
元・漫画家の同僚と「五本の指に入る漫画って何?」と話してたら、『寄生獣』『AKIRA』『柔道部物語』は意見が一致。
4番目はねー。オレは『西遊妖猿伝』なんだけど、その同僚の意見は萩尾望都。
このへんは少女漫画を受け入れるかどうかで変わりますよね。感覚的に。
ただ漫画に限らず、おもしろすぎるのって説明が難しいんだよねー。
いろんな角度から見ておもしろいから、どこからどう話せばいいのやら、ってのがひとつ。
もうひとつはそもそもすごすぎるので、凡人が説明しようとしても手に負えなくて伝わらないっていう点。
ただあえて断片的というか一つの面を挙げるなら、絵の説得力と凝縮感なんですよねー。
上の絵、ホント一断面を切り取っただけなんですけど、全国選手権優勝のスーパースターを地方大会で柔道を始めて3ヶ月の選手が投げるという、通常あり得ないことが起きたときのものなんですよ。
審判もまさかのできごとに頭が真っ白になるんですが、すぐに地方大会とはいえ永年柔道に携わってきた自信をもって「技有り」を宣告する。
…と、文字にしてみたところで、結局この1ページですら正確に伝えることができない。
説得力もそうだし、情報量、伝わる力がまるで違う。
この凝縮感が最初から最後まで続くんですよ。
思えば冒頭に上げた3作はいずれも主に1980年代後半~1990年代前半の作品。
この頃が漫画という表現形態のピークだったのかもしれませんね。
『ドラゴンボール』『スラムダンク』が今では信じられないような売れ方をしていた時代。
そのほかにも優れたヒット作がこの時期に集中している。
ただ、ここをピークに漫画は突如衰退していった。
インターネットの登場より少し前に衰退が始まってるから、ネットの影響は直接的ではないように思う。
思えば日本映画も日本文学も隆盛を極めた直後に似たような衰退のしかたをしていったし、他の表現手段、例えばテレビとか漫画雑誌などの台頭は直接的な原因ではない気がする。
結果として表現手段の主流として取って代わられたことは事実に違いないが。
どこか文明の隆盛と衰退とか、そういうものに近いのかもなと思ったりもするのだが、それはさすがに考えすぎか。
Posted at 2018/12/22 06:32:49 | |
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