長らく生産が止まっていたハイエースを注文することができたのでOS技研のLSDを購入しました。
LSDメーカーは日本に数社ありますが、性能、耐久性、乗りやすさのバランスはOS技研1択と個人的に思います。
しかし
OS技研のLSDページって素人にはかなり分かりにくい…。
スーパーロック、デュアルコア、スーパーロック4、ST、TCD、NEO…
ハイエース用の
LSDラインナップもスーパーロック、デュアルコア、スーパーロック4の3種類あります。
結局どれを選べばいいの?と思う方向けに説明します。
まず、スーパーロックLSDは
ロックタイミングコントロールシステム内蔵のLSDです。
これは街乗りなど負荷の低い走行時はLSDをロックさせない方向にスプリングが働いており、LSD特有のバキバキ音(チャタリング)がほぼ出ないメリットがあります。
無駄にロックさせないので、車庫入れや小回りなどオープンデフと変わらない操作が可能です。もちろんタイヤの減りも抑えられます。
社外のLSDを装着して小回りしにくくなったと感じた人はこの違いに驚くと思います。それくらい凄い仕組みです。
スーパーロックLSDはOS技研の代表的なLSDでサーキットでも扱いやすいです。 私はロードスターやBRZでも愛用していました。
・デュアルコアLSD
こちらはスーパーロックLSDの機能に加え、よりロックしやすい構造となっております。ハイエース用で言えば上位モデルです。
簡単に言うとスーパーロックLSDとはサイドギア構造が違い、タイヤが完全に浮いてしまっても作動トルクが掛かる構造になっております。
リジット車や伸びストロークの少ない車、走行ステージ(タイトコーナーの多いサーキット、空転の多いオフロードやジムカーナ)ではこちらがお勧めです。
大きなサーキットではスーパーロックLSDの方がセッティングしやすい声も聞くので、サーキット車両においては上位モデルとは言いきれません。
・スーパーロック4
こちらは4WD車用のLSDと考えて頂いて大丈夫です。
ランクルやサファリ、ハイラックス、ハイエース4WD、カムロード4WD用の名称です。
構造はスーパーロックLSDと同じですが全車種2WAY仕様で効きが強めの設定です。
・スーパーロックST
ST表記のLSDはコンパクトカーなど、LSD本体が小さい車種用のLSDです。
サイズの関係でロックタイミング機構がありませんが、LSDの基本性能は変わりません。
・NEO
ハイエース、キャラバン、カムロードは標準でNEOモデルになります。 通常のスーパーロックLSDとはディスクの仕上げ方法が異なり、貨物車など重量が変化する車向けのディスクです。
・TCD
簡単に言うと高級車用のLSDです。
HPに「スーパーロックLSDの高いトラクション性能と反応速度はそのままに、独自のオイル潤滑システムがマイルドな特性と静粛性を実現。」と記載してあるようにディスクに溝と穴があり、熱にも強く性能はピカ一です。穴あきディスクは製造コストも大きく価格もピカ一です。
通常の市販モデルはSPEC-Sという標準仕様ですが、プラス10,000円でSPEC-Xというカスタム仕様(WAY数、効き具合、ロックタイミングを自由に変更可能)にも変更可能です。
以上が大まかな種類です。
ハイエース用LSDでは、
・スーパーロックLSD(リアのみ)
・デュアルコアLSD(リアのみ)
・スーパーロック4(フロント、リア)
が選択可能です。
ここからはネットでもあまり見かけない情報ですが、ハイエース用スーパーロックLSDとデュアルコアLSDは1.5WAY、スーパーロック4は前後共に2WAYが標準です。
WAYの構造的説明まで書くと長くなるのでここはご自身でお調べください。
