
定期的に繰り返される
この手のニュース。学生時代に借りた奨学金を返せなくて困窮しているのに、無理矢理一括返済を迫るのは酷いと言いたいらしい。
確かに、リンク記事中に出てくるAさんのように、病気になってしまうことや、失業してしまうことは誰にでも起こりうることだ。気の毒であることは間違いない。しかし…だね、先方が一括請求をしてくるということには、それなりの理由があると思うのだよ。ちょっと調べれば、返済猶予の手続きについて書かれているサイトにたどり着く。ってか、そもそも借りるときにパンフレットなり約款なりを貰っているはずだ。きちんとした手続きもなく支払いが延滞したのだとすれば、そりゃ一括返済だって迫るよ、慈善事業じゃないんだから。
私が一番違和感を覚えるのは、おそらく返済猶予の手続きをせず、延滞を続けていただろう人間が、訴訟を起こして一括返済要求を取り下げさせたってことだ。別記事では「一括請求を撃退」なんて書かれている。返済猶予の手続きはできないのに訴訟は起こせるんだ…って思ってしまう。時代が違うと言われてしまえばそれまでだが、私も大学生活のうち3年間、奨学金を受けながら学んだ。給付ではなく、無利子でもなく、有利子の貸与であった。ちなみに約款には「連絡なく延滞した場合には一括返済を求める」と明記されていた。大学卒業後10数年かけて完済したが、就職直後は安月給だったし(今も決して高給取りなどではない)毎年年末にまとめ払いするのは楽ではなかった。でも、奨学金のおかげでアパート代が支払えていたことを思えば、感謝こそすれ、不平など言う気にはならなかった。借りたものを返すのは当然のことだと思っていたし、自分が返済しているお金が、次の学生達の奨学金の原資になるとも思っていたからだ。
この手のニュースでは、「奨学金という名の借金じゃないか」「学生支援機構は悪徳金融会社だ」みたいな論調が多い。でも…それって当たり前じゃないかなあ。返還を求められない奨学金がほしいのであれば、それぞれの大学で優秀な成績を修めて、学校独自の給付奨学金を貰えばいい。それだけの能力がないのであれば、諦めて貸与奨学金を頼るしかない。人生なんて、大抵の場合は「頑張る」か「諦める」の二択である。そこに「ごね得を狙う」なんて選択肢を加えてもらっては困る。また、学生支援機構を金融会社(それもタチの悪い高利貸し)に喩えて腐す人には、「悪徳高利貸しは事情を説明したら支払いを猶予してくれるんですか?」って聞きたい。10年も待ってくれる悪徳業者なんて聞いたことがない。
色々考えるに、やはり借りた側にも落ち度と言うか、問題があったのではないだろうかと思えてくる。借りるときに学生だったから…とかいうのは理由にはなるまい。成人年齢が18歳になり、保護者の同意なく各種の契約ができるようになる。各自の責任でしっかりと約款を読み、契約する責任が発生するのだ。
奨学金の返済で苦労している人にはムカつく物言いになるかも知れないが、要するに「きちんと返済の
見通しを立てること」「本当に
必要な額だけ借りること」「自分が借りた額に見合うだけの
成果を出せるかどうか冷静に見積もること」「不測の事態に陥ったときは、
速やかに所定の手続きを取ること」を心掛ける必要があるだろう。酷い言い方をすれば、それが出来ない人は奨学金の貸与を受けるべきではないということになるのかも知れない。
Posted at 2022/03/15 00:42:46 | |
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