歴史は繰り返すのか…
去年、F1のレギュレーション変更問題が持ち上がったとき、80年代後半の第二期ホンダ時代からしかF1だと思っていない方々からは、
「そんなの、『F1』じゃない!」
という批難がよくいろんなところで語られていましたが、ホンダ撤退から時間が経って、様々な、複雑な気持ちが吐露されているようです。
ワタクシは、本音から言えば、
「時代が変わっちまったなあ」
という感じでしょうか。
それと、
「やっぱり原点(または昔)に返るのか…」というのも感じます。
ホンダに関して言えば、確かに、よく本田宗一郎氏を挙げて、
「彼が生きていたら…」とおっしゃる方もおられますが、さてさて?それはどうでしょうか?
彼が存命中であった時から、
藤沢武夫氏という現実派の側近から暴走を止められていました。特に有名なのは、何と言っても
空冷エンジン問題だったでしょう。技術者ではなかった藤沢氏ですが、会社の経営、社会への責任という観点から、宗一郎氏の暴走をたしなめ、諦めさせたのは有名な話です。
ホンダがホンダらしくあったのは、本田宗一郎氏だけの功績ではありません。彼一人では、おそらくバイク・メーカーとしてだけではなく、そもそも会社が存続できていたのかどうかすら怪しいものです。
二人一組で、やっと『ホンダ』であったように思えるのです。
宗一郎氏が生きていたら…というのであれば、
藤沢氏も傍にいなければならないと思います。
彼らが今、ホンダにいたとしたら、彼らが、このご時世でF1を続けろ!といえたかどうだか分かりません。
何故なら、
ホンダとF1の関わり方と、それにかかる費用、そして時代への対応の要請が、彼らがいたころとは全く異なるからです。
やめた理由で、一番に挙げたのは、
「100億じゃきかなくなった」
でした。
ワタクシには、ちょっと無責任じゃない?と思えました。何と言う言い草でしょうか?とも。
このようなF1にしたのは、
間違いなくホンダが原因だからです。
ホンダ以前と比べて、間違いなく
F1は変わってしまったからなのです。
マッタク・モズレーは、以下のようなことを言い出し、FOTA(フォーミュラワン・チームズ・アソシエーション)も、あれだけ反対していたのに、丸で手のひらを返したように「削減!」と言い出しています。
これは、とりもなおさず、
「『ホンダ以前』の古き良き時代の延長線上に戻して、最高のステージ性も維持しようよ」というところではないでしょうか?
「FOTA実行委員会は、これまで進めてきたコスト削減の取り組みをさらに進めるべく、本日ヒースローで会合を行った。全メンバーが全会一致で多数の重要な原則において合意し、FOTAにおいて確立されたプロセスを支持した。
チームは、2009年に実施される包括的な空力テスト制限協定の詳細を検討した上でサインした。
さらにチームは、2010/12シーズンにおいて低コストのトランスミッションを開発、凍結することに合意した。このトランスミッションは6レース使用され、1チーム1シーズンあたり150万ユーロとなる。
FOTAは2010年からインディペンデントチームへのエンジン供給を500万ユーロで行うことを再度明言した。インディペンデントチームは、この取り決めに同意し、支持することを表明した。
FOTAテクニカルレギュレーション作業部会は、高価な原料を排除することに決め、パフォーマンスの差別化を生まないコンポーネンツおよびシステムのコストを削減するためのさらなる機会を特定する。
出席した全チームは、現在ホンダとしてエントリーしているチームへの支持を表明、いかなる名称変更の登録にも合意する。
全チームは、FOTAの枠組みの中で、F1に関するコストを効果的に削減すべく、合理的かつ組織的に、手を携えて取り組んでいる。また、FOTA受託のマーケットリサーチの結果を受け、このスポーツの活発性を向上させるため、同様のアプローチをもってあたることとする」 (
AUTOSPORT WEB)
FIA会長、さらなるF1コスト削減を求める
1月9日19時20分配信 ISM
FIA(国際自動車連盟)のマックス・モズレー会長は、現地時間(以下、現地時間)8日の会合を前にFOTA(フォーミュラ・ワン・チーム・アソシエーション)へ書簡を送り、これまでの一連の合意は相当な救済策となるだろうが、2009年はさらなる対策を講じる可能性があるだろうと訴えた。同日、『ロイター』通信が報じている。
M.モズレー氏は5日、世界的な金融危機に直面する中でこのスポーツを堅実な基盤に基づいて立て直すために、その詳細の大半は未だ議論し尽くされてはいない「真に大きな変革」を2010年に行なわれなければならないとして、「我々のチャンピオンシップは、F1レーシングに莫大な費用を使い続ける世界的な自動車産業の意志に頼り、そして億万長者たるオーナーたちの出資の気前のよさに完全に依存する数少ない残りの独立系チーム(例外が1チームあるが)に頼ってきた。現在の状況で、このまま続けていけると想定するのは馬鹿げている」と書き綴った。
さらに、「経費はある状態にまで削減されなければならない。順調な経営をする独立系チームがFOM(フォーミュラ・ワン・マネージメント)とスポンサーから得る適度な資金によって、しっかりと利潤を得て運営できるまでだ。これがチャンピオンシップを守るとともに、撤退したチームに代わって、そのすきまを埋めるために新チームが参入することを可能にする唯一の方法なのだ」と述べている。
