前回はロールス ロイス社のエンジン紹介だったのだが、
当時はこれに並ぶエンジンの名門メーカーがあった。
ブリストル社である。
第二次大戦前に、というか、第一次大戦末期に開発されたジュピターエンジンが有名。
元々はコスモス社が開発していたエンジンだったのだが、戦争も終わり(第一次の話)、世の中平和になると過剰な兵器は用済み。 すなわち軍縮である。
これのあおりを受けてコスモス社は倒産。
ブリストル社が引き継いだ形になった。
しかーし、これがどうして、世の中の航空用星型エンジンとして、この後に開発されるエンジンの基本を確立してしまったほどの名機。
(生意気にも4バルブ エンジンだったりして後のエンジンを凌駕している部分もある)
当時は馬力も順々に上がってきてエンジン冷却が重要課題となった。
そこで、当時は鉄で出来たシリンダーをアルミに置き換えた。
ピストンリングと接する鉄のスリーブ部分を残し、外側をアルミにした形。
鋳込みスリーブの採用だ。 これにより冷却性能も向上。
星型エンジンは中央のクランク室にカムを配置して、爆発するシリンダーに合わせて、順々に駆動するOHV型が合理的。
そうなると、背の高いシリンダーとプッシュロッドの熱による膨張差が問題になる(と考えた)
なので、この熱膨張差を吸収する機構も盛り込んだんだね。
プッシュロッドとは別に1本ロッドが追加されている。
これがロッカーベースと接続され、熱伸びに合わせて上下するってカラクリだ。(アタマいいねぇ♪)
そんなこんなで世界中のエンジニアがジュピターエンジンを絶賛。
多くの国で戦争でもないのに採用。
日本でも中島がライセンス生産した。 これをベースに寿エンジンを開発。
ジュピターをオマージュしたことで、寿と命名されたとか。 ジュピターの「じゅ」なのだw
その後は栄エンジン(ゼロのエンジンね)など発展していく。
日本の航空ピストンエンジンのお手本でもあったらしい。(他にもライトサイクロンとか影響をしたエンジンもあるが)
一方、世界はまた大戦に突入。
ブリストルは当時の流行でもあったスリーブエンジンを手がけ、高性能を発揮した。
これがハーキュリーズ エンジン 1700馬力、セントーラス エンジン 3000馬力であった。
このエンジンの大量の歯車機構は以前にも紹介したので覚えている方もいるだろうw

以外にも信頼性も高く、パイロット、整備班からも評判が良かったそうな。
その後、戦争も終わり、ピストンエンジンも航空機のエンジンの主役から降りた。
会社もシドレー社と合併、ブリストル シドレーとなるが、これもロールスロイスに吸収される。
だが、この頃には世の中にセンセーショナルなエンジンを開発していたのだ。
オリンポス エンジン
コンコルドのエンジンである。 民間旅客機のクセにアフターバーナー付きで音速を突破する。
(有名な話だが。。)
本当は超音速爆撃機用のエンジンだったのだが、計画が頓挫し、コンコルドに採用になった経歴がある。
ちなみにコンコルド就航時は全席ファーストクラスだったらしいから、一度乗りたかったなとか思ってもかなりハードルは高かったww
超音速爆撃機の構想はアメリカにもあって、XB-70バルキリーとか、のちのB-1になって現実となる。
(どちらも実物を見たが、おそろしくデカイ)
で、ブリストル、これだけじゃなくて、ペガサス エンジンも手がけていた。
変な形。 これはあの垂直離着陸するハリアーのエンジンなのだ。
画像を探していて、ハリアーのテスト風景を見つけたので載せておこう。
なにぶん、こんな飛行機作ったこともなかったので、テスト風景も面白い。
後に世界初の実用軍用垂直離着陸機となって、世界中で今も運用されている。(なかなか替わりがでてこないな)
このテスト機、どうやら現在は博物館で拝めるらしいが、これは海外のお話なんで見たいけどムリっぽいなぁ。
とまあ、色々とやらかしたロールスロイスも実力のあるブリストルあたりを吸収して、
ヨーロッパじゃ名門中の名門航空エンジンメーカーとなったんだねぇ。。。
技術力だけじゃ会社は存続できないってことですな。
(技術が無いのはもっと困るがw)