
トヨタ、全店舗で全車販売へ 20年代半ば、車種大幅減
[写真・画像] トヨタの販売系列と取り扱い車種
トヨタ自動車が国内に約5千あるトヨタブランドの全店舗で、全車種を取り扱う方向で検討していることが27日、分かった。2020年代半ばをめどに実施する。これまでは「トヨタ店」「カローラ店」など四つの販売系列で異なる車種を売ってきた。車種は現在の約60から大幅に減らす見通し。
日産自動車やホンダもかつては販売系列ごとに取り扱う車種が異なっていたが、効率化のため一本化している。国内市場の縮小やカーシェアリングの普及といった環境の変化を踏まえ、トヨタも半世紀以上続けてきた販売体制を見直す。
トヨタ車の販売会社は全国に約280社あり、9割以上は地場資本の企業。
(2018年09月27日 10時33分 更新)山陽新聞
トヨタ、販売の4系列を事実上1本化 どこでも全車種を取り扱い
2018/10/ 6 17:25
トヨタ自動車は2025年度をめどに、現在4系統あるトヨタブランドの販売店計約5000店で全車種を取り扱う方針を固めた。
それぞれの系列で専売車を設け、顧客層の取り込みをすみ分けてきたが、人口減少やカーシェアリングの普及で市場が縮小する中、大胆に販売戦略を見直す必要があると判断した。国内向けの約60車種を約半分に絞り、効率化を図る方針だ。
●日産やホンダは一足先に一本化
現在、トヨタ車を扱う販売会社は、高級車中心のトヨタ店、中級車中心のトヨペット店、大衆車中心のカローラ店、若年層中心のネッツ店の4系列がある。
トヨタ店は最も古い歴史を持ち、クラウンやランドクルーザーを扱う。
トヨペット店は1953年に設立された2番目に古いチャネルで、かつてはコロナやマークⅡなどを販売し、日本の中級車市場をリードしてきた。現在はマークXやハリアーが代表車種だ。
カローラ店は1961年にパブリカを扱うパブリカ店として営業をスタート。その後1969年にカローラ店に名称を変更した。カローラシリーズやパッソを扱う。
ネッツ店は2004年にビスタ店が統合して誕生。ヴィッツなどのコンパクト車や、ヴォクシー、ヴェルファイアなどのミニバンをラインナップする。
ハイブリッド車(HV)のアクアやプリウス、スポーツタイプ多目的車(SUV)のC-HRなどはどの系列でも扱っているし、カムリやエスティマなど、複数系列にまたがる車種もあるため、系列ごとの垣根は今でもそれほど高くないが、それが完全に取り除かれることになる。高級車ブランドのレクサスは4系列とは別に販売しており、そのまま残す。
日産自動車やホンダは21世紀に入り系列販売を取りやめて、一足先に一本化している。いくつも系列があれば、それぞれの要望に応じて車種が増える。そんな不効率に耐えられなくなったということだ。トヨタも何もしなかったわけではなく、系列の垣根を取り除く試みに着手していた。2018年4月、100%子会社であるトヨタ東京販売ホールディングスと、その完全子会社である東京トヨタ自動車▽東京トヨペット▽トヨタ東京カローラ▽ネッツトヨタ東京の4社を2019年4月に統合し、新会社を設立すると発表している。
とはいっても、東京はトヨタ直営だからできたこと。トヨタの販売網は約280社5000店に及び、その大半は地場の独立資本だ。販売会社を一気に統合するのは難しく、「トヨタ」「トヨペット」などの屋号は残すが、将来は屋号の統一が検討課題になる可能性もある。
販売改革を進めるのは、新車販売台数を積み上げていくという従来型のビジネスモデルはいずれ行き詰まるとみているためだ。国内の新車販売台数は1990年に778万台だったが、2017年には523万台に減った。人口減少やカーシェアの普及で、右肩上がりの販売を期待するのは難しい。一方、自動運転やエコカーなどに使う研究開発費は右肩上がりに膨れ上がることが想定される。そこで販売体制を効率化し、カーシェアのような新たなサービスにも参入することで、ビジネスモデルの転換を図ろうというわけだ。
全国5000店舗のインフラを活用し、新たなビジネスをどう展開するのかが問われることになる。
Rakuten Infoseek News
J-CASTニュース
トヨタが国内全店で全車種販売に舵切るワケ
車種数を半減、後発でもカーシェアに参入へ
冨岡 耕 : 東洋経済 記者 2018/09/28 6:00
トヨタ自動車は2020年代前半から2025年にかけて、4つあるトヨタブランドの国内販売チャネル(系列)を実質的に一本化する方針を固めた。それぞれの看板は残す方針だが、「クラウン」や「カローラ」などチャネルごとの専売車種を廃止し、約5000店ある国内の販売店全店で全車種を併売する体制に見直す。
さらに国内向け車種は現在の約60車種から半分の30車種に絞り効率化する。全国の販売店首脳が一堂に会する11月の代表者会議でこうした方針を伝える。
