特にブログネタもないので、前からいってたネタを書こうかな?と思います。
しかし、考察といっても私が思ったことを述べるだけですのでプロやエンジニアの目から見れば間違いがたくさんあると思いますし、すでに同じ事を書いてそうな方はたくさんいると思うので、二番煎じ三番煎じで、ネタが被ってるところもあるかもしれませんがその場合はすみません(爆)
ではここでロードスターのエンジンについて比べてみようと思います。
エンジン型式 | B6-ZE | BP-ZE |
排気量 | 1597cc | 1839cc |
ボア(内径) | 78.0mm | 83.0mm |
ストローク(行程) | 83.6mm | 85.0mm |
ボアストローク比 | 1.07 | 1.02 |
圧縮比 | 9.4 | 9.0 |
コンロッド長 | 132.9mm | 132.9mm |
連桿比 | 3.18 | 3.13
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どちらもエンジン的には、ボアよりもストロークの方が大きいトルク型と言われているエンジンです。
このストロークをボアで割った値がボアストローク比と言われており、1より大きければ「トルク型」、小さければ「高回転型」と言われているのが定説です。また1を「スクエア型」と呼びます。
私の知識が古いままなので、今は違うかもしれませんが一般的なエンジンはこのボアストローク比が1に近くなっており、どちらのエンジンも素性は本当に一般大衆車のエンジンということがよく分かると思います。(それがあの乗りやすさに繋がってるのだと思いますが…)
この理論でいくと、B6はトルクよりでBPはややスクエアよりになると思います。
こうして比べてみると、BPは実質ボアアップとストロークアップされただけといっても過言ではなさそうです。(もちろんヘッドもブロックも別物なので、チューニングのキャパシティはBPのほうが大きいですが笑)
ここで思ったのが、よく「B6は気持ちよく回る」「BPはもったりしている」と言われていますがおそらくこれは純正ECUのままだからじゃないかと思うのです。
もちろんBPの方が排気量は上なのでトルクや馬力はB6は適わないですが、ROMチューニングをする事により素性は大差ないエンジンになるはずです。
そしてこのエンジンをチューニングする上で、いくらかのデメリットを挙げます。
まず、第一にブロックが
非常に柔らかいです。
このブロックをボーリングしたことがある方はご存知と思いますが、本当にびっくりするほど
サクサク掘れます。
きっとエンジン開発者も10年以上持つことを考えていなかったでしょうから誤算だったでしょう(笑)
かといって配合率を変えて硬くすると、今度はブロックも重くなりますし難しい所だったのでしょうね。
ブロックが柔らかいということは、シリンダーも傷付き易い。まずココが1つのポイントとなり、更にデメリットがあがってきます。
次に連桿比です。コンロッドの大端部の中心から小端部の中心までの距離を、ストロークの2分の1の長さで割った値のことを連桿比といいますが、一般的なエンジンは3.0~3.5辺り、スポーツエンジンは3.5~4.0辺りで設定されています。
B6はほぼ3.2、BPは3.1で一般的なエンジンでも低い値となっています。
この値が何を示しているかというと、値が大きくなるほどコンロッドの揺動角が小さくなり、ピストンの側圧が減少し、回転の不平衡慣性力が小さくなるのです。
下の図で説明します。
非常に大げさに書きましたが、
紫の線が低い連桿比、
赤い線が長い連桿比でのコンロッドと想像してください。
比べてみると、シリンダー側面へのスラストが紫だと大きいことが分かると思います。
また、赤い方をみてみると、シリンダー側面へのスラストは小さく、上下方向に効率的に力がかかるのが分かると思います。
これが連桿比による違いで、それだけスムーズにエンジンが回るようになります。
これが2番目のデメリットです。ロードスターのエンジンは上記の通り3.1付近が連桿比なので、サイドスラストが強くシリンダーへの攻撃性が強くなっています。
1番目のブロックが柔らかいデメリットとあわせると、これはあまり嬉しくない状況…。1点のみ救いがあるとすれば、これが原因のオイル上がり等の症状が出にくいことですが、やはり滑らかにピストン運動させたいところです。
蛇足ですが、BMWのS54エンジンは 87×91mmのロングストローク型、コンロッド長139mm、結果として連桿比は3.05という数値ですが、これで高回転までぶん回してるんですから大した物ですよね。反して歴代のM3オーナーからは芳しくないエンジン評価ですが(爆)
ここで私が考えていたいくつかのプランを出してみます。
・シリンダースリーブ化
・オフセットシリンダー
まず1番目のシリンダースリーブ化は、「ブロックが柔らかいのなら、カッチカチのスリーブを入れてやろう」という発想です。
一般的にターカロイ鋳鉄といわれるボロンやリンなどを添加して鋳造することで、非常に硬くて潤滑性のある特性を備えているシリンダースリーブ用に開発された、特殊な鋳鉄素材です。
これをブロック側の剛性がでるぎりぎりまでボーリングした部分に圧入する方法を考えましたが、このターカロイも
ピンから
キリでして、一般的に出回っているターカロイは「キリ」です。どうせやるなら「ピン」のターカロイを使って製作したい所ですが、もちろん値段もピンキリ。
色々調べていたところスリーブ1つ製作に
20万近くかかることが判明しました(爆)もちろんブロック側のボーリングや圧入後のホーニング等を入れてない計算でです…。
もうこれだけでショップのコンプリートエンジンが余裕で買える金額なので流石にボツ(爆)
2番目のオフセットシリンダーは現代のエンジンでは当然となっていますが、シリンダーの中心をクランクの中心からEX側にずらした加工です。
こうすることでピストン下降時にコンロッドがまっすぐとなり、効率的に爆発エネルギーをクランクに伝えることができます。(実際は元からそういう風に設計されたエンジンではないので、まっすぐにはなりませんが)
しかしこれは1番目のシリンダースリーブ化のように考えたり調べたりするまでもなくボツ。
なぜなら、オフセットボーリングをすることによりボア内径が大きくなるからです。
私はあえてテンロクのB6エンジンの可能性を見たくて1600cc以下にこだわっているのにこれでは本末転倒です。テンナナエンジンになってしまいます。
ここでどうすればいいかひたすら唸り、あくる日もエンジンのことばかり考えていたのですがあるときひらめいたのです
「そうだ!根本的に連桿比を変えてやろう!」
ということで早速いろんなことを計算し、その計算をもとにピストンやクランクを設計。(内容は割愛 笑)
これにより、ピストン・コンロッド・クランクシャフトを全てワンオフ製作することになりましたが、それでもシリンダースリーブ化よりは安くつくことになりました。
これらはまた部品が届き次第ブログにアップすると思われますが、前回ブログに書いたとおり、これらの計算をし終え製作依頼が完了し代金を支払った後に父親が倒れた為、おそらくエンジン組み付け自体は進まないと思います。(最悪部屋のオブジェになります爆)
ここで最後に私が経験や計算した上でシリンダーボーリング等をするのであればやったほうがいいという内容を参考になればいいなと思い記載しておきます。
・ブロック上面面研はやっておいたほうがいいと思います。シリンダーヘッドと同じで、ブロック側も歪んでます。
・ダミーヘッドボーリングをするのなら上面面研をした後やってもらうほうがいいと思います。理由は上記の通りということで…(爆)
・クランクジャーナルとの精度を上げる為、クランクジャーナルとの直角度を0.03以下で加工してもらうと、そのままボーリングするよりちょっと気持ちいいエンジンになります(笑)