
2015年4月5日(日)
川口総合文化センター リリア メインホールにて
「四月は君の嘘」フィナーレイベントが行われました。
この模様はライブ・ビューイングで全国の劇場に配信され、自分は価値感を共有できるいつもの友人と共に、スクリーンの大きなTOHOシネマズ日本橋に参加してきました。
この作品は『月刊少年マガジン』にて2011年5月号から連載され、2015年3月号の連載終了と合わせるように、2014年10月より2クールに渡ってノイタミナ枠で完結まで放送されました。
私の周囲ではアニメ化が決定した時から「これは観るべき」「まず原作を読むべき」等々話題になっておりましたが、原作を読んでいない私は徹底して予備知識を入れないままアニメの世界に没頭する道を選びました。
予告を観た瞬間、この作品は自分にとって大切な作品になるであろう予感がありました。圧倒的に美しい映像、音楽が心を繋ぐという点、旬な実力派若手豪華声優陣。何より「ノイタミナ」作品である事が普通ではない証です。
放送が終了した今、こうしてブログを書く事で自分の心にひとつのケジメを付けたいと思います。と言っても作品への想いは人それぞれです。特にこの作品は評価も様々で、かなりの温度差があります。
あくまでも自分の心を整理する為に・・・・・
書けるかな・・・・・
書けるといいな・・・・・
そう思い悩んでいたら繁忙期につき今になってしまいました。
今回はそういう内容になります。
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子供の頃、好きな漫画や小説がアニメ化されるとワクワクしたものです。
漫画や小説では書き手の表現方法、挿絵や文面からキャラの性格や声、場面を「想像」「妄想」していたものが、実際に色付いて動き、声を出してしゃべります。
アニメーションでは効果音やBGM、主題歌など「視覚」以外の情報が追加され、想像とのギャップを埋めていく為、より作り手の意思を感覚的に受け止める事が出来ます。
しかしそれは逆効果になる場合もあります。
「何かイメージと違う?」
「これは別作品だ」
想像力は人それぞれ。思い入れが強いほどにギャップが大きくなり、
元々自分勝手な思い込みなのに「否定」という思考が働きはじめます。
今にして想えばアニメは原作者が作っている訳ではありませんし、制作スタッフの価値観をアニメーションという手法で表現しているにすぎません。
違って当たり前ですし、どちらが「善」でも「悪」でもありません。当然、原作者のチェックは入っていますから、いうならば「どちらも善」なのです。それを理解した上で「アニメ化作品」は観るべきだと思います。
そこには「ネタバレ」なんて考えはありませんからね。
私が「オリジナル作品」を好きなのは、余計な予備知識が無いままタイムリーに楽しめるからです。
余計な予備知識は観る目を曇らせます。
予備知識が無ければ、1週間後の放送を楽しみに想いを巡らせることが出来ます。
つまりそれが「ネタバレ」を嫌う理由でもあります。
好きな作品ほど、先を知ってしまった瞬間に想いが冷めてしまう事もあります。
ですから、「四月は君の嘘」は最終話終了後に必要であれば原作を読もうと決めておりました。
特にこの作品は原作を完結までアニメ化すると分かっていましたし、それも過去の作品ではなく、原作が連載終了すると同時にアニメも終了するという、原作からのファンもアニメからのファンも同じく最後を迎えられる特殊な手法がとられました。
いかにもノイタミナらしく、そしてA-1 Picturesが本気で作った作品。場面設定やカット割り、陰影の使い方、劇伴、主題歌等々・・・非常に多くの情報が語り掛けてきます。それらを紐解き、作り手の意図を読み取る楽しみが多い、現代では貴重な作品なのですから。。
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さて、そんな訳なのですが、本題から脱線したようでいて実は必要な前置きでした。
よほど気に入った作品でないとBDを買わない私ですが、最終回を観終えてすぐに購入しました。(これがライブ・ビューイングになってしまった理由)
