
年末ということもあり、私の周辺では1年を振り返ったアニメ作品などの話題で盛り上がっておりますが、私も最後にひとつ披露させていただきたいと思います。
毎度の妄想(暴走)ネタですが、有難いことに支持してくださる方がいらっしゃいますのでこれからも走り続けたいと思います。特にコメントを望む訳ではなく自分の想いを書き綴っているだけですが、もし賛同していただける方がいらっしゃればご意見などいただけたらと思います。
そもそも居住地や視聴環境によって皆様一律に評価が出来るはずもなく、どの作品も比べる土俵が違いますから順位などに意味が無いと思っておりますので、あくまでも個人的な好みであります。
今期のお気に入り作品のひとつ「凪のあすから」です。
この作品は2クールなので3月まで続きます。大好きな「P.A.WORKS」作品という事もあり、制作発表当時から注目してきましたので一部の方からは「いつになったら書くんだ?」と言われてきましたが、このタイミングだからこそ想うことを
自分なりの書き方で表現してみたいと思います。
このPVからも分かるように、基本的には「とある小さな港町を舞台としたド直球な青春ラブストーリー」です。恐らく能登半島の見附島あたりが舞台参考になっていると思われますが、P.A.WORKSらしい綺麗な映像に引き込まれます。
イメージソングであるRayさんの『凪-nagi-』が清々しく、とってもイメージに合っていますよね。音楽製作は最近ランティスが多かったのですが、今回はジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメントなので起用されたのも納得です。
この曲はRayさんのアルバムに先行収録されているのですが主題歌は別に存在し、本編には使用されていません。こういうパターンも珍しいのではないでしょうか?
OP曲『lull ~そして僕らは~』は主人公「光」の「まなか」に対する想いを歌ったものと思われます。不器用ながらも自由に駆け回る「まなか」の幸せだけを願い、自分の気持ちを押し殺してでも守りたい、今の関係を壊したくないというもどかしさと、それでも前を見て進んで行きたいという強い気持ちの葛藤との狭間、まさしく「凪」の部分の切ない感じをI'veサウンドで聴かせてくれます。
----------
この作品最大の特徴は海底の村、「汐鹿生(しおししお)」に住む「エナ」という皮膚を持って海底で普通に生活している主人公達です。決して海底のエアドーム内に住んでいるという訳ではなく、水中で陸上と同じように生活している様は物理的にどう考えたって「ありえない」状況なのでこの作品を受け入れられない方もいらっしゃるようですが、私は逆にそれこそが大事なポイントであり、この作品のメッセージ性を強めているものと感じております。よくぞこういう作品を製作してくれたと感謝しているくらいです。
海底に住む主人公達は地上に出て生活することも出来、地上に住む人間達とはこの世界で共存している訳なのですが、そこには一定のルールがあり、やがて「人種問題」が発生します。そして町並みや自然現象から、自然破壊などの「環境問題」も見て取れます。そういった社会問題を含めた世界観や揺れ動く人々の心が岡田麿里さんらしいシリーズ構成でしっかりと描かれています。
その展開はいつも想像の斜め上を走っており、毎回が最終回のようなクウィリティーで涙腺を刺激してくれます。。
そしてその一翼を担っている声優陣も素晴らしいですね。
花江夏樹さん、逢坂良太さん、石川界人さんという男性陣はこの1年で主人公を演じられるほど一気に伸びた若手です。変なイメージが付いていない分、この作品には相応しい方達だと思います。
そして 花澤香菜さん、茅野愛衣さんというどちらも私が好きな若手中堅(?)女性陣ですが、これまた適役ですよね。特に最近私が推しているかやのんですが、「めんま」「いのり」のような主人公もステキなのですが、私の中では「作品の要となる最強の脇役」という捉え方をしております。
他の作品を見ても、かやのんが演じる役の動向は作品の中で重要な役割を果たす場合が多いように感じます。そして、どの役も声や演じ方が違っており、演技の幅広さを持った注目の声優さんであります。

さて、第1クールも終盤となり、本当に最終回になってしまうのではないかという展開になっておりますが、そんな中でも私がずっと気になっていた存在である「美海ちゃん」に注目しております。
