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◇画太郎◇のブログ一覧

2026年10月27日 イイね!

天崩れ落つる日/諸星大二郎

天崩れ落つる日/諸星大二郎1997年、集英社のジャンプ・スーパーエースで刊行。
1970年代後半~1980年代前半のゼピッタシリーズと怒々山博士シリーズがいつまでたっても単行本にするほど作品が溜まらなかったので、ふたつのシリーズと他に同時期の短編を合わせて刊行したもの。

ゼピッタシリーズも怒々山博士シリーズも、軽いタッチのスラップスティックコメディで、いい意味であまり諸星大二郎「らしくない」感があるが、そのなかにもしっかり諸星大二郎らしい切り口の鋭さは潜んでいる。

タイトル作の『天崩れ落つる日』はゼピッタシリーズの一編。
気ままな旅を続ける明るくエッチな女の子ゼピッタが行く先々で奇妙な生活を営んでいる人たちと交流するが、巨大な岩が今にも落ちてきそうな崖のふもとにわざわざ人が住んでいる町に立ち寄る。
町の住人も落石が気になってしかたないんだが「石は落っこちないよ」と断言するインチキ教祖にすがって無理やりに安心している。
まぁここまで極端じゃなくても似たような状況の人たちというのは実際たまに見かけるよねー…、と読んでて思ったりする。
Posted at 2026/10/27 23:23:26 | コメント(0) | トラックバック(0) | 漫画 | 趣味
2026年10月19日 イイね!

のび太と鉄人兵団/藤子不二雄

のび太と鉄人兵団/藤子不二雄藤子不二雄はもともと手塚治虫の影響が強く、デビュー直前・直後はSF作品を多く描いていた。
1953年にオルダス・ハクスリー『すばらしい新世界』に触発された『UTOPIA 最後の世界大戦』を鶴書房で刊行したが、この単行本は現在、手塚治虫『新宝島』と並んで日本で最も高い買取相場となっている書籍で、買取相場は300万円前後である。

その後、藤子不二雄は生活ギャグ路線を定着させたが、長い年月にわたって目先の仕事に忙殺され、また人気を落とし連載を失うことへの恐怖感から、従来の路線を大きく外れるようなことはしなかった。
『大長編ドラえもん』はそうしたなかで『ドラえもん』が大ヒットしたことにより、デビュー当初にやりたかったことに立ち返ることが許されたなかで成立したもののような気がしている。
…というわけで、基本的にSF色が強い。

スティーヴン・スピルバーグは製作会社から「宇宙人が地球に攻めてきてパニックになるが、立ち向かう地球人」というシナリオを渡され「ウケるか、こんなもん」と頭を抱えていたが、たまたま『のび太の恐竜』を観て(本命は同時上映の『モスラVSゴジラ』だった)「コレよ、コレ」と『E.T.』の構想を閃いたといわれる。
ちなみに『のび太の恐竜』はジョイ・アダムソン『野生のエルザ』をモチーフにしている。

『のび太と鉄人兵団』は大長編ドラえもん7作目で、1985年発表。
大長編ドラえもんのなかでも、とりわけSF色が強い。
宇宙のなかで人間と同じような過程で進化していったロボットが人間を奴隷とするため地球に侵攻する…という、一見陳腐な内容だが、それまでに積み上げてきた藤子不二雄の世界観が凝縮されていておもしろい。

敵であるロボットのうち、2体は地球の味方になる。
1体はザンダクロス、人間には未知の物質とテクノロジーで構成されたロボットを人間の味方として制御するという、SF好きならそそる存在。
もう1体がリルルっていうんだけどねー…。



「愛国心」とか帰属意識って何?自分の国が間違っているという信念を持ってしまった人間(リルルはロボットだけど)はそれでも国のために生きるべきなのか、個人として正しいと思う道を進むべきなのか、という『史記』の李陵にも通じる「国家と個人」の問題を扱っていて興味深い。
Posted at 2026/10/19 20:10:18 | コメント(0) | トラックバック(0) | 漫画 | 趣味
2026年09月27日 イイね!

地獄の戦士/諸星大二郎

地獄の戦士/諸星大二郎1981年、表題作『地獄の戦士』を含む6編が収録され、ヤングジャンプコミックスから発行された短編集。

近年AIが近い将来脅威となるのでは、ということが取りざたされるが『地獄の戦士』作中では人間の数が減少し、それを補うために人間の大量のクローンが人工知能によって培養されて人間社会に増殖している未来が描かれる。

諸星大二郎はすごいなぁ、と思うんだが、人間と人工知能が対立して未来が絶望的な戦場になっていることが描かれる作品は多いなか、この世界では従来の人間と人工知能によってつくられていく大多数のクローンたちはもはや対立すらしない。
人間の命とか人間の価値がものすごく希薄、というか無いも同然になっているからである。

主人公の青年たちは殺人、強盗など悪事の限りを尽くすが、それに対して周囲はまるで無反応で無感動、「好きにやりなさい」といった調子である。
主人公たちの行動は悪事にまるで手応えがないことからイラだちが募りエスカレートしてゆく。
そしてラスト、自分たちが真実を知らない本来の純粋さを残した人間たちであって、とっくの昔から地獄と化していた世界に住み、その地獄でまだ曲がりなりにも人間らしく過ごしていた存在だったことに気づく。
Posted at 2026/09/27 07:10:37 | コメント(0) | トラックバック(0) | 漫画 | 趣味
2026年09月26日 イイね!