ノイタミナ作品は基本的に再放送しないというのも購入した理由ですが、地デジですら綺麗な映像だと思っていたのにBD画質の情報量による色使いは今まで気付かなかった感情も生んでくれました。特に付属CDのキャラソンは(後ほど書きますが)今までのイメージを大きく覆してくれました。。
更に特典で注目するのは原作者自ら書き下ろした公生の幼少期を描いた短編漫画「Coda」と4コマ漫画「特典はみんなの嘘」です。
ファンならば「Coda」の為だけにでも買う価値あると思いますよ。公生が4歳にして何故「あの1音」を奏でられたのか。重要な部分が描かれており、かなりヤヴァイです。

ライブ・ビューイングを申込み、忙しい中1週間でなんとか原作も読み終えました。
なるほど、やはり途中で読まなくて良かった。むしろ完結後に答え合わせの役割を果たし、結果的にループする事で色々な場面が繋がりました。
アニメーションは数話同時に制作していますので、早い段階で結末を知っていなければあそこまで素晴らしい作品にならなかったでしょう。最終話の布石になるシーンが最初から用意されていたり、あの場面・・・実はちゃんと隣に居るじゃん!みたいな発見もありました。
原作ではどう表現されていたのか、次回最終巻が楽しみです。
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既にクラシック・コンサートなど開催されていた本作品ですが、完結後のタイミングで「フィナーレイベント」と銘打つからにはきっと意味のあるものに違いないとLVにも関わらず申し込んだ訳ですが、公式で発表された出演者、内容からも期待は出来ました。
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出 演:キャスト…花江夏樹、種田梨沙、佐倉綾音、逢坂良太、早見沙織、梶 裕貴、茅野愛衣
主題歌アーティスト…Goose house、橋口洋平(wacci)、コアラモード.、7!!
クラシックアーティスト…篠原悠那、阪田知樹
ほか
音楽パートの紹介
「光るなら」Goose house
「七色シンフォニー」コアラモード.
「キラメキ-公生とかをりの演奏ver.-」橋口洋平(wacci)、篠原悠那、阪田知樹
「オレンジ(Acoustic Ver.)」7!!
「ベートーベン:ヴァイオリン・ソナタ第9番 <クロイツェル> 第1楽章」篠原悠那
「サン=サーンス:序奏とロンド・カプリチオーソ」篠原悠那、阪田知樹
「クライスラー/ラフマニノフ編:愛の悲しみ (ピアノ独奏版)」阪田知樹
「My Truth~ロンド・カプリチオーソ」宮園かをり(CV種田梨沙)
「For you~月の光が降り注ぐテラス」澤部 椿(CV佐倉綾音)
「Have a strong will~木枯らし」井川絵見(CV早見沙織)
「せのび~眠れる森の美女の“アダージョ”」相座 凪(CV茅野愛衣)
※順不同。内容は変更になる場合がございます。
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ライブやコンサートの場合、ほとんどの場合演目は伏せられておりますが、演劇やクラシックコンサート等の場合は公表されている演目を見に行くものです。
今回のように作品イベントで事前に演目が明かされているのは本作品ならでは。しかもモデルアーティストが参加されるとあって「どのような演奏をされるのか」大変興味がありました。

とりあえず聴き込んで予習してみる訳なのですが、キャラクターソングのタイトルを見て分かるように各キャラクターが劇中で演奏した曲が主体となり、(劇伴も演奏曲が基礎になっている事が多い)各キャラクターの感情や性格に合わせた現代風のテイストに見事にアレンジされた曲なのです。
歌詞も場面にリンクし、歌うにはかなり難易度が高く、それこそ感情を表に出す必要があります。
声はキャラクターに沿っていますので間違いなく「キャラソン」という訳ですが、イメージソングの域を超えた魂の叫びというか、本当にキャラクターが訴えかけてくるような説得力があり、何度聴いても飽きずに繰り返してしまいます。
あれ?男性キャラは歌わないのかな?
