2010年06月26日
鈴木亜久里氏裁判その2
鈴木亜久里氏らに16億返済命令 F1活動資金、東京地裁
2010年6月24日(木)21:57
(共同通信)
08年に自動車F1シリーズから撤退したチーム「スーパーアグリ」の代表だったレーサー鈴木亜久里氏や運営会社「エー・カンパニー」などに対し、ばんせい山丸証券がレース活動資金や利息計16億2千万円の返済などを求めた訴訟の判決で、東京地裁は24日、請求全額の支払いを命じた。これとは別に、ばんせい側と結んだ財務アドバイザリー契約料4725万円については、鈴木氏だけに返済を命じた。
F1の鈴木亜久里氏らに16億円支払い命令 東京地裁2010年6月25日0時1分
(朝日新聞)
自動車レースF1の元レーサー鈴木亜久里氏らが率いるレーシングチームの活動資金をめぐり、東京都内の金融業者が約16億円の返済などを求めた訴訟で、東京地裁(浜秀樹裁判長)は24日、請求を全面的に認めて同額の支払いを鈴木氏らに命じる判決を言い渡した。
ほかに敗訴したのは、鈴木氏が取締役を務めていた「エー・カンパニー」(東京都)と同社の代表取締役。
判決によると、同社は2007年2月、原告とは別の金融業者と15億円の貸借契約を締結。鈴木氏らは連帯保証人となり、その後、原告が債権を譲り受けた。判決は「だまされて契約した」などとする主張を退け、鈴木氏らに元本や利子などの支払い義務があると判断した。
鈴木亜久里氏が敗訴=F1資金17億円返済命じる―東京地裁
2010年6月24日(木)21:03
(時事通信社)
元F1ドライバーの鈴木亜久里氏らがレース活動のために借り入れた資金について、債権を譲り受けた「ばんせい山丸証券」(東京都中央区)が返済などを求めた訴訟の判決で、東京地裁は24日、鈴木氏らに計約16億7000万円の支払いを命じた。
判決によると、鈴木氏らは2007年、F1チームのスポンサー企業から支援を得るまでのつなぎ資金として、都内の会社名義で融資を受けた。その後、同証券が債権を譲り受け、鈴木氏側も返済を約束したが、スポンサー料が入らずに未払いとなっていた。
裁判で鈴木氏側は、スポンサー企業を紹介したのが同証券だったことから、「資金を出す気のない企業とスポンサー契約を結ばされ、だまされた」と主張。しかし、浜秀樹裁判長は「単に紹介しただけで、だました事実はない」と退けた。
鈴木亜久里さんらに16億7千万円返済命令
2010年6月25日(金)0時4分配信 読売新聞
元F1レーサーの鈴木亜久里さん(49)らが借り入れた資金について、債権者の「ばんせい山丸証券」(東京都中央区)が返済を求めた訴訟の判決が24日、東京地裁であり、浜秀樹裁判長は鈴木さんと「スーパーアグリF1チーム」運営会社などに請求通り計約16億7000万円を支払うよう命じた。
判決によると、鈴木さんらは2007年2月、スポンサー料が入るまでのつなぎ融資として、都内の金融会社から約15億円を借り入れ、債権を譲り受けた同証券が返済を求めていた。同チームは鈴木さんが元代表で、F1世界選手権から08年に撤退した。
鈴木亜久里氏らに16億返済命令 F1活動資金、東京地裁
2010年6月24日 22:10 西日本新聞
鈴木亜久里氏 2008年に自動車F1シリーズから撤退したチーム「スーパーアグリ」の代表だったレーサー鈴木亜久里氏や運営会社「エー・カンパニー」(東京)などに対し、ばんせい山丸証券(同)がレース活動資金や利息計16億2千万円の返済などを求めた訴訟の判決で、東京地裁は24日、請求全額の支払いを命じた。
これとは別に、ばんせい側と結んだ財務アドバイザリー契約料4725万円については、鈴木氏だけに返済を命じた。
鈴木氏らは、ばんせい側の紹介で石油貿易企業と07年3月に3千万ドルのスポンサー契約を結んだのに、一切入金されず損害を受けたとして、請求全額との相殺を求めていた。
浜秀樹裁判長は、チームはレース活動資金に窮していたと判断、「スポンサーが契約料を支払う意思がないと分かっていれば、金融会社から借り入れしなかった」とする鈴木氏側の主張を退けた。
