初めてお会いした横内本部長。
今年5月に催された他のイベントに出席された時の画像を事前に見てはおきましたが、やはり私達世代のイメージとしてはΓやFW、Rシリーズの広告の中の横内本部長。ΓやFWの1983年なら今から31年前。現在80歳になられたので当時は49歳。奇しくも今の私と同じ年齢です。
実際にお会いして『歳を取られたなぁ・・・』というのが正直な感想です。
今回は手紙を書きました。
縦書きの便箋を購入し、
『横内悦夫様
拝啓・・・ 』
の後に、FWというオートバイを世に送り出して下さった事への感謝の気持ちと、お願い事を一つ書きました。
手紙を読んで頂いた後に、本部長と呼ばせて頂いてよろしいですか?とお尋ねしてから、改めて自己紹介。
ヨシムラ関係者のテントの中なので私が遠慮していると、何と横内本部長が隣りの席に『どうぞ』と言って下さいました。
自己紹介の後、FWに乗っている事をお伝えしましたが・・・
まだこの時点では残念ながらFWに付いての細かい事は、あまり覚えていらっしゃらないご様子でした。
今年3月に撮影した、FW5台の集合写真にサインを頂きました。
その時の様子を交えながら、写真に写っている手前2台が400ccで奥3台が250cc、どちらも1983年製である事や、400FWはスズキとして初の400ccな水冷エンジン、250FWは市販車として初めて250cc水冷4気筒エンジンを搭載した車両である事に加え、写真に写っている250FWのうちの2台は当時から今なおずっと乗り続けてられている車両である事を説明させて頂きました。
いくら記憶が薄れたとは言え、FWの開発責任者である横内本部長に私ごときがFWの説明をするのは何だかとても妙な感じです。
カタログも持って行ったんです。
私の持っている250FWのカタログは皺も多くて端も擦り切れ、頁も離れてしまってはいますが高校時代から30年間持ち続けてきた大切な物。もちろん今でも時々見ます。
それにサインを頂こうとテーブルの上に出した250FWのカタログの表紙を見た途端、横内本部長の表情が一瞬で変わりました。
『これは250だよね!』思い出して頂きました・・・。
『このエンジンは本当に苦労したんだ・・・。』
そうです、その通りです!ピークパワーだけでならともかく、実用域での出力を出すのが大変だったんですよね!
はっきりと思い出して頂きましたFW!!!
私『あの・・・こちらにもサインしていただけませんでしょうか・・・』
横内本部長が“GSX400FW”と書いて下さいました。嬉しいなぁ・・・!
こういう資料が横内本部長の記憶を甦らせてくれるに違いないと思った私は、持参したプレス向け広報資料を取り出し・・・
私『横内本部長のお隣りにいらっしゃるのが、ウンチーニ選手です。』
横内本部長『そうだ、これはガリーナの頃・・・』
私『そうです、ガリーナスズキ時代です』
横内本部長『懐かしいなぁ・・・楽しかったなぁ・・・。』
横内本部長の表情から、この頃が本当に楽しかった事が伝わってきました。
私からお願いはしなかったのですが、自らメッセージを書いて下さいました。
“楽しいね ガリーナ チャンピオン ウンチーニ 横内悦夫”
それを見た時の私はもう涙を堪えるのに必死でした。
サインを頂いたFW5台が揃った写真をもう1枚現像して持って行きました。
私『もし、よろしければ・・・』
横内本部長『これを私にくれるの?』
手紙と共に喜んで受け取って頂きました。
写真の5台のオーナーの方々の想いも、ほんの少しだけかもしれませんが横内本部長にお届け出来た様な気がしました。
横内本部長とお話ししていると、何やら背後に気配が・・・おっと!デモランを終えた不二夫社長!
不二夫社長に訳をお話しして、その流れでサインを頂く事に・・・。
POP亡き後、横内本部長+不二夫社長は正に鉄壁。完全に無敵の組み合わせです。
勢いで不二夫社長には先日箱根で撮影した写真にもサインを頂いてしまいました(笑)。
どうしようか迷っていましたが、今日というタイミングを外す事は出来ないという結論に達し、車に積んでおいたタンクにもサインを頂く事にしました。
箱の中の新品タンクを見た横内本部長『立派なタンクだねぇ!』
確かに立派なタンクだとは思いますが・・・これは30年前に本部長がお作りになったバイクの物ですよ!
もう何も言う事はありません。これにクリアー塗装を施せば永久保存版の完成です。
12時半からは横内本部長と不二夫社長のトークショー。
内容は’75年辺りのPOPとの出会いから、レースへの当時の取り組みについて。
祖母の教えからヒントを得た油冷エンジンの開発。いわゆる“熱境界層の破壊”の説明です。
この辺りの事はご存知の方も大勢いらっしゃるとは思いますが、もしご存知無い方がいらっしゃいましたら『世の中の流れを変えよう』で検索してみて下さい。
2008年3月~宮崎日日新聞の連載記事の為に、横内本部長自らが寄稿された記事を読む事が出来ます。
不二夫社長がインタビューの中で両手がふさがった時に隣りからサッとマイクを差し出す横内本部長。
会場からも時々笑いが起きるほどの楽しいトークショーでした。
前日は仕事が終わってからほとんど寝ずに運転して来ましたので身体は疲れ果てていましたが、横内本部長にお会い出来た上にゆっくりとお話しも出来て、本当に幸せでした。
色々と力を添えて下さった方、今回のイベントを主催して下さった不二夫社長とヨシムラジャパンの皆様、ありがとうございました。
お陰様で私は30年来の夢を叶える事が出来ました。
そして横内本部長、お身体には気を付けて私達の前にお元気な姿をまた見せて下さい!
