
あれは中学生の頃だったか、図書館で「日本の名山」といふ写真集を見た。
その1ページ目に厳冬期の利尻山の写真ありけり。
針のような岩峰群が灰色の空に向かって突き刺すように聳え立つ姿が強烈な印象として残った。
標高は(たったの)1721メートル、本州の山と比べたらまるで目立たない高さだが、一つの島がそのまま一つの山を形作っている例はほとんどない。
しかも高さが1500メートルを超えるのは日本広しといえど利尻島の利尻山しかないだろう。
そんな山が北海道の最北端、稚内の西の洋上20キロの場所にある。
緯度が高く厳しい島の気候条件が相まって植生は3000メートル級の高山と同じ。
本州では2400メートル以上の高所にしか見られないハイマツが1100メートルあたりから出現する。
利尻山、何より姿形がカッコいい。
日本の山というよりどこか遠い外国の高山のよう。
そして東西南北どこから見るかで形が変わる。
北の鴛泊からは頂上に向かって引き絞られた伸びやかで流麗な女性的な山容
西の沓形からはゴツゴツとした男性的で力強い山容
写真集で見たのは南の仙法志側からの姿で、僕には女王とその左右に槍を立てた衛兵が立ち並ぶ様に見えた。
いつか登ってみたい山のリストに入れたもののなかなか果たせず。
利尻島は約20年前に一度、まだ長女が生まれる前に家族3人で観光旅行に訪れたがさすがに家族放置して登山はできず、
後ろ髪を引かれる思いで島を後にしたっけ。
思い入れが強過ぎて前置きが長くなりましたが、その憧れの山に登る機会がついに到来しました。
二泊三日の予定で、一日目と三日目は移動と観光メイン、二日目が登山です。
一日目は利尻島までの移動日でした。
羽田発稚内行きの飛行機はバスで乗り付けてタラップから搭乗するタイプ。
余り経験がないのでオラわくわくしました。
2時間のフライトで昼過ぎに稚内に到着。
路線バスでフェリー乗り場のある稚内駅前まで移動しました。
昼過ぎの気温が24度と涼しいけれど風が強い。
翌日の日曜日に宗谷岬から稚内まで走るマラソン大会があるらしく、参加者と思しき旅行者達が向かい風はキツいと大騒ぎしてました。
利尻(鴛泊)行きのフェリーが出航するのは夕方、
市内の観光名所らしい防波堤を見たり、バスでノシャップ岬まで往復したりして時間を潰しました。
そう言えば稚内の街中にやたらエゾシカがおった。ここは奈良か?
さすがに宗谷岬までは行く時間がなかったです。
ノシャップ岬からはこの日はじめて、雲に覆われた利尻島を眺める事ができました。
稚内〜鴛泊間のフェリーは一日3本の定期運行。
1時間40分の船旅です。
我々は最終の午後便に乗りました。
山の姿を間近に眺める前に太陽は礼文島の向こうに沈んでいきました。
明日晴れてくれよ〜
船着場の向かいのレンタカー屋さんでヴィッツを借りた後、
近くの中華居酒屋で夕飯をとり、
酒とツマミを少しばかり買い込んで20時過ぎに宿に到着しました。
家族経営のこぢんまりしたアットホームな民宿でした。
風呂も気持ちよかった。
翌朝の好天を願いながら眠りにつきました。
Day2に続く〜
Posted at 2024/09/10 11:20:09 | |
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