まぁ、後は監督とか出てきて制作秘話など聞かせてくれるとか、キャストトークで盛り上がるんだろうなと想像し当日を迎えました。
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当日は生憎の雨。。
夕方まで作品の舞台を散策しようかとも思いましたが、既に桜も散っておりますし寒い中体力を消耗したくないなぁと断念。
ならば川口まで行って物販並ぼうか?(会場も作品とは深い縁のある場所)
実は今回の物販、種類を絞って「質」重視のものばかり。そこまでして欲しいと思ったのですがパンフのみLV会場でも購入できるとの事。
本当は「Opening Ending 原画集」が欲しかったのですが、もしかしたら後日「アニプレストア」で出るかも知れないと望みをつなぎ・・・
案の定出ました。超期間限定で即完売だったそうですが本日到着しました。

OP,EDの原画を掲載した原画集。A4サイズ/フルカラー/96ページ ・表紙:PPカバー
PPカバーつまり硬質プラスチック制のカバーですが実はピンクの輪郭線とタイトルはこちらに印刷されており、外すと完成画になるという優れもの。
中身はたっぷり原画を堪能でき、余計なページは一切ありません。髪の毛1本に渡り指示の書かれたものを見ると場面を思い出し、本当に拘って作られた作品である事に納得。
これで価格2,500円(税込)は絶対に安い!
TOP画像のパンフレットは劇場で購入しましたが、表紙に新川先生描き下ろしイラスト、中面にはキャスト撮りおろし写真を使用した大きなB4サイズ、フルカラー60ページという大変内容のあるもの。
しかもキャスト写真はそれぞれ縁のある舞台で撮影されたものであり、コメントも読みごたえある内容です。価格は3,500円。開いて1分で読み終えてしまうようなヘタなライブパンフよりもよほど価値があります。
結局当日は朝から映画を1本観て銀座へ向かいました。
理由はたまごサンドとカヌレを食べたかっただけですけどね。。
銀座でたまごサンドと言えばすぐに分かる某喫茶店のものですが、トロトロのオムレツのようでいて流れ出さない絶妙な固さの卵がサンドされており、本当においしかった♪
カヌレは某有名フランス人オーナーのお店のもの。かなり久しぶりに食べたカヌレでしたが、ここまで美味しいものは初めてです。未だに毎日焼いている理由が分かります。
と、恒例の儀式(?)を済ませて歩いて日本橋へ向かいました。
行ってみて分かったのですが、一番大きなスクリーンは別のLVが入っていたのですね。異様な方々が多かった訳です。。
しかし空席があったようで、逆に心配していたこちらは完売でした。
入場してみると女性率の高さに驚きました。聴こえてくる会話から推測するに、ライブなどへは行ったことがなく、LVだからこそ来られた感じの方が多かったですね。
しかし・・・・・
映画じゃないんだからポップコーン食べるのやめて欲しいなぁ。。。
カヌレにしようよ。。。w
ま、それは仕方のないこと。自分は会場に居る気持ちで臨みました。
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定刻を過ぎ・・・スクリーンにはイベントタイトルが表示されたまま時は過ぎ・・・
普通なら現地の様子が映っているものですが、何だか様子がおかしい??
こういう時にtwitterは役立ちますね。どうやら開始が遅れているようです。
既に15分経過。ようやく現地の様子が映し出され、30分遅れで開始予定との事。
・・・いや、これって今開場したばかりでしょ??間に合うの??
心配なのはLVの場合あまり遅くなると途中で終了してしまう可能性がある。。
何とか30分遅れで始まりました。何とかなるもんですね。。
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内容そのものには詳しく触れません。実際に行かれた方の特権ですし、言葉で伝わるものではありませんので。。(*既に時間が経っているので記憶が曖昧な部分有り。)
プロローグ的に映像が流れます。アニメ冒頭の部分ですね。
最初のアーティスト登場!
