プロ野球のドラフトで、東海大・菅野選手の問題が大きくなるにつれ、
一部(そのすべてが巨人関係者とそのファン・太鼓持ち(??))が、腹立ちまぎれに盛んに以下のように言っている、と聞きました。
曰く。
ドラフトは憲法違反だ!!
独占禁止法違反だ!!
例えば、
ここ。
やれやれ(汗)。
彼らは、盛んに
アメリカ(反トラスト法)を持ち出しますが、
これは日本国内の問題ですので、ワタクシ、相手にしません。
あくまで、
日本国の憲法・法律によって判断させて頂きます。
彼らは、
全ての論点を感情の赴くままにごゃごちゃに混ぜて考えているに過ぎないんですね。
これらを紐解くには、以下のような問題があります。
①憲法は、プロ野球の契約関係にそのまま適用できるのか?
職業選択の自由(22条)を侵すものとしてドラフトや契約が無効なのか?
憲法規定の私人間適用の是非という論点です。
②プロ野球選手は『労働者』か?
労働組合プロ野球選手会とは何なのか?
労働者性と労働基準法・労働組合法・各種税法の関係という問題です。
※なお、当該ブログでは、何故か
デカデカと「労働基準法」を挙げていたのはバカバカしい。
自分で
「俺、法律知らんけど、知ったかしたらカッコええかなあ??」と言っているようなもの、とだけは、ここではっきり言っておこう。
③独占禁止法の立法趣旨~規制対象は何か?
プロ野球選手と球団の契約関係に、独占禁止法が適用できるのか?
プロ野球選手に独占禁止法適用の主体性があるのか?という問題です。
これらは、そのまま繋がっているものでもあります。
彼ら
巨人ファンやあの爺様が、これらをきちんと丁寧に論証できなければ、
法律問題を感情で述べているだけということです。
むしろ、
何故、野茂さんを『特例』としてメジャー行きを容認せざるを得なかったか?という問題の方が、ワタクシには未だに笑えて笑えて仕方がありません。
※ワタクシは野茂ファンですが、当時、プロ野球側は、野茂氏を放り出すようにして口をつぐむ理由があったのです。法曹界からの情報で、ある程度は知りました。それは…推理してみて下さいね。
結論だけ申しますと、
憲法違反も独占禁止法違反も、裁判上で問うのは、かなりの至難の業とだけ申せましょう。
こんなに言うのであれば、法廷で争ってみれば良いのです。
まあ結果はどうあれ、多分最高裁まで争うことになるでしょうから?
面白い判例が一つできることだけは間違いありませんね(笑)。
※追記
さて、今回のドラフトの結果について、まあほぼ二つの意見に分かれている、と思いました。
一つは、
やっぱりドラフトって残酷、巨人&原&菅野、可哀想。日ハム、連絡しておくのって『社会人としてのエチケット』ちゃうん??という意見。
もう一つは、
ルールはルールやろ?!はあ??『前もって連絡しなかったのは道義的にどうよ??』って何様ぁ??という意見。
…まあ、どちらも感情論といえばそうだし、一理あると言えばそうかもしれない。
ただ、日本ハム側が言っているように、これを単に『ルール』と言ったり、『こちらの戦略上、わざわざ周りに知らせるようなことはしたくなかった』とか、これそのものは別に悪いことを言っている訳ではないけれど、さてさて?
企業のリスク・マネージメントとしてはどうかな?
ドラフトについて、あの爺様の違憲うんぬんの問題は置いておき、選手会も認めた合法的な業界ルールであることを前提とした場合、確かに、契約社会であること、ルールであること、というのは、問題ないと言える。最低限、その側面からだけならね。
しかし、
企業経営のリスク・マネージメントとしてはどうか?
特に法律などはそうなのだが、ルールというのは、
その世界の最低限の道徳という側面は拭えない。
つまり、やれルールだ、それ契約社会だと言っても、
所詮、『日本社会の風土』を土台にしてのものだから、
一般の庶民感情を無視してルールを盾に取ると、かなり疎んじられたり軽んじられることは多くあることを理解しているだろうか?
要するに。
今回の場合、
業界ルールだからと言って、自分たちの戦略
「のみ」を取って、前もって指名の挨拶をしなかった点、どうなるかを全く想像していないこと。
巨人びいきで聞いた人は、多分、こう思った筈(こういう意見も多かった)。
日ハムは『礼儀』を知らん。
人生を決めるかもしれない重大な会議の前に、それもまだ若い学生相手なら、尚更一言くらい挨拶があって然るべき。
戦略って何?自分の事しか考えてないな。学生だって『覚悟の時間』だって必要やろ?
大体、契約前に「4月から狙とった」なんて嘘くさい。ホンマは、直前に思いついてやったんやろ?
選手に対してこういう扱いをして、相手の気持ちも考えない球団やったら、きっと選手を無茶苦茶に扱うやろな(汗)。信用できひん。クワバラクワバラ。
また、日ハムファンも、おそらく複雑に聞いた人も、それなりにいたのではないかなあ、と思う。
つまりね。
意見が相半ばするほど、国民感情が真っ二つの反応を示す、ということは、とりもなおさず、このような行為を快く思わない社会であるということの証明と言えること。
要するにこの日本は、まだまだ
浪花節の社会だから、成功するには泥臭い営業活動が不可欠、ということですね。
とすれば、契約相手も人間だから、戦略上必要であったなら、仮に最初から出なくても、せめて直前に
「当球団は半年間、悩みに悩みぬいた末に、やはり避けられずあなたに辿り着いた。どうしてもあなたを戦力として欲しいので、ドラフトで指名致します。もし交渉権獲得した場合は、どうかご考慮を」とだけでも挨拶を入れておけば、少なくとも企業イメージに問題を生ずることもないだろうし、契約交渉も、少なくとも相手方に否定の理由を与えて付け込まれてしまう事もなかっただろうに、と思う訳です。
別に巨人の味方をする訳でもないし、日ハムをコケ下したい訳でもないんですけど、
少なくともプロならば、自分たちがマネージメントを行う仕事では、何かの理由につけて自分たちの方針ばかりに目を取られず、それと整合させるようにしながらも、泥臭くても、成功の確率を上げる行為を怠りなく行ってかないといけないと思った次第です。
だから、「ルールだルール!」だけだと、結局自分が損をする事もある、というのは、やっぱり商売の「損して得獲れ」の精神に反するなあ、と素直に感じましたネ。こういう時は、真正面から行った方が、仮にドラフトで負けても、場合によっては
真の得を獲れることもあるのでしょう。
Posted at 2011/10/30 19:41:08 | |
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