
もう3年近く前の話ですが、サブプライムローン問題の後のリーマンショックで不動産業界がとどめを刺されたため、一時、職を離れ、昼は測量助手、夜はデリヘルのドライバーをして生活してた時期があります。当時住んでたのは横浜の桜木町、夜な夜な伊勢佐木モールにクルマを停め、女の子の送迎をしてました。
給料は一件いくらの完全歩合のところも多いようですが、ウチは時給¥1000でしたね。他にガソリン代が50kmにつき¥1000。月にすると10万くらいにしかなりませんが、なにしろ楽な仕事だったので1年くらいダラダラとやっていました。
よく聞かれるんですが、こういう仕事はエロい人がやるのか?というと逆で、自分もそうなんですが、むしろソチラ方面に淡白な人がやります。実際、僕も高収入アルバイトで探してみたら、たまたまデリヘルのドライバーで、風俗業ということに特に意識なく入りましたから…。女の人が「商品」の世界ですから、そうじゃないと長続きしません。女の子のほうもそのへんは自覚していて、よく「商売道具に傷つけんじゃねーよ!」みたいなことを口にします(歯形とかね)。
ヤクザがやってんじゃないの?っていうのもよく聞かれるんですが、昔はともかく今は風営法が厳しいのでヤクザが直接やってることはほとんどないですね。ただ、ケツ持ちにたいていの店はついてると思います。彼らとしてはショバ代という不労所得が取れればいいわけで、ちょっとしたトラブル(時間オーバーで女の子が出てこないとか)は結局従業員が対処しますし、シャレにならないトラブル(女の子が殴られたとか)は結局警察が対処しますし、ケツ持ちだといっても基本、彼らは何もしてくれないし、やりたがりません。何かしてくれるとしたら、ヤクザの客相手にトラブルになった時くらいですかね…。
僕のいたところは店舗型のフツーのデリヘルと、事務所のみの人妻専門とやってたんですが、なるべく人妻店に入るようにしてましたね。昼は昼で働いてたので、店舗のほうだと中で待機して否応なしに雑談に加わらなければならないのにくらべて、事務所のほうは狭くてクルマ待機で好き放題眠れてましたから。店舗の若い子よりも、人妻(当たり前ですが自分の嫁を風俗で働かせて放っとくアホな亭主はまずいないので、実際はほとんどバツイチ)のほうが単純に扱いがラクというのも大きいです。
クルマは気分ですが、当時はゴルフよりもR1の出動回数が多かったです。女の子はワーゲンのほうが喜ぶんですが、横浜は道の狭い急坂が多く、DSGって急坂で停止して再発進するときに、アクセル踏んでも全くトラクションがかからず後ろに落ちていっちゃうことがあるんです。アレはマジで怖い。軽ならスイスイ路地に入っていけますので…。
客は暇つぶしの金持ちがパンパシやインターコンチといった高級ホテルに呼ぶか、モテない貧乏くんが路地裏の汗臭いアパートに呼ぶかの両極端でしたね。女の子は当然前者に行きたがり、後者は嫌がります。どちらでもない中間の人がいないのは、そもそも彼らは奥さんか彼女と一緒にいるので呼ぶ機会がない、ってことだと思いますが。
永らく居心地がよかったんですが、ある日職場内で下剋上が起きて、従業員の一人が店長を追い出して、周りを身内で固めて自分が店長に成りあがってしまいました。
自分としてはそれまでの店長のお気に入りだったのでいづらくなったと…。
最後の仕事は、いちばん仲のよかった子の自宅への送りでした。これはたぶん新しい店長がそれとなく気を利かせたんだと思います。今日で最後という話題を避け、いつもと同じ、くだらない雑談ばかりしてましたが、その子がクルマの降り際に「今までありがとう」と言いました。さすがに唐突だと思ったのか、取ってつけたような、おどけたような、言いかたでした。
数日後には、不動産取引で小金を手にし、R1を知人に売り払い、九州の田舎に戻るため、ゴルフを走らせ阪東橋インターから東名高速に入っていたのです。
Posted at 2011/04/10 06:03:26 | |
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