国内販売体制の大改革にトヨタが踏み出す背景には何があるのか。車に対する消費者意識が「保有」から「共有」に移る中、トヨタ全体としてモビリティサービスを提供する会社に変わらなければならないとの危機感が大きい。チャネル統合と開発車種の半減に合わせ、全店でシェアリングサービスを新たに開始する。
●販売店同士の競争激化は必至
トヨタ幹部は「全国5000店であらゆる車を借りられるのは強みになる。『このお店では扱っていない』というのでは不便なサービスだ。将来のモビリティサービスをみたとき、どこのお店でもすべての車が提供できることが必要だ」と話す。全車種販売で販売店同士の競争が激しくなるのは必至だが、新車販売や整備に加え、シェアリングサービスなどで収益の多様化を促す狙いだ。
トヨタは消費者のライフスタイルなどに合わせて商品をチャネルごとにそろえてきた。高級車中心でもっとも歴史のあるトヨタ店では「クラウン」(東京はトヨペット店でも扱う)、中級車中心で2番目に古いトヨペット店ではSUV「ハリアー」、量販車種を扱うカローラ店では「カローラ」、コンパクト車中心のネッツ店では「ヴィッツ」など、チャネルごとの専売車種はその象徴だ。
ただ、こうしたチャネルは市場が拡大したときに作った販売政策であり、時代に合わなくなっていることも背景にある。新車販売の国内市場はピークだった1990年から現在では3分の2の500万台規模に縮小。日産自動車が2005年に2系列だったチャネルを一本化、ホンダも2006年に3系列のチャネルを統合し、全車種販売に踏み切った。
そんな中、トヨタは2004年に旧ネッツ店とビスタ店をネッツ店に統合したが、国内自動車業界では唯一、複数チャネルを持つ状態が続いていた。もっともトヨタも最近の新型車は複数のチャネルで併売しており、チャネルの一本化に向けた動きが出ていたともいえる。
さらにトヨタは今年1月からは国内営業体制の軸をチャネルから地域に変更。全国を7つのブロックに分けて、チャネルの枠を超えた地域中心のエリア展開で販売戦略を立てる体制に変更しており、「脱全国」へ舵を切り始めている。
その一環で、2019年4月には東京の直営販売会社4社が統合する予定だ。トヨタ店、トヨペット店、カローラ店、ネッツ店の4つの直営販社を一本化し、新会社を設立する。当面はチャネルを維持する方針だが、4チャネルの車種を一緒に売る店を設ける方針だ。
一方、東京の取り組みが全国に波及するにはハードルがある。全国のトヨタ販売店のうち、9割は地場資本で東京とは状況が違う。販売店同士はこれまでお互いに切磋琢磨してきただけに、ライバル意識も高い。またクラウンからヴィッツまで幅広い品ぞろえをしても、それぞれの店で簡単に全車種販売ができるかは不透明だ。
そもそも価格帯に応じて客層が違うほか、各店で店舗投資やシェアリングサービスの体制強化、整備などの対応が増えることが予想されるからだ。全車種販売で競争が激しくなれば、再編や淘汰が始まる可能性もあるため、警戒する販売店もあるだろう。
●販売店の意識改革が欠かせない
これに対して、トヨタ幹部は「ものすごい競争になるのは間違いない。今までは護送船団方式だったが、最後の船に合わせるのではなく、真っ先にチャレンジしていくお店を応援したい。これからも各店舗の地域を愛する力をいい意味で競争につなげられればいい」と話す。
トヨタは国内生産300万台維持を掲げており、その前提として国内販売150万台を必要としている。少子高齢化でも新車販売を維持するためには、チャネルごとではなく、一段と地域に寄り添い、その地域のニーズに合った車種やサービスを提案することが必要であり、販売店の意識改革をスピードアップしないと生き残れないとの認識だ。
意識改革のひとつとして掲げたのが新車販売だけでなく、新たなサービスとしてのシェアリングサービスだ。利益率の高い新車が売れなくなる可能性もある両刃の剣だが、時代の流れには逆らえない。国内のカーシェア利用者は今年3月に130万人を突破し、1年で20%を上回る高い伸びを示す。
ただこの領域ではすでに専業が多く展開しており、後発のトヨタが今後参入して成功する保証はない。地場資本を武器にした強固な販売網で圧倒的な国内シェアを誇ってきたトヨタだが、新たな時代に向けた販売店改革は簡単ではなさそうだ。
東洋経済オンライン「自動車最前線」
≪くだめぎ?≫
日産・ホンダは「インフィニティ (INFINITI) 」・「アキュラ(Acura)」の高級車ブランドを日本導入していない、完全な"一"ブランドだ。トヨタは、「トヨタ」のお店・「レクサス(LEXUS) 」の2系列販売に5年掛けて再編するもの。このニュースを聞いて、トヨタ店「クラウンマジェスタ」、トヨタオート店・ビスタ店「アリスト」の時代に戻る、と思ってしまったが・・。