「禁断」とされている海底と地上との恋愛によって産まれた子です。
実は「禁断」とされる理由は「産まれてくる子はエナが無く、海中で生存できない」というものであり、そういった事情が「禁断=海からの追放」という掟になっているのです。かつて海を捨てて地上に移り住んだ人々との確執は確かに根強いのですが、全ては産まれて来る子の為、衰退していく海の生活を守る為なのです。
#13である程度確信したのですが、美海ちゃん目線でこの作品を見るとまた違った感覚ですが実にスッキリと物事が見えてきます。
そして恐らく第2クールは美海ちゃんが中心になるのではないかと思われます。それは成長した姿なのか・・・光たちがもし無時で冬眠したとして、同年代になっていてもおかしくないかな?と。。
第2クールのOP曲もRayさんですが『ebb and flow』というタイトル、直訳すると「干満」「盛衰」となります。もう既に「凪」から激しく揺れ動いてしまっておりますが、とにかく今後の展開が気になって仕方ない「凪のあすから」です。
----------
では、ED曲からも掘り下げてみましょう。実は私が注目しているのはこちらの曲です。
やなぎなぎ『アクアテラリウム』

『アクアテラリウム』というタイトルを知った時、「あぁ、なるほど」と思いました。私はかつて今ほど仕事が忙しくなかった頃、熱帯魚を飼育していましたのでこの言葉を知っていました。
つまり、この画像のようにひとつの水槽内で地上と水中を再現し、共存させる飼育方法です。
これは「水槽」のように閉鎖された小さな世界での出来事であり、地上、水中双方の生態系が守られつつ共存している姿。だが水中生物は決して地上に上がることが出来ないという事。そして、生物はその源である海から地上に上がる際に進化(退化)を遂げてきたことからシオシシオ達の地上への憧れや逆に水中に居続ける姿を投影しました。
歌詞にも「ここは有限の水槽」とありますが、時々町へ出る場面も単なる外の世界への憧れであり、結局は水槽内から抜け出せないのです。
ちょっと飛躍しますが、Kalafinaの『君の銀の庭』も同じように小さな箱庭の出来事ですよね。
やなぎなぎさんと言えば、独特の影のある済んだ声で切ない歌を歌うのに定評がありますが、OP曲がキラキラ光る「光」の部分を歌っているのに対し、ED曲は「影」の部分を歌っているように感じます。
これまた私の大好きな石川智晶さんによる曲がどうしようもなく切なく、幻想的な世界観を演出してくれています。恐らくシオシシオ視点だと思いますが、特に「ヒ」というコーラスなど、水中から見た空のゆらめきや漂うデトリタスが目に浮かぶようです。
地上からの「光」はまっすぐ海底まで届くことはない。音も無く、暗く静かな海底から見上げる地上はキラキラと揺らめいて見える。
主人公の「光」という名前とその役割については本当に考えさせられます。
デトリタスとは生物の死骸などが分解されたもので、大きなものはマリンスノーなどと呼ばれています。劇中では「ぬくみ雪」なるものが降ってきますが、これが滅びの道へのきっかけであるならば、何故「温み」などと表現するのであろうか?
確かに一部の生物が生きて行く為に必要な栄養源ではありますが、これはまさしく「死の灰」なのではないでしょうか?
それこそ#13で分かったのですが、降り積もったぬくみ雪なのか、それとも村を守る為の何かなのか、歌詞の通り村全体が「繭」になりましたね。この「繭」という歌詞は「心を閉ざす」「君を優しく包むように守る」という意味だと思っているのですが、もちろんその中心に居るのは「まなか」であり、TOP画像にあげたED映像はそういったこの作品の本質を表したものと思って気に入っております。
第2クールのED曲もやなぎなぎさんです。タイトルは『三つ葉の結びめ』ですが、これは幾何学的な話になってしまうのでどういう捉え方をすれば良いのか、早く聴いてみたいものです。
----------
さて、話は逸れますが「やなぎなぎ」さんと言えば「supercell」の2期を務めたヴォーカリストですよね。ギルティクラウン以降、現在の3期ヴォーカル「こゑだ」さんの曲もカッコ良く、先日発売されたアルバムはお気に入りなのですが、改めて2期もいいなぁと感じております。
どの曲も好きですが、ここではやっぱこの曲ですかね?
この時のヴォーカル名義が「nagi」でした。
という訳で、色々な意味を込めたブログタイトルでしたw
「凪のあすから」今後も期待の作品です。