2008年、F1はシーズン中にHondaの支援を受けていたSUPER AGURI F1チームを失い、さらに12月、HondaのF1撤退という事態に直面した。Hondaは未だ買い手を見つけておらず、現状では12チーム24台用のスペースがあるスターティンググリッドに並ぶのは、わずか9チーム18台のみとなる。自動車産業は経済危機に苦しんでおり、メーカー系チームがさらにF1から離脱するのではないかとの懸念もある。
M.モズレー氏は予算制限案についても言及し、「各チームの予算を同額にすべきというこの考えは、成功することが知的な能力次第となるため、すばらしいアピールになる。もし適切に実施されれば、非常に公正なシステムになるだろう。実際、見方によっては、ライバルチームよりも多大な資金を持つことは、より大きなエンジンを持つのとまさに同じくらい不公平だ。我々はこの件について、FOTAとさらに話し合いたいと思う」と採用に前向きな姿勢を見せた。また、現時点では任意の予算制限でも有効だろうと語っている。
一方、FIA会長からレースウィークエンドのコスト削減と統一シャーシおよびパーツのリストを作成するようにとの要望を受けたFOTAは、8日の会合で今年より空力テストの制限に全チームが署名するなど、さまざまな対応策を新たに決めたという。そのほか、声明を通じて「各チームは彼らが2010~12シーズン用の低コストのトランスミッションを開発し凍結することに合意した。このトランスミッションは6レース連続で使用され、1シーズン1チーム当たりの費用は150万ユーロ(約1億8,700万円)になるだろう。FOTAはまた、2010年から独立系チームに対し500万ユーロ(約6億2,300万円)でエンジンを供給するという公約を改めて断言した」と発表した。
最終更新:1月9日19時24分
※太字部分はワタクシによるもの。
つまりは、やっぱりレースは、自動車メーカーに掻き回されて挙句の果てに放り出されたら、後は荒地になってしまうということが、今も昔も変わらないということでしょう。
「昔みたいに、草レースの延長で、皆さんよろしくやりましょう」
彼らの本音は、間違いなくここにあると思います。
「勝てなかったことが理由ではない」と再三再四言っていましたが、「中途半端」にエンジンだけ…というのは、結局はプライドが許さなかったのでしょうか?
だったら、ホンダもFOTAで合意して、そこで最高の勝負をすればよかっただけの話ではないでしょうか?
上で書かれている案だったら、100億もかからないと思いますけど~?
それに、
勝てる可能性も出てきたと思いますけど…
その証拠に、これまでだったら何とか継続していた※エンジンの支援活動も、何と
「中途半端だから」という訳の分からぬ理由をつけて、完全撤退すると言っています。
こういう活動は、一旦やめたら、戻るのは極めて困難です。
※第二期以後、無限を通じてエンジンを供給し続けていたからこそ、F1の何たるか?をエンジンを通じて知ることができ、「浦島太郎」にならずに済んだ。
中途半端で良い。続けることが大切。そして、エンジンを失わずに済むから、F1界にも貢献できる。
ホンダがのたまっていた
レーシング・スピリットを世界に知らしめることができたでしょう。
したのかもしれませんが、F1担当エンジニアが、何で二輪MOTOGPに回されるのか、ワタクシには見当もつきません。
それに、ワタクシは、完全撤退と聞いて、「そりゃ良かった」と思いました。
今のホンダ社員にとっては、既に、サラリーマンにとっての仕事にしかなっていない感じがします。
昔のような熱を感じません。最後まで感じませんでした。
昔は、殆ど暴走的とすら思えるほど、ホンダ・チームの情熱と進歩はすさまじいものがありました。
でも、イギリスのスタッフに全権を委ね、「自分たちで!」という気迫も何も無かったチームでしたから、何らかの熱を全く感じませんでした。
もしも、本当にレーシング・スピリットがある本物のエンジニアがいたら、なぜ、「やめたら二度とできなくなるぞ!!」と声高に言って、「中途半端」でもレースを続けようとしなかったのでしょうか?
できない理由などは、多分、ワタクシたち外部には見えないものが色々とあるのでしょう。
しかし、昔は
北京五輪のソフトボール・チームのような熱を感じたのに、
同じ北京五輪の野球チームのように、ダラダラとしたウダウタ感が漂っていたように感じたのは、決してワタクシだけではないでしょう。
それだけは、
時代の変化を強く感じましたね。
※第二期をやめた理由に、こういうサラリーマン的な感じ、中世的停滞感が漂い始めていたからということを理由に挙げていた。なるほど、レーシング・スピリットも、大企業中の大企業では、もはや維持し得ないのかもしれない。
時間が経てば経つほど、何だかホンダの言い分が不可解に思えてきてしまい、今回、批判めいたことを書き散らしてみました。
Posted at 2009/01/10 02:18:05 | |
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