基準NOx/PM10%低減)に認定。形式はBDG-RX6JFBJとなる。 2011年8月、リエッセと同様にポスト新長期規制(平成22年排出ガス規制)をクリアすることなく生産中止となった。貸切や自家用向けは事実上、ジャーニー(日産・シビリアンのOEM車)がカバーすることになるが、小型路線系並びに小型ディーゼルバス[7]はいすゞのラインナップから姿を消した。
10.脚注
1 ^ 日野はかつて、伯爵夫人のイタリア語である「Contessa(コンテッサ)」を自社の乗用車名に用いていた
2 ^ 東京都市大学水素燃料エンジンバスの公道走行を実現
3 ^ 東京都市大学水素燃料エンジンバスの開発に成功(動画)
4 ^ バスラマ・インターナショナルNo.127 2011年8月25日 ISBN 978-4-89980-127-6
5 ^ 日野自動車、小型バス「日野リエッセII」を改良し平成22年(ポスト新長期)排出ガス規制に適合させ新発売日野自動車プレスリリース 2011年8月22日
6 ^ 搭載エンジンが日野製のため。
7 ^ 現行のいすゞ・ジャーニーはガソリンエンジンのみの設定である。
最終更新 2015年11月9日 (月) 14:18 (日時は個人設定で未設定ならばUTC)。
フリー百科事典『ウィキペディア』
≪くだめぎ?≫
・1985年2月 『レインボー』登場。RB系(リヤエンジン)・AB系(フロントエンジン)、外観はどちらもハイルーフ・ロングボディ仕様に相当するもので、共通のものとなっていた。
・1989年1月 名古屋トヨタディーゼル(株)が「トヨタカローラ名都(めいと)」に社名変更、『トヨタディーゼル店』が消滅。
・1993年7月 いすゞ『ジェミニ』自社生産終了、"商用車""SUV"に経営資源集中。
・1993年7月 いすゞ『エルフ』モデルチェンジ
・1993年8月 いすゞ『ジャーニー』モデルチェンジ、日産『シビリアン』のOEM開始。
・1995年5月 いすゞ『エルフ』マイナーチェンジ、同時に日産『アトラス』・日産ディーゼル『コンドル』20・30・35にOEM供給開始。
・1995年 『リエッセ』RX系登場、「レインボー」RB系のフルモデルチェンジ版である。AB系は製造中止。
・1996年5月 『コースターR』登場、『リエッセ』OEM供給を受ける。
・1996年6月 『リエッセII』発売、「レインボー」AB系の後継車。『コースター』をOEM供給する。
・2002年10月 日野自動車・いすゞ自動車のバス部門の経営統合に伴う合併準備会社として「ジェイ・バス」設立。
・2003年10月 「ジェイ・バス」が日野車体工業(バス製造部門)・いすゞバス製造を子会社とする。
・2003年11月 いすゞ『ジャーニーJ』登場、『リエッセ』OEM供給を受ける。
・2004年8月 『コースターR』生産終了、OEM車の販売店がトヨタ店からいすゞ店に変更される形になる。
・2004年8月 『リエッセ』マイナーチェンジ。いすゞ『ジャーニーJ』が 統合車種の扱いになる、「ジェイ・バス」から両社へ供給される形に。
・2004年10月 「ジェイ・バス」が日野車体工業・いすゞバス製造を吸収合併。
・2005年1月 日産自動車と三菱自動車工業が事業提携。
・2006年3月 路線系『ポンチョ』フルモデルチェンジ。
・2010年7月 いすゞ『ジャーニー』マイナーチェンジ、ガソリン車のみになる。
・2010年10月 UDトラックスと三菱ふそうトラック・バスとのバス事業に関する協議・交渉が打ち切りとなる。
・2011年8月 『リエッセ』『ジャーニーJ』生産終了。
・2011年8月 『ポンチョ』マイナーチェンジ、路線系として継続・集約される。
・2012年6月 日産自動車と三菱ふそうトラック・バスとの日本市場向け小型トラックの相互OEM供給で基本合意。
・2012年10月 日産『アトラス』OEM生産を終了。
・2014年9月 UDトラックス『コンドル』20・30・35 OEM生産を終了。
『リエッセII』は本来、『レインボーII』とするべき。『レインボー』、『ジャーニー』、『コースター』はいわゆる"マイクロバス"のイメージが定着。それに対して、『リエッセ』『ジャーニーJ』は一つ上のクラスである。排気量もであるが、登場時期的に"バブリィ"なイメージ。観光バスはどうしても中型バス以上の採用になるね。
トヨタといすゞの関係は・・。『リエッセII』・『コースター』が 「ジェイ・バス」の統・・、考えるね・・。