目的 |
チューニング・カスタム |
作業 |
DIY |
難易度 |
  中級 |
作業時間 |
30分以内 |
1
今日はターボ付きエンジンの過給圧制御について書かせて戴きます。
<過給圧制御方式と特徴について>
・時々耳にする事があるのですが、GT-Rでボクのはブーストコントローラが付いて
いないとか、社外品のブーストコントローラを付けると立ち上がりが良くなるとか、
社外品を付けるとブースト圧が上がるとか・・・
間違いでは無い部分もあるのですが、これでは誤解を生みそうで、ちょっと心配
です。
正しくは、↓
・純正でもブーストコントローラは付いていて、制御回路はECUに内蔵されていま
す。ただ、社外品の様に運転手が自由に設定変更出来ないだけですよね。
・社外品のブーストコントローラを付けると、確かに過給の立ち上がりを純正に対し
て向上させる事は出来ます。社外品はそれを狙って設計されている訳ですから。
但し、例えばエンジンの排気エネルギーが少ない2000rpmでターボをフル回転
させてブースト1.5Kを掛けるなんて事は絶対に出来ませんよね。
過給の立ち上がりを早めるには社外コントローラの設定ゲインを上げて行く事に
なりますが、ゲインを上げ過ぎるとオーバーシュートやハンチングが発生します
ので、適正な制御状態で使用する必要が有ります。
・上記内容が理解し易い様に、純正と社外品での構成や特徴を図1にて比較して
みましたので、ご覧下さい。
・皆さんの中には社外品でないと駄目って言う方も多数おられますが、純正も良く
考えてられてると思います。
例えば、純正セラミックタービンのように立ち上がりが速く、オーバーシュートが
出易い仕様であれば純正の制御でも十分な場合も有ると思います。
・また、社外品は制御能力を向上させるために過給圧コントロールソレノイドを大型
化した物が多く、ON-OFFのDuty制御方式の場合はバルブ開閉を素早く繰り返
して制御する為に打音が出易くなります。メーカーによって音量、音質に差はあり
ますが、取り付け位置をストラット付近にするとか、防振ラバーを引くとかの工夫
によってかなり改善されます。経験的にはトーボード周辺ではかなり打音が気に
なる場合が多い様です。尚、H社の様にSTM方式の場合は構造的に打音は
出ません。
(ソレノイドやステッパモータの構造については関連情報をご参照下さい。)
2
<過給圧制御方式と過給圧特性について>
・図2にて過給圧制御方式と過給圧特性の代表的なグラフを示します。
①純正の過給圧制御
ノーマルの状態では非常にバランスの良い特性になっています。
制御配管の構成上からやや立ち上がりがダルイ感じはありますが、配管内に
オリフィスを設置する(図示なし)など、様々な故障に対する安全性への配慮が
感じられます。
但し、マフラーや触媒を低圧損タイプに変更するような排気系チューンを施した
場合には、純正ソレノイドのリリーフ能力が限界に近付き(通路が狭く、一気に大
きな流量を流せない)、オーバーシュートが出たり、過給圧が目標よりも高くなっ
てしまう事があるようです。
②社外品の過給圧制御;ブーストアップ(設定が適正な場合)
純正に比べてスイングバルブ式アクチュエータへ行く圧力を制限する能力が高い
ため、スイングバルブが徐々に開いてしまう事を抑制する事ができます。
そのお陰で過給圧の立ち上がりを早める事が出来ています。
この事例では、設定ゲインが適正なため、オーバーシュートは無く、ハンチング
も見られません。
③仮に、スイングバルブが固着して閉じたままになった場合
これは、エンジンとターボの能力が最大限発揮された場合の例として取り上げ
ました。従って、いくら社外品ブーストコントローラで過給の立ち上がりを良くしよ
うとしても、これを超える過給圧の立ち上げは無理と言う事です。
④仮に、過給圧制御が無かった場合
サージタンク圧をスイングバルブ式アクチュエータのダイヤフラム室に直結した
場合はブーストコントローラが付いていない、或いはブーストコントローラをOFF
にしている状態と同じなります。これが最低ブーストラインになります。
過給圧特性はスイングバルブ式アクチュエータの特性によって決まります。
この方式の課題は、低い過給圧でもスイングバルブが徐々に開き始めてしまう
為に過給の立ち上がりが遅くなってしまう事です。(特性は図3)
実際に運転してみると良く分かりますが、まるでN/Aエンジンのようなフィーリン
グになります(笑
3
<スイングバルブアクチュエータについて>
・おまけとして図3にスイングバルブ式アクチュエータの簡易構造図と特性図を
載せておきます。
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