今日は、ここんとこご無沙汰だったエンジンネタでも。
(と、言いながらも、ロケットエンジンネタなんだがw)
その昔はアメリカとの競争もあって、宇宙関連事項は機密でも最高ランクな情報で、
秘密のベールに包まれていた。
その中にはアポロ計画に対抗して月ロケット計画も含まれていたのは、
しばらく前にココでも書いた通りだ。
随分と前のことになるが、ソ連崩壊後、その情報が西側諸国に流れると共に、
ロシア脅威のスーパーテクニックが明らかになった。
で、今日はそのロケットエンジンの話。
ソ連の月ロケットはN1ロケットと呼ばれ、アポロと並ぶ巨大なロケットだった。(らしい)
ロシアらしく、ソユーズと同じく、横に組み立てて、打ち上げ現場で起こすって方式も健在w
だが、アメリカのアポロとの違いはエンジンの考え方というか、開発する限界でもあった。
なにせ、アポロの1段目は5個のエンジンで打ち上げたのだが、
このN1ロケットの1段目、実にエンジン30個で打ち上げた。
バカデカイ推力のエンジンをソ連はこしらえられなかったのだ。
(アポロの1段目のF1エンジンって異常な大きさなのよ?)
で、失敗したのだが、これにはちょっと可哀想な事情もあった。
なにせ、推力が少ないとはいえ、相手が月ロケット。普通のロケットには十分な推力。
エンジン単機から4機程度の同時試験は出来ても、さすがに30機同時のテストは出来なかった。
クルマじゃエンジンが普通は1機だから、あんまり気にしないが、
同じ物を沢山稼動させると大体、共振って問題とかに当たる。
そこいらあたりが解決できず、最近の解析では機体側の燃料供給システムのパイプが共振と振動で折れたとの見方が有力。
このエンジンの運命はソ連 月ロケットと共に忘れ去られるハズだった。。。
が、運命ってのはどうなるかわからんもので、これが数十年経って復活するとは誰も予想しなかったw
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月日は流れ、1960年代から一気に1989年。
ソ連崩壊後、徐々にこの月ロケットの情報が手に入り、アメリカの関心をかった。
しかも、廃棄されたと思われたNK-33エンジンが発見されたのであった。
核物質注意と書かれた表示に守られ、誰も気にしないまま50年近く放置されていて、
70機とも100機以上とも言われている。
時代も変わると、機密も何も無いわけで、アメリカとの商談が始まったのだったww
よくよく調べてみると、エンジンの性能自体は今とそれほど変わらず、
当時の優れた設計がクローズアップされた。
50年の時代を越えても第一線で活躍できる性能のエンジンってのも驚きだ。
アメリカのエアロジェット社が買い付け、NASAとテストをした。
結果は良好。 ちょっとの手直しで使える代物だったらしい。
ちゃっかり名前も変えてAJ-26なんて自分たちがこさえたような名前にした。
↓アメリカのテストベンチ風景
で、アンタレスロケットの1段目として2機搭載。
で、飛ばしてみた。 2013年4月に初飛行。
実に開発から60年で初飛行したエンジンである。
そうなるとアメリカ。 じゃんじゃん飛ばす。
2013年 9月に2号機。
2014年 1月に3号機。
2014年 7月に4号機とISSに補給機も飛ばし、これで実用化だなと思った矢先。
2014年の10月のことだった。
わずか離陸後15秒でエンジンが爆発。
ロケット本体を指令爆破するも地上に近すぎて、地上に被害がでてしまった。。。
まー、古いものをそのままってワケにはいかなかったってことかいな。
でも、日本もこのエンジンを買う計画もあったんで、危うく同じ道をたどることになったのかもだが、
運命っていうのはわからんもんだねぇ。
当のロシアは新型ソユーズ用で、まだ使うって言ってますけどね♪
Posted at 2015/12/06 18:29:09 | |
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