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2012年03月04日

戦艦大和戦闘詳報(岩本徹三記録検証番外編①)

戦艦大和戦闘詳報(岩本徹三記録検証番外編①) ※本来は岩本徹三中尉の記録紹介とすべき所ですが、岩本記録の検証過程で調べた戦艦大和戦闘詳報が印象的だったので、別項目として紹介します。正直、アジア資料センターの防衛研究所の記録は航空隊の戦闘詳報ばかり見ていたので、軍艦の戦闘詳報はじっくり見ていませんでした。例によってオタクな記述であり、自分の「妄想ノート」ですので、興味の無い方はスルーしてください。

岩本徹三中尉の記録を調べていますが、昭和20年4月7日の記録に「大和からの敵艦載機40・50機来襲の報に接し、直ちに出撃したが、坊の岬260度100㌔付近に駆けつけたが既に大和の姿は無く、F4Uが40・50機旋回していた。大和の供養にF4U3機撃墜した」とあります。岩本氏が大和からの救援要請を元に大和救援に出撃したのなら、大和の戦闘詳報を調べる必要があります。アジア歴史資料センターのHPにアクセスした所、「軍艦大和戦闘詳報」が公開されていましたので、ダウンロードして調べてみました。



最初に思った素朴な疑問「沈んだ戦艦大和の戦闘詳報って誰が書いたのだろう?」軍艦の戦闘詳報は一兵卒に書ける物ではありません。必ずその艦の幹部が書いた筈ですが、大和艦長の有賀幸作大佐は沈没時に戦死されています。最初は有賀艦長の前の艦長であり、大和からの生還者で最高位の第二艦隊参謀長であった森村信衛少将が書いたのかな?とも思ったのですが、第二艦隊の森村参謀長が軍艦大和の戦闘詳報を書いたとするには職制上無理があります。とすると、やはり艦長以外の大和の幹部が書いたとするのが自然です。そう思いながら、よくよく戦闘詳報表紙を見てみると、何の事は無い、不鮮明ながら右下に副長と書いてありました。戦闘詳報を書いたのは生還した副長能村次郎大佐のようです。日付は昭和20年4月20日、5月9日提出となっていました。



表紙含めて全13ページの戦闘詳報中、印象的な部分は戦果と被害について、戦果 撃墜3機、撃破20機。被害 沈没、戦死艦長以下2,49?名)とあります。坊ノ岬沖海戦時の米海軍損害は撃墜10機、戦死12名であったと言われていますが、レイテ沖海戦以降、戦艦大和には96式25㎜機銃の大幅な増設が行われました。それこそ針鼠のような姿になっていましたが、それにもかかわらす戦果がたった撃墜3機とは!大和だけでも2,500名(戦死者の数は資料により異なります)もの戦死者を出した対価としては暗澹たる思いがします。



機銃については興味深い記述があります。紹介しますと、(原文のカタカナはひらがなに、漢字を旧字体から新字に修正してあります)
「機銃角度式照準器は極めて有効なりと認む 今次戦斗においては視界不良転舵傾斜等により確認せし撃墜機数は多からざりしも従来の照準器に比し射弾の精度良好にして良く集中せり 本艦は本照準器に換装し約3箇月の訓練を実施せり」
照準器に関してはレイテ海戦以降、新型に換装して効果があったようです。しかしながら
「従動照準装置付機銃は照準装置と機銃との距離大なる時は集中角修正装置を是非とも必要とす 機銃射撃精度良好なりしにも拘らず撃墜機数の少なき一つの理由は敵機に対する照準装置との集中角修正不適切なるに因るものと認む 多数機同時来襲の時機械的自動調整装置なくして之を其の都度指揮官の目測にて転頭調定輪にて修正することは実施不可能なり 集束弾の中心を目標に導き得ざれば多数の命中弾を得ざることは自明の理なり」
とあります。大和に装備されていた25㎜3連装機銃は旋回と仰角を別々の機銃員がハンドルで操作するので、高速で移動する敵機には余程息が合わないと命中は難しかったでしょう。



結局射撃管制装置も無い3連装機銃はあまり有効で無かった事が伺われます。むしろ、一人で操作出来る単装式の25㎜機銃を多数装備した方が効果的であったように思います。米海軍も特攻機対策に単装式エリコン20㎜機銃を艦に多数装備していました。また、別の記述では



「連装機銃は艦の転舵被害等により10度乃至20度するとも旋回円滑なしむる如く機構改善の要切なるものあり 艦船の爆撃回避は砲力発揮を考慮することなく高速に依るを可とするは従来の戦訓にも明らかなり 但し転舵中砲力発揮に関しては最善の努力を持つべく之が根本問題は傾斜中に於いても照準容易ならしむるにあり 之が為旋動部に横転輪と共に縦転輪をも挿入する要ありと認む」
とあります。艦が転舵や被雷によるした傾斜が増大した際、3連装機銃はかなり重量がありますので、歪で旋回不能となった事が分かります。また、米海軍機については



「敵機は被弾防火対策は完全に近きものと認めらる 我が方機銃弾は相当命中し、命中により火を発するもの多数ありしも間もなく消火し、撃墜にするに至らざりしもの極めて多かりき」と記されています。日本軍機とは異なり、防弾や自動消火装置が充実した米軍機は被弾して火を噴いても、自動消火装置が働いて消火に成功していたようです。25㎜機銃は決して機関砲としては世界水準から極端に性能が劣るわけではありませんでしたが、相手が防弾強固な米軍機では威力不足であったようです。戦艦武蔵艦長の猪口敏平少将も遺書に
「機銃はもう少し威力を大にせねばと思う。命中したものがあったにもかかわらず、なかなか落ちざりき。…申し訳なきは対空射撃の威力をじゅうぶん発揮し得ざりし事。」
と記しています。レイテ海戦から半年後の大和沈没の際も同じ光景が繰り返されていた事になります。その点からも、日本海軍はボフォース40㎜機関砲かラインメタル37㎜機関砲を採用すべきだったのでしょう。能村副長の無念さが見えるようです。



大和の対空戦闘の実際の様子は解りませんが、レイテ沖海戦の軽巡大淀の25㎜3連装機銃の対空戦闘の様子が日本ニュース第232号に残されています。時間では2:07と3:53付近です。同じ機関砲ですので、対空戦闘の光景は近い物であったと思います。(しかし日本ニュースの映像もいつでもインターネットで見られる時代になったのですね、昔はNHKの特番で一部が見れるくらいでしたが)

ちなみに写真は呉大和ミュージアムの10分の一大和模型、映画「男たちの大和」のセットと、赤さびの機銃はサイパン空港の近くに放置されていた25㎜連装機銃です。
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Posted at 2012/03/04 20:35:03

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