スーパーロックLSDとデュアルコアLSDはSPEC-X仕様にすると1WAYや2WAYに変更可能です。標準のSPEC-Sを選択するならカム角度(効きの強さ)はスーパーロック4の方が強いので砂地や悪路が多い方はロック4の方が向いています。
で、結局どれを選べばいいか。
2WDならデュアルコアLSD一択です。
砂地や悪路走行の割合が多い場合はバックでもしっかり効かせたいので、SPEC-Xで2WAYに変更すると安心度は増します。
雪道、凍結路の割合が多い方で2WAYにすると減速時にケツが出やすくなるので、脱出性能を取るか乗りやすさを取るかは要検討。
効き重視ならスーパーロック4のリア用(2WAY)でも良いと思いますが、スーパーロック4はデュアルコアではありませんのでご注意ください。
もちろんスーパーロックLSDでも十分に効きますが、トルク感応型なので完全にタイヤが浮いた状態での発進はサイドブレーキなどでLSDの作動切っ掛けが必要です。
上記に関してはデュアルコアLSDだと何も考えなくて良いですが、路面の良い所や走行距離の多くが高速道路など、直進性向上を求めるならスーパーロックLSDで十分です。
4WD車でフロント、リアどちらを先に入れるか。
乗りやすさ重視や普段から積載量が多いならリア、空荷走行が多くトラクション重視ならフロントだと思います。
ハイエースはフロント軸が重いので、空荷の場合はフロントの方がトラクションがが掛かります。 多くの方は500kgも積まないと思いますのでどちらか入れるならフロントだと個人的に思います。
しかしフロントにLSDを入れるとハンドルのキックバックがどうしても強くなります。 スーパーロック4のフロントは2WAYが標準ですが、OS技研に事前相談してOSオンラインショップで購すれば1.5WAYや1WAYに同額で変更可能です。※ハイエース用スーパーロック4のフロントのみ(何森社長に確認済)
なので乗りやすさを取るなら1.5または1WAYに変更すると少し乗りやすくなります。
こちらも悪路の割合が多くなれば2WAY、舗装路がメインなら1〜1.5WAYがお勧めです。
私は以前、Uターンできない下り坂でスタックし、バックで抜け出せなかった経験があるので迷わず2WAYを選択しました。
4WD車で前後入れるならどれか。
前後入れる人は悪路思考が強いと思いますので、フロント2WAY、リアはデュアルコアの1.5または2WAYが良いと思います。
フロントの効きを強くするのはお勧めしませんが、リアは効きを強く(カム角度を大きく)すると安心です。
ロックタイミングは街乗りメインなら標準、悪路の割合が増えるなら早めに変更しても良いと思います。
ここでは詳細なカム角度まで記載しませんが、WAY数と効き具合(標準、やや強め、強め)を伝えるだけでも注文可能です。
選ぶのが面倒な人は前後スーパーロック4でも十分すぎる性能です。
ちなみにOS技研のLSDは素材から製造まで全てMADE IN JAPAN
デフケースは鍛造品です。(ケースのディスク溝が摩耗しにくいので外爪ディスクがスムーズに動く=ロックまでの動作がスムーズ)
ディスク溝が摩耗するとディスクが上手く動かず酷い物だと意図せずロック、フリーになります。
サイドギア、ピニオンは熱間精密鍛造(鍛造線を崩さないので高耐久、長寿命)
ディスク表面を研磨している=面粗度を荒くしていないので効きが一定で落ちにくい
ディスク枚数が多く、径も大きい=100%ロックでき、熱ダレしにくい
無駄に効かせないのでオイルの寿命も長く(街乗りなら10,000〜15,000kmは軽く持ちます)オーバーホールは基本的に不要です。
イニシャルコストは高く感じるかもしれませんが、長い目で見ればやはり1択かなと思います。
長々と書きましたが用途に合ったタイヤ選びも重要なので、雪道、凍結、悪路をオールシーズンタイヤやノーマルタイヤで行く人は車に乗る資格無いと思います。
1mでも雪道走るならLSDよりスタッドレスが先です