
最初に断っておくが、私はこの時期にGoTo何チャラを行うことに賛成していない。人が出歩けば感染拡大のリスクは高まるからだ。だが、現在の感染拡大の責が「GoToに、それを進める政府にある」という意見には違和感を覚える。制度も問題だが、より大きい問題はGoToを利用する人間達の心構えだろう。旅先でも、飲食店内でも、感染予防対策を徹底すればいいだけのことだ。
国が旅行や外食を奨励している。現状は確かにそうである。ただ、国というか政府の立場としては「感染が怖いから旅行をするな」とか「外食をするな」とは言えない。経済が停滞すれば、国としての力が削がれることにもなりかねないからだ。だから、「経済活動」と「感染拡大防止」のどちらかを選ぶのではなく、都合がいいと責められるとしても「十分気を付けて経済活動をしてね」と言わざるを得ないのだろう。喩えは不適切かも知れないが、一家の働き手が感染を恐れて仕事に行かないでいれば、世帯収入は激減し、詰まるところ家庭崩壊である。気を付けながら働きに出ている人がほとんどのはずだ。
「十分気を付けて経済活動をしてね」という政府の方針に対して「アクセルとブレーキ」なんていう喩えがされている。高齢者の踏み間違い事故のイメージも相俟って、それはおかしい、危険だという雰囲気になっているが、そもそも車の運転って、アクセルとブレーキ、ハンドル操作を適切に行うことで成り立っているはずだ。そして安全に運転する責任を負うのは運転者である。それについて「個人に責任を押し付けるのは無責任だ!」なんて言う人はいないはずだ。
GoToなんてものがあろうがなかろうが、チャラチャラ出歩く人間は出歩く。感染を適度に恐れ、個人衛生を守ろうとする人間は、出歩くことを控える、或いは細心の注意を払って出歩くはずだ。何度か書いたが、今GoToを利用している人間達の中で、心から観光業や飲食業を応援しようと考えている人なんていないと思う。平時よりも安い金額で利用できるから、乗り遅れないように利用しているだけだろう。本当に応援しようと思うのなら、割引どころか割増料金を笑顔で支払うべきだし、募金とか寄付とかしたっていい。キャンセル料を国に補填させるなんてのは以ての外。自分の金で支払って応援すべきじゃないか。そもそも、自分が得をしながら「他者の応援」だなんて、私なら恥ずかしくてとても言えない。
「GoToを継続しながら感染拡大対策を求める国は無責任」と感じるのは個人のとらえだから受容はできる。だが、それならば「GoToをやっていることを口実にして出歩いて(自他の感染リスクを拡大して)いる人も無責任」という捉えだって成立するのではないだろうか。自分が感染したり、クラスターが発生したりすれば、国を責めるわけでしょ? そういう人って、自分にとって都合の悪い指示には絶対従わないと思うよ。
好き勝手書いたが、
観光業や飲食業の困窮、困惑は想像に余るものがある。それは理解しているつもりだ。ただ、どのような商売にも浮き沈みはあるのではないか。それに、コロナ禍の中で喘いでいるのは観光業や飲食業だけではない。補償金!補償金!と叫ぶ人もいるが、それだって原資は税金だ。そしてない袖は振れないのも事実だ。親には子供を育て養う義務がある。しかし、裕福な親もいればそうではない親もいる。子供に多額の仕送りをできる親もいれば、奨学金を借りさせたり、バイトをさせたりせざるを得ない親もいるのだ。日本という国はどちらの親なのだろう? 裕福なのに出し惜しみしているだけならねだり倒せばいい。しかし、後者だったとすればどうにもならない。求められるままに借金を重ねてその場凌ぎを繰り返し、最終的にはデフォルトなんてことになったら、それこそ目も当てられないと思うのだが…ね。
別に菅政権を弁護しようなんてつもりはない。ただ、国民の声を代弁している風を装っているマスコミが、GoToを批判しつつもお得プランや利用法をとくとくと解説していたり、GoToより危険な匂いのする外国人入国規制緩和についてはスルーだったりすることには疑問を感じているんだけどね。
Posted at 2020/12/12 12:05:34 | |
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