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◇画太郎◇のブログ一覧

2026年09月27日 イイね!

地獄の戦士/諸星大二郎

地獄の戦士/諸星大二郎1981年、表題作『地獄の戦士』を含む6編が収録され、ヤングジャンプコミックスから発行された短編集。

近年AIが近い将来脅威となるのでは、ということが取りざたされるが『地獄の戦士』作中では人間の数が減少し、それを補うために人間の大量のクローンが人工知能によって培養されて人間社会に増殖している未来が描かれる。

諸星大二郎はすごいなぁ、と思うんだが、人間と人工知能が対立して未来が絶望的な戦場になっていることが描かれる作品は多いなか、この世界では従来の人間と人工知能によってつくられていく大多数のクローンたちはもはや対立すらしない。
人間の命とか人間の価値がものすごく希薄、というか無いも同然になっているからである。

主人公の青年たちは殺人、強盗など悪事の限りを尽くすが、それに対して周囲はまるで無反応で無感動、「好きにやりなさい」といった調子である。
主人公たちの行動は悪事にまるで手応えがないことからイラだちが募りエスカレートしてゆく。
そしてラスト、自分たちが真実を知らない本来の純粋さを残した人間たちであって、とっくの昔から地獄と化していた世界に住み、その地獄でまだ曲がりなりにも人間らしく過ごしていた存在だったことに気づく。
Posted at 2026/09/27 07:10:37 | コメント(0) | トラックバック(0) | 漫画 | 趣味
2026年09月26日 イイね!

ドラえもん/藤子不二雄

ドラえもん/藤子不二雄藤子不二雄は共同名義だった頃からほとんどの作品で藤子・F・不二雄と藤子不二雄Ⓐがそれぞれ単独で作品を執筆していたが、これは藤子・F・不二雄の作品。

1969年~1997年にかけて発表された。
藤子・F・不二雄の作品執筆中の死によって終了している。

『ドラえもん』連載前まではどちらかというと藤子不二雄Ⓐがヒット作に恵まれ、作風も少年誌から青年誌にも対応し幅を広げることにも成功していたのに対して、藤子・F・不二雄のほうは作品がマンネリ化し、やや低迷していた。
難産の『ドラえもん』が1979年にテレ朝でアニメ化されて以降、爆発的にヒットし莫大な収入を得たことが、1989年、体調面に不安を抱えていた藤子・F・不二雄が死後に残される家族を案じて共同名義の解消を藤子不二雄Ⓐに提案するきっかけとなった。

『ドラえもん』といえば現在まで続くテレ朝の看板番組だが、実はそれ以前、1973年に半年ほど日テレ系列でアニメ化された時期があった。
このときの『ドラえもん』は当初ドラえもんの声がべらんめえ口調の江戸弁のおっさんであり、現在黒歴史として単行本にも一切登場しないドラえもんのライバルロボットが出演していた。
日テレ版は途中からドラえもんの声優がおっさんから野沢雅子に変更されて強烈な違和感を視聴者の少年少女に引きおこしたらしい。
話はそれるが、1978年のドラマ『西遊記』がイギリスで放送された際、三蔵法師に性的魅力を感じてしまい「おれってゲイかも」と悩む少年が続出した。
日本ではこのドラマ、三蔵法師が夏目雅子で当然女だよね、と思って観ているが、おそらくイギリスでは三蔵法師の吹き替えを男が演じたのでこのような現象が起きてしまったんだと思う。
自身のジェンダーで悩んだ当時のイギリスの少年たちが「おれ、あのとき全然おかしくなかったんだ!」と気づくのはインターネット普及後である。

さて、オトナになって35年ぶりくらいに『ドラえもん』全巻読み返すと、オトナ目線で見るとのび太ってすごいとまでは言わないけど、なかなか見どころのある少年では、と感じてしまう。
実際、オトナになってから接する「のび太っぽい人」というのは、私の周りだけかもしれないが人格面で不思議と一目置かれていることが多い。





なんでかというと、のび太がしずかちゃんと将来結婚できるのか心配になってドラえもんとタイムマシンで結婚式前夜を見に行くシーンがあるんだが、このときのしずかちゃんのパパによるのび太評が的確に物語ってる感じかなぁ…。
確かになかなかわかっててもこうはなれないんだよ。

深読みするとのび太ってのは藤子・F・不二雄自身の少年時代を反映させていると本人が語っている記事を見かけたことがあるから、そりゃまぁ見どころはあって当然かもねと思ったり。
Posted at 2026/09/26 20:58:14 | コメント(0) | トラックバック(0) | 漫画 | 趣味
2026年06月21日 イイね!

