
だいぶ昔に読んだうえに、斜め読みだったので、マジメに解釈した人にとっては「何言ってんだコイツ」って感じかと思いますが、個人的に妙に気になるというか、いつまでも引きずる部分があったので、たわ言ながらつらつらと。
「何ごとを探究し、手に入れたとしても永遠に満足することなどないのだ」と言うファウスト博士のもとに、「じゃあ、これから世界中のあらゆるものを体験させてあげるから、それでもついに満足することが無いのならかまわない。ただ、もし満足することがあれば、そのときはあなたの魂をくださいね」とと賭けを持ちかける悪魔が現れる。
ファウスト博士は「どうせ何ごとを経験しても満足することなどないのだから、かまわない」と、悪魔との賭けに乗る。
結論から言うと、あらゆることを体験し、あらゆる知識、富、権力を手にしたファウストは、ついに「満足した」と口にする。
そこをすかさず悪魔が魂をとり、地獄へ持ち去ろうとする。
しかし彼の魂は、かつて彼のせいで破滅して死んだ女の、天界からの祈りによって救済され、天界へと上ってゆく…。
最後の女の祈りについても思うところがあるのですが、これはどこかで似たようなことを書いた気もするし、ながくなるので割愛するとして。
何を妙に引きずっているのかというと、このくだり。
ファウストが死ぬ直前に、四人の女が彼の家の門に現れる。
ひとりの女の名は「欠乏」。しかしこれは彼の家に入ることはできない。
ファウスト博士は今やムチャクチャ富があるからな。
ひとりの女の名は「罪過」。これも彼の家に入ることはできない。
ファウスト博士は今やムチャクチャ賢人で人格者だからな。
ひとりの女の名は「困窮」。これも彼の家に入ることはできない。
ファウスト博士は今やムチャクチャ権力を持っているからな。
もうひとりの女の名は「憂い」。これは…彼の家に入れてしまう。
「憂い」だけは彼にもどうにもならず、そいつの前では、せいぜい強がることしかできない。
そして「憂い」は彼を盲目にして去ってしまう。
富・知力・権力。これは本人次第、ファウスト博士くらいの向上心と才能があればなんとかなってしまう。
どうにもならなかったものがひとつ、ということでしょうか。
Posted at 2017/04/27 14:52:15 | |
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