
航空自衛隊のF4戦闘機の後継がF35、FA18、ユーロファイターの3機種から選定されるそうです。50年近く前のベトナム戦争の頃のアメリカ空軍・海軍の主力であったF4の性能陳腐化は著しく、早急な更新が不可欠です。アメリカ製のF35が最有力候補とされていますが、個人的にはF35という機体には疑問をもっています。そもそもアメリカ空軍はF15の後継としてF22を主力とするつもりでしたが、あまりに高価(2億5000万ドル)になり過ぎたため、187機で生産が打ち切られました。そのため、それよりは安価なF35が開発中なのですが、安価といっても結局開発が遅れ単価も高騰し、現在一機あたり1億5000万ドル(日本円で120億)くらいだそうです。今日の報道ではアメリカ国防省の高官が「F35の機体に亀裂が見つかり、原因究明のために生産を遅らせるべき」との発言があったと伝えられました。
開発の遅れを除外し、純粋に性能だけを考慮してもF4の後継機としてF35はふさわしくないと思います。まず、この3機種の中で最高速度がM1.7と最も遅くF4のM2.2より劣ります。フォークランド紛争にも見られる通り(イギリス海軍のハリアーがアルゼンチン空軍のミラージュⅢに圧勝)、現在の航空戦においては空対空ミサイルの性能が重要で、速度は必ずしも空中戦において有利と言う訳ではありません。しかし、スクランブルと言う空自戦闘機の日常任務を考えると、国籍不明機が侵入した空域に速やかに駆けつける必要があります。速度は空自戦闘機にとって重視しなければならないと思います。また、同様の問題で航続距離もあります。F35は航続距離もこの3機種で最低です。日本の国土は狭いですが、島嶼地域を含めるとカバーしなければならない防空識別圏内は結構広いです。それを少ない機数の戦闘機でカバーしなければならないのですから、絶対に足が長い戦闘機でなければなりせん。確かに空戦性能はF35が一番上ですが、空自の戦闘機が連日他国の戦闘機と空中戦を行う事態になると言うなら話は別ですが。空自の50年の歴史の中で、空中戦における撃墜はゼロで(誤射で味方機を撃墜した事はありますが)、実弾を任務で発射したのは警告射撃1度(昭和62年沖縄を領空侵犯したソ連空軍ツポレフTu16に対して)のみです。また、FA18も原型初飛行は1978年と古く、配備した時は既に旧式機となっている可能性が大です。個人的にはユーロファイターが最適だと思うのですが。ユーロファイターであれば、空対艦ミサイルも最大6発搭載出来るので松島基地で津波を被って使用不能となった18機のF2の代替も十分可能です。F2の追加生産がアメリカ側の生産ラインが既に閉じられていて不可能な現在、考慮に値すると思います。FSXの時のように、アメリカに遠慮して変な判断を下さないで欲しい物です。F2はF16をベースに開発されましたが、アメリカに支払ったライセンス料が1機47億円もして、結局1機総額120億と当時最も高い戦闘機となってしまいました。いずれにせよ、空自のF4の一号機導入から40年、最終号機からも既に30年であり、一刻も早い更新が必要です。年内には結論を出すとのことですが、どうなりますことやら。写真は今年の築城基地航空祭のF2です。自分は母の看病で行けませんでしたが、会社の人から写真のデータを貰いました。
Posted at 2011/12/03 20:18:20 | |
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