フイチン再見!/村上もとか

フイチン再見!/村上もとか『ビッグコミックオリジナル』に2013年~2017年にかけて連載された。

おもに1950年代~1960年代にかけての漫画黎明期に活躍し、2008年に亡くなる前日まで連載を続けていた女流漫画家・上田トシコの生涯を追う内容。

1957年~1962年にかけて『少女クラブ』に連載され、ハルピン(幼少期、また戦時中の本格的に漫画家となる以前を上田トシコはハルピンで過ごした)を舞台に中国人のお転婆少女の活躍を描く『フイチンさん』は少年時代の村上もとかに影響を与え、彼がのちに漫画家となるきっかけとなった。

まず、戦前~戦中~戦後の激動の時代にかけて、当初男性社会だった漫画家という仕事の女性としての先駆者だった上田トシコの、ひとりの人間としての生涯を描いた内容としておもしろい。

次に、戦後に急速に発展していった少年漫画の旗手として、手塚治虫、ちばてつや、赤塚不二夫ら、さらに上田トシコの次世代の少女漫画家として池田理代子、萩尾望都らが実名で登場し、上田トシコをからめた当時の人間模様が描かれ、『戦後漫画史』として価値が高い。

さらに、そのなかで戦前~戦中~戦後の日本の風俗の変遷のありよう、諸外国とのかかわりと、人々の生活の移ろいが描かれ、もっと大きな視点での『昭和史』としてみてもすぐれた出来ばえとなっている。
Posted at 2026/06/21 07:58:15 | コメント(0) | トラックバック(0) | 漫画 | 趣味
2026年05月23日 イイね!

まんが道/藤子不二雄

まんが道/藤子不二雄藤子不二雄は藤本弘(藤子・F・不二雄)と安孫子素雄(藤子不二雄Ⓐ)の共同ペンネーム。

1951年~1988年までコンビで活動。ただし合作はほぼ初期の頃で、基本的に作品は別々に描いている。
藤本は「白い藤子」、安孫子は「黒い藤子」と呼ばれ、藤本作品は描線が丸く画面が白い、安孫子作品は描線が角ばって画面がベタ多用で黒いため、少し慣れるとどちらがどちらの作品かすぐわかるようになる。

1988年のコンビ解消後、藤本は1996年まで活動、安孫子は2022年まで活動。

『まんが道』は藤子不二雄Ⓐの作品で、中央公論社・藤子不二雄ランド版は全23巻、「あすなろ編」「立志編」「青雲編」を収録している。
「あすなろ編」は1970年~1972年『週刊少年チャンピオン』に連載、「立志編」「青雲編」は1977年~1982年『週刊少年キング』に連載された。
以降「春雷編」「愛…しりそめし頃に…」と通算43年かけて執筆され、藤子不二雄Ⓐのライフワークとなった。

藤子不二雄コンビの自伝的内容だが、少年漫画としてのおもしろさを重視し、創作や脚色も多い。
作者いわく「実話7割、フィクション3割」。
特に初期の頃はフィクション性が強かったが、掲載誌の変遷に伴って次第に自伝的性格を強めていった。
中央公論社・藤子不二雄ランド版は、大まかにいうと、前半がふたりの富山での学生時代、後半が有名なトキワ荘時代。

内向的で悩みが多いが純粋な安孫子が、ひょうひょうとした天才肌の藤本と出会うところから物語がスタートする。
安孫子が藤本に友人・漫画家として畏敬の念を抱いているところから、作中ではなんでもそつなくこなす藤本に対して安孫子はなにかと不器用に描かれるが、実際は安孫子が外交的な性格だったことに較べて藤本はうちにこもるタイプだったらしい。
作中でも高校卒業後、地元の新聞社でなんだかんだ2年程度勤めた安孫子に対して、藤本は1日で会社を辞めている描写がある。

トキワ荘時代の先輩・寺田ヒロオは当時劇的に少年漫画が変わっていくなか、旧来の漫画にこだわる姿勢を崩さず、しだいに孤立を深めるいっぽうで独善的な他者攻撃など奇行も多くなり、1973年には漫画家を完全に引退したが、この漫画では藤子不二雄の運命を左右する非常に面倒見のいい頼れる先輩として描かれている。
このエピソードはながい『まんが道』のほんの一部に過ぎないが、少年に向けてメッセージ性の強かった藤子不二雄ふたりの思想が現れている部分だとも思う。
Posted at 2026/05/23 23:55:35 | コメント(0) | トラックバック(0) | 漫画 | 趣味
2026年05月02日 イイね!

40周年記念 コボちゃん傑作選/植田まさし

40周年記念 コボちゃん傑作選/植田まさし読売新聞に1982年~現在に至るまで連載中の四コマ漫画。
40周年の2022年に中央公論社より傑作選が刊行された。

作者の植田まさしは『コボちゃん』以外にも、だいたい同時期から『かりあげクン』『フリテンくん』を長期連載している。
漫画は完全に独学だが、1980年代の時流に乗ってヒットした。
1990年代以降、吉田戦車の不条理ギャグ、2000年代以降、あずまきよひこの萌え四コマが流行するが、まるで影響を受けずマイペースな活動で人気を得続けている。

『コボちゃん』に関しては、毎日午後、自宅にバイク便が来るまでに原稿を仕上げるルーティーンを40年以上続けている。
新聞の四コマだが、時事問題はあまり扱わないという特徴がある。
…が、ここに掲載された40年分を通しで読むと、それなりに現在までの世相の移り変わりを感じておもしろい。

『かりあげクン』『フリテンくん』と較べると意識的に毒がないように心がけてるらしいが、『コボちゃん』の同人(?)活動であるコボコラは尖っていておもしろい。



↑コボコラ
Posted at 2026/05/02 20:31:43 | コメント(0) | トラックバック(0) | 漫画 | 趣味

プロフィール

「KOKIA。
芸名は本名の亜紀子をローマ字にして逆さ読みにしたもの。
アニメやゲームへの曲の提供が多い。」
何シテル?   09/02 19:37
おもしろきこともなき世をおもしろく-高杉晋作
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