
懲りずに日野日出志です(笑)
折角読んだので感想を。別に誰もそんなものは求めていないのは重々承知ですが(笑)
1975年に日野日出志が初めて書いた長編だそうです。
長編って言っても一冊分ですけどね。
私はカフカも乱歩も読んだ事有りませんが、モチーフにしてるのはどうも間違い無さそうです。
親父含め、出来のいい人ばかりの家族の中で主人公の少年は勉強も駄目だし友達もいない、でも優しくて動物・虫好きの子なんでゴザイマス。んで、ご想像の通りの苛められっ子です。
まぁ外観的には典型的日野漫画の主人公なので目がアレですが(汗)
その少年が奇妙な毒虫に刺され、体がアレな事になってきます。日野漫画ですので察してください(笑)
しまいにゃミイラみたくカチカチに固まってしまいます。
痛みに苦しめながら迎えたある日、少年は自分の抜け殻を目にします。
虫になっちゃったんでゴザイマス。しかもデカい(笑)
参考画像
因みにこのガレキ、絶賛発売中だそうです。ちとカワイイかも(^_^;)
当然家族は大騒ぎです。
もっとも家族は冷たい事に、体が毒でアレになってしまった段階で少年を煙たがっており、この大きな虫が少年である事は気付きながらも部屋に閉じ込めちゃいます。
近所の目も有るので、先述の少年の抜け殻で葬式挙げて少年という存在は社会から抹殺されます。
っても少年自身は苛められもしない訳だし、食べ物も貰えるので気楽に過ごしてたりします。
ここが主人公が苦悩する文学か、お子様向け怪奇漫画かの差ですね(笑)
しかし、親父の昇進話で状況が一変。会社の上司が家に来るって話が出て、家にバケモノが居たんでは昇進に差支えるって家族は大弱り。
んで、家族は少年をホントに亡き者にしようとご飯に薬を混ぜて、生き埋めにしちゃおうと言う荒業に。
ま、埋められちゃっても少年は虫っぽく穴掘って脱出しちゃうんですけどね。
でも、自分の置かれた状況は自分を始末できたと安堵して団欒中の家族の会話を聞いて理解します。
もう家には帰れないし、人間だった頃に可愛がってた動物に会いに行っても嫌われちゃうしで居場所も無く、地下の排水構に身を隠します。
っても、相変わらず少年は呑気に虫なりの生活満喫してたりするんですが(汗)
しかし、独りの寂しさとひもじさに耐えきれず世間を覗きに行った折、誤って人を自らに生えた角で刺してしまいます。その時に自分に毒と言う"武器"が備わってる事に気付いちゃいます。
僕は弱虫小僧じゃなくて毒虫小僧なんだ♪
・・・・タイトルは其処から来てる様です(^_^;)
毒の威力を知った少年は、自分を苛めた子への復讐を遂げ、強くなった自分に暴走し無関係の人まで殺し始めます。
世間じゃ変なバケモノが現れたと新聞沙汰にもなり、少年の家族も犯人が少年であると確信します。
そして家族は、少年を殺そうとした自分たちも殺しに来ると考えます。
人間だった記憶も希薄となってしまった少年のひそむ排水構に、懐かしい食事の匂いが漂ってきて誘われるように自分の家に戻ってきてしまいます。
懐かしさに涙する少年に、父親は猟銃を向けます。
散弾で傷ついた少年は排水構へ逃げますが、死を覚悟した少年は家族との日々を思い出しながら海に流れ着き話は終わります。
所詮は子供向け怪奇漫画ではありますが、なんかいいんですよね~。
正直、ところどころ出てくるグロい絵を除いたら絵柄も正直怖くは無いです(笑)
正直ホラー漫画として読んだら、今時の漫画に慣れてる方はナンジャコレって感じだと思います。
んでも、今でも日野日出志が好きな方が結構居るってのは、悲しいバケモノ路線の影響なんじゃないかなと個人的には思います。
醜くなって村八分にされつつも、遠くに聞こえる秋の祭囃子に村で過ごした少年期を思い出し縁側に佇む"蔵六の奇病"の蔵六。
死んでしまった母親の身なりを一生懸命整えてあげ、一緒の布団に寝て優しかった母が自分のもとに帰ってきてくれたと涙する"水の中"の主人公の少年。
俺はこの路線が日野日出志の本流であって、狂気とか残虐主体の路線は正直イマイチだと俺は思います。
実際、今のご時世もっと怖い漫画有ると思うし(汗)
という事で、日野日出志なかなかいいですよ~。
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Posted at
2013/05/02 01:57:09