
1558年~1603年まで45年に渡ってイングランドとアイルランドの女王に在位したエリザベス1世を扱ったイギリス映画。
エリザベス1世の統治期間はイングランドの黄金時代といわれる。
『エリザベス』は1998年制作。
エリザベスと関係ないところでの政争に巻き込まれロンドン塔に幽閉され、絶体絶命の状況だったエリザベスが前女王の死によって運よく25歳でイングランド女王に即位する。
…が、当時のイングランドは弱体で北にスコットランド、東にフランス、南にスペインと周囲を強国に囲まれており、即位した時点からまた絶体絶命。
前女王と違いプロテスタントであるエリザベスには国内にも敵が多い。
そんななか敵対する各国の思惑も絡んだエリザベス暗殺計画が進行する…。
良くも悪くもまだ「そのへんにいそうな女」という雰囲気とそれに見合った行動をとっていたエリザベスだが、自身の暗殺計画を乗り越えたときには女王としての絶対的な風格を身につけている。
ひとりの平凡ともいえる女性が運命から絶対的な統治者である女王としての「覚悟」をもち変貌を遂げるまでの物語としておもしろいし、実際にあった暗殺計画の首謀者と背景を探るサスペンスとして観てもおもしろい。
『エリザベス ゴールデンエイジ』は『エリザベス』と同じ監督による2007年制作の続編。
プロテスタントの女王エリザベスを戴くイングランドはカトリックを熱烈に支持する当時のヨーロッパ最強の国家スペインとの関係が険悪になっている。
そんななかスペインが支援するがイングランドに亡命していたスコットランド女王メアリーを処刑したことが決定的要因となって、スペイン無敵艦隊がいよいよ北上しイングランドを襲う。
いわゆるアルマダの海戦だが、無敵艦隊を撃破したことでイングランドがついに黄金時代に入っていくまでの物語。
前作と違ってエリザベスが冒頭から風格満々の状態のため、前作と較べてしまうと主人公の変化と成長にドラマチックな要素がないこと、またメアリーの処刑をきっかけにアルマダの海戦を描くにはどうしても尺と、おそらく予算も足りず、見どころである無敵艦隊の撃破が単純な描写になっていることから前作ほどのおもしろさはない。
ただしフェリペ2世と幼い王女を崇拝しカトリックの大義名分のもとイングランドに出撃する無敵艦隊の様子はCGを効果的に使用し、圧巻でかっこいい。
両作とも史実とその時間軸に忠実かというと、けっこう改変されていて事実とは違う部分も多いが、それよりは映画として現代に観る者にも共通する課題を表現して共感できるような試みを重視している。
Posted at 2024/06/06 22:15:52 | |
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