判決によると、エー社は07年2月、ばんせい側を通じて金融会社「野村エステート・ファイナンス」(解散)から15億円を借り入れ、鈴木氏らが連帯保証。野村エステート・ファイナンスは同4月にばんせい側に債権譲渡した。
これらを見ると、昨夜に書いたブログでの予想に近い争点だったことが分かる。
①某証券会社は、亜久里氏らとFA(フィナンシャル・アドバイザリー契約)を締結し、スポンサー企業と貸し手を捜し、その契約についてのアドバイス業務を行った。
②某証券会社は、後日、亜久里氏らへの15億円の債権譲渡を受け、債権者となっている。
③亜久里氏らは、SSユナイテッドがペーパーカンパニーとは知らずに契約し、一切支払われなかった。
④某証券会社は、債務の支払いを求めて訴訟提起した。これに対して、亜久里氏らは、これらの事情から騙されて契約したのだから、契約は「無効」、スポンサー・フィーとの相殺を主張した。
…ということになりますね。
亜久里氏らの主張は、①アドバイス業務の信義則違反、③SSユナイテッドの詐欺行為について因果関係があり、某証券会社には、SSユナイテッドと並んでスポンサー・フィーの支払い義務がある、というような主張をしたと考えられます。
そうでなければ、相殺の主張をするのは大変難しい。相殺の要件は、当事者が同じで、相対する債権を両者が持っていること、請求できる状態(支払期限が到来している)であること、なので、本来、SSユナイテッドと某証券会社は全く違う当事者ですから、そもそも相殺の対象にはならないんですから。
ただ、全般的に大変ブラックな印象を持ってしまいます。
貸し手は、後に解散→親会社のグループ企業が大変ブラック。「エステート」とあるように不動産を対象とした貸金業者であったのにも関わらず、何ゆえスーパーアグリに??疑問は尽きない。
貸し手の債権を譲り受け→解散会社から買い取るのであれば、おそらく買い叩いている。回収の見込みが薄ければ、その価格以上で回収できれば御の字だからだ。貸金業者の債権譲渡というのは、契約書を見ると大体そんなもので、どういう意図かがオブラートのように透けて見える。
ただし、これらの事情についてみると、裁判所は、相手の無知につけ込んだ点について、何らの心証も得なかったことになる。通常、このようなケースにおいて、契約当事者が契約相手方の無知につけ込み、いいように契約させた場合、あまりいい印象を持たないことも多いと聞く(その道のプロの弁護士・談)。ただし、その場合であっても、それはSSユナイテッドの話で、アドバイザーのアドバイス業務については、契約内容はあくまでもアドバイス業務で、平たく言えば使者に近い。裁判所は、そのように解釈したのは間違いない。
とはいえ、某証券会社には問題が無かったのか?と言えば、そうではない。相手方のSSユナイテッドがペーパーカンパニーであることの調査義務が、契約上また信義側上、当然考えられるからだ。では、その場合に不法行為責任またはアドバイザリー契約の債務不履行責任が認められたとして、損害賠償の範囲は?これが、おそらく亜久里氏らの主張の一部だったのではないか。ここに相殺の根拠を持ってきたのだろうか←某証券会社は、融資目的も知っている上、スポンサー企業の紹介も行っている。だから損害賠償の範囲は、これら当事者間の特別事情により予想される範囲であるスポンサー・フィーと同額であると主張しうるからだ。
ただし、これらの事情につき、某証券会社の完全なる悪意(※知っていたこと)の立証を亜久里氏らは行わなければならず、詐欺や錯誤無効などと同じで、これは泥沼に陥る地獄の立証になる。
裁判所は、この点について亜久里氏らの主張を完全に切り捨てている。
その心証を与える立証活動が出来なかったからだ。
とすれば、当然亜久里氏らは負けるわな~。
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2010/06/26 08:26:20
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