ドラえもん/藤子不二雄

ドラえもん/藤子不二雄藤子不二雄は共同名義だった頃からほとんどの作品で藤子・F・不二雄と藤子不二雄Ⓐがそれぞれ単独で作品を執筆していたが、これは藤子・F・不二雄の作品。

1969年~1997年にかけて発表された。
藤子・F・不二雄の作品執筆中の死によって終了している。

『ドラえもん』連載前まではどちらかというと藤子不二雄Ⓐがヒット作に恵まれ、作風も少年誌から青年誌にも対応し幅を広げることにも成功していたのに対して、藤子・F・不二雄のほうは作品がマンネリ化し、やや低迷していた。
難産の『ドラえもん』が1979年にテレ朝でアニメ化されて以降、爆発的にヒットし莫大な収入を得たことが、1989年、体調面に不安を抱えていた藤子・F・不二雄が死後に残される家族を案じて共同名義の解消を藤子不二雄Ⓐに提案するきっかけとなった。

『ドラえもん』といえば現在まで続くテレ朝の看板番組だが、実はそれ以前、1973年に半年ほど日テレ系列でアニメ化された時期があった。
このときの『ドラえもん』は当初ドラえもんの声がべらんめえ口調の江戸弁のおっさんであり、現在黒歴史として単行本にも一切登場しないドラえもんのライバルロボットが出演していた。
日テレ版は途中からドラえもんの声優がおっさんから野沢雅子に変更されて強烈な違和感を視聴者の少年少女に引きおこしたらしい。
話はそれるが、1978年のドラマ『西遊記』がイギリスで放送された際、三蔵法師に性的魅力を感じてしまい「おれってゲイかも」と悩む少年が続出した。
日本ではこのドラマ、三蔵法師が夏目雅子で当然女だよね、と思って観ているが、おそらくイギリスでは三蔵法師の吹き替えを男が演じたのでこのような現象が起きてしまったんだと思う。
自身のジェンダーで悩んだ当時のイギリスの少年たちが「おれ、あのとき全然おかしくなかったんだ!」と気づくのはインターネット普及後である。

さて、オトナになって35年ぶりくらいに『ドラえもん』全巻読み返すと、オトナ目線で見るとのび太ってすごいとまでは言わないけど、なかなか見どころのある少年では、と感じてしまう。
実際、オトナになってから接する「のび太っぽい人」というのは、私の周りだけかもしれないが人格面で不思議と一目置かれていることが多い。





なんでかというと、のび太がしずかちゃんと将来結婚できるのか心配になってドラえもんとタイムマシンで結婚式前夜を見に行くシーンがあるんだが、このときのしずかちゃんのパパによるのび太評が的確に物語ってる感じかなぁ…。
確かになかなかわかっててもこうはなれないんだよ。

深読みするとのび太ってのは藤子・F・不二雄自身の少年時代を反映させていると本人が語っている記事を見かけたことがあるから、そりゃまぁ見どころはあって当然かもねと思ったり。
Posted at 2026/09/26 20:58:14 | コメント(0) | トラックバック(0) | 漫画 | 趣味
2026年06月21日 イイね!

フイチン再見!/村上もとか

フイチン再見!/村上もとか『ビッグコミックオリジナル』に2013年~2017年にかけて連載された。

おもに1950年代~1960年代にかけての漫画黎明期に活躍し、2008年に亡くなる前日まで連載を続けていた女流漫画家・上田トシコの生涯を追う内容。

1957年~1962年にかけて『少女クラブ』に連載され、ハルピン(幼少期、また戦時中の本格的に漫画家となる以前を上田トシコはハルピンで過ごした)を舞台に中国人のお転婆少女の活躍を描く『フイチンさん』は少年時代の村上もとかに影響を与え、彼がのちに漫画家となるきっかけとなった。

まず、戦前~戦中~戦後の激動の時代にかけて、当初男性社会だった漫画家という仕事の女性としての先駆者だった上田トシコの、ひとりの人間としての生涯を描いた内容としておもしろい。

次に、戦後に急速に発展していった少年漫画の旗手として、手塚治虫、ちばてつや、赤塚不二夫ら、さらに上田トシコの次世代の少女漫画家として池田理代子、萩尾望都らが実名で登場し、上田トシコをからめた当時の人間模様が描かれ、『戦後漫画史』として価値が高い。

さらに、そのなかで戦前~戦中~戦後の日本の風俗の変遷のありよう、諸外国とのかかわりと、人々の生活の移ろいが描かれ、もっと大きな視点での『昭和史』としてみてもすぐれた出来ばえとなっている。
Posted at 2026/06/21 07:58:15 | コメント(0) | トラックバック(0) | 漫画 | 趣味

プロフィール

「KOKIA。
芸名は本名の亜紀子をローマ字にして逆さ読みにしたもの。
アニメやゲームへの曲の提供が多い。」
何シテル?   09/02 19:37
おもしろきこともなき世をおもしろく-高杉晋作
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