当然前期OP「光るなら」だと思っていたのですが、まさかの後期OP「七色シンフォニー」でした。
これが後に大きな意味を持ってくる前兆だったとは・・・・・
普通であれば誰かしらが登場して進行するところですが、再び映像に入ります。
ここからが、このイベントの真骨頂でした。
「かをりの手紙」生朗読です。
終始、手紙に沿ってディレクターズカットされた総集編と共にキャストが生朗読、演奏部分はモデルアーティストによる生演奏。途中でキャラソンや主題歌を交え、2時間を超える大掛かりなものになりました。
前段に書いたように、キャラソンは場面の一部にはめ込まれ、単独で朗読している途中から前奏が始まり、そのまま歌に入るというもの。こうして聴くと本当に内容のある、単なるイメージソングでなかった事が裏付けられます。
主題歌はそもそも作品世界を現すもの。ストーリーの流れから最初は「七色シンフォニー」で良かったと思えました。
そして場面と共に 「オレンジ(Acoustic Ver.)」「キラメキ-公生とかをりの演奏ver.-」と、正にアニメのあの場面そのものだったのです。
最後に出演者全員からの挨拶があり、締めは「光るなら」でした。そして最後の最後に会場も一体となって全員で「光るなら」を歌って終了しました。
作品のイベントは自分もたまに行きますし、たくさんレポートしてくれる友人が居ますのでイメージ的にはキャストトークやゲームで盛り上がり、ライブパートは切り離されているものが多いと思われます。
しかし本イベントでは余計なものは一切無し!一貫して「かをりの手紙」を中心とした生朗読、生演奏だったのは好感が持てますし、不満に感じた方はいらっしゃらなかったと思っています。
生朗読って技術が無いと出来ないと思っています。やり直しは出来ませんし、何度か録って良いものを使うなんて出来ません。
最初に「旬な実力派若手豪華声優陣」と書いたのはここです。人気があっても実力が伴わない方ってたくさん居ると思うのですが、そういう方にはこの作品を演じることは出来なかったでしょう。
激しく揺れ動く感情、色付いた感情はもとより、幼少期、ナレーションまでも場面に応じて瞬時に切り替えられる才能には本当に驚きました。録音を重ねれば簡単ですが「生」でやってのけるとは・・・・・
だからこういうイベントが成り立つのですね。
そしてもうひとつの注目だった生演奏。
作中では演奏でキャラを演じている訳ですから、感情に合わせた演奏をするのかな?と思っていました。
しかし途中で演奏を止めたり、音色を変えたりする事なくしっかり聴かせてくれました。自分も音楽をかじっていた者として当然のことと思います。舞台でそれをやってはいけません。これまた好感の持てるものでした。
アニメーションではモデルアーティスト2人が演奏する姿を実際にトレースして動画に落とし込んでいます。
ここはイシグロ監督も拘ったところで、ただでさえ楽器の作画は難しいのに動きにリアリティーを出す作業は通常の数倍も苦労したそうです。
原画集に書き込まれた指示を見ても分かりますが、こういう拘りの積み重ねが観ている我々の心を突き動かしてくれたのです。
ですから徹底的に「生」に拘ったイベント、しかも最終回直後にこの内容でやることの意味、リアリティーを追及し、作品を大切にしているからに他ならないと思います。
ライブイベントとはこうであるべきなのかも知れません。
初監督作品なのにこんなに難易度の高い作品をここまで仕上げて下さったイシグロキョウヘイ監督に感謝ですね。奥様がキャラデザを担当されたのも成功の要因かも知れませんね(^^
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最後に感想などを書こうと思いましたが、人それぞれの想いを邪魔したくないのでやめておきます。
「光るなら」を最後に持ってきた理由、「君」とは「かをり」ではなく「公生」の事だったとしたら?とか、ここに書いても仕方ありませんからね。。
ですがひとつだけ。
実は 種田梨沙さんが最後の挨拶の時にこんな内容の事を口にされました。
「かをりちゃんの一生を演じさせていただく事ができて本当に幸せでした。」
公生が中心に居て、誰もが公生に影響を受け、そんな皆が公生に影響を与えて行くループが成り立つ筋書だと思っていましたが、確かに「かをりの一生」を描いた作品とも言えますね。もう一度観直すと、色々な場面でそれが裏付けられます。
布石は数多く散りばめられていました。
アニメーションという日本が世界に誇る技術は楽しみ方によって全く捉え方が変わります。自分は自分なりに、これからも作品を紐解いて楽しみたいと改めて思わせてくれる作品でした。
そんな自分に興味を持ち、お付き合いくださる皆様にも改